11営業日続落、対ドルでリラは3日連続史上最安値更新
〇トルコリラ円、8/6夜と8/7早朝4.30割り込み、日足終値ベースでは11営業日連続の下落
〇対ドル、8/6は概ね33.77から33.06の取引レンジ、終値ベースで3営業日連続で最安値更新
〇本日、トルコ中銀の四半期インフレ報告が公開
〇インフレ鈍化顕著になり年末にかけ金融引き締め政策終了の可能性に言及なら利下げ開始思惑も出るか
〇イスタンブール100株価指数8/6は0.12%安、3営業日続落でトルコリラへの売り圧力高まる
〇4.30上回るうちは上昇余地あり、4.35前後への上昇を想定、4.35以上は反落注意
〇4.30割れからは下向き、4.28割れからは4.24前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の8月6日は概ね4.39円から4.29円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.29円で前日終値の4.32円から0.03円の円高リラ安だった。
ドル円が7月3日高値161.94円を起点として下落に転じ、7月11日と12日の市場介入や7月31日の日銀利上げとFOMCの9月利下げ見通しで続落する中、日経平均の大幅下落を含めた世界連鎖株安により8月5日安値141.69円まで20円を超える下落幅となり、トルコリラ円も7月3日高値4.99円から大幅下落に入り、7月23日から8月5日まで10営業日続落して8月5日には安値で4.24円を付けて史上最安値を更新した。
8月6日はドル円が午前に146.36円まで戻してから145円を挟んだ揉み合いとなり、トルコリラ円も午後に4.39円まで戻したものの、ドル円の上値が重くなる中でドル/トルコリラが3営業日連続で史上最安値を更新したことに圧されて6日夜と7日早朝に4.30円を割り込み、日足終値ベースでは11営業日連続の下落に終わった。
8月6日はNYダウが反発したものの一時740ドル高を超えたところから上げ幅を削って294.39ドル高に終わり、日経平均も8月1日から5日にかけて7000円を超える下落幅から6日に3217.04円高と戻したものの7日午前に反落するなどまだ世界連鎖型の株安が落ち着いたとまで言えない状況にあり、ドル円も日米金融政策姿勢の差と7月序盤までの株高と同調した円安相場が一巡して円高期に入っている印象もあるため、トルコリラ円としてはまだ暫くドル円の下振れリスクを警戒せざるを得ないところと思われる。
【対ドルで3営業日連続で史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの8月6日は概ね33.77リラから33.06リラの取引レンジ、7日早朝の終値は33.57リラで前日終値の33.32リラから0.25リラのドル高リラ安だった。
7月23日高値32.57リラを起点としてドル高リラ安を再開して8月2日に取引時間中の史上最安値を33.33リラへ、終値ベースでも史上最安値を更新したが、8月5日に33.43リラを付け、6日も33.77リラへ下落して3営業日連続で取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも8月5日終値33.32リラから6日終値33.57リラへと3営業日連続で最安値を更新した。
8月5日の日経平均が1987年10月のブラックマンデーを超えて1日の下げ幅として過去最大となり、先週末からの世界連鎖株安が金融市場全般のリスク回避感を強めたが、トルコのイスタンブール100株価指数も8月2日に3.01%安、5日に5.54%安と大幅続落し、6日も0.12%安と3営業日続落に終わりトルコリラへの売り圧力も高まったようだ。
イスラエルがレバノンの首都を空爆してイラン滞在中のハマス最高幹部を殺害した事とイランの反撃姿勢、トルコのエルドアン大統領もイスラエルがレバノンに進行すればかつてリビア内戦やナゴルノカラバフへ軍事派兵したように介入する姿勢を示していることによる地政学的リスクもリラ売りの背景となっている。
【トルコ中銀の四半期インフレ見通し】
8/8はトルコ中銀の四半期インフレ報告が公開される。
5月9日に発表された前期のインフレ見通しでは2024年末のCPI上昇率予想が38%とされて第1四半期の36%から上方修正されたが、インフレは5月にピークを付けて低下してゆくとし、2025年末の見通しは14%で第1四半期から据え置き、2026年末は9%まで低下するとした。
トルコ中銀のカラハン総裁は5月9日に「インフレが大幅に悪化した場合は金融政策をさらに引き締める」とし、その後も政策金利の週間レポレートを50%で据え置いてきた。今回の見通しでインフレ鈍化がさらに顕著になり年末にかけて金融引き締め政策が終了する可能性に言及すれば利下げ開始への思惑も出始めると思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月1日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、5日夜にかけて大幅下落してから6日午前にかけて反騰したために7日午前時点では5日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして6日の日中から8日夜にかけての間への上昇を想定し、乱高下が続く可能性もあるので4.30円割れからは弱気サイクル入りの可能性ありとした。
8月6日夜へ高値を伸ばしてから4.30円割れへ失速したため6日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日夜から12日夜にかけての間への下落を想定する。強気転換は6日夜高値超えからとする。
60分足の一目均衡表では8月5日夜からの反騰で遅行スパンが好転したものの6日夜からの反落で再び悪化し、6日夜以降は先行スパンの下限に抑えられているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンへ潜り込む場合はその上限を試すとみるが先行スパンを上抜けずに再び転落するところからは下げ再開とする。
60分足の相対力指数は8月6日夜に60ポイント近辺へ上昇してから失速して40ポイント台中心で横ばい推移となっている。55ポイント超えからは上昇再開とするが、次の40ポイント割れからは下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.28円を下値支持線、4.35円を上値抵抗線とする。
(2)4.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.35円前後への上昇を想定するが、4.35円以上は反落注意とする。
(3)4.30円割れからは下向きとし、4.28円割れからは4.24円前後への下落を想定する。4.24円前後は買われやすいとみるが下げ足が速まる場合は4.20円へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
8月8日
16:00 4-6月期インフレ見通し
20:30 週次 外貨準備高 8月2日時点
8月9日
16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.7%)
16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 -0.1%)
8月12日
16:00 6月 失業率 (5月 8.4%)
16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 -0.2%)
16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 5.8%)
8月13日
16:00 6月 経常収支 (5月 -12.4億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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