ドル円見通し 大幅下落後の戻り続かず6日午前から軟調、金融市場全般はまだ波乱含み(24/8/7)

ドル円は、144円台を維持しているものの右肩下がりの展開で上値が重くなっており、すでに戻り一巡から下落再開に入っている可能性がある。

ドル円見通し 大幅下落後の戻り続かず6日午前から軟調、金融市場全般はまだ波乱含み(24/8/7)

大幅下落後の戻り続かず6日午前から軟調、金融市場全般はまだ波乱含み

〇ドル円、8/6午前146.36つけ8/5安値141.69から4円超え反発するも、急落幅解消には至らず
〇8/6夜、144.04まで下げ、その後の145円台も売られて上値重い
〇本日、日銀内田副総裁の会見、利上げとドル円の急落及び株安に対する受け止め方に注目集る
〇日経平均、8/6は3217.04高と戻すも、世界連鎖株安が大幅下落で売り一巡とまでは言えない状況
〇米長期債利回り総じて反発するも9月FOMCで0.50%の大幅利上げの声優勢、戻り一巡後に低下再開か
〇144円上回り推移中は上昇余地あり、146.36超えからは147円前後への上昇想定、147円前後は反落注意
〇143.50割れからは下落期入りとみて141.69試し、割り込むと先行きで140円、139円試して行く流れ

【概況】

ドル円は8月2日夜の米7月雇用統計が予想以上に弱かったことによる米国株安とドル安により149円を挟んだ持ち合いから146円台へ急落し、8月5日に日経平均が1日の下げ幅としては過去最大となる4451.28円安と大幅下落したことで5日午後安値141.69円へ下落して2日夜からの急落幅は7円を超えたが、大幅下落後の買い戻しで6日午前には146.36円を付けて5日安値からは4円を超える反発となった。しかし8月2日夜からの急落幅解消には至らず6日夜には144.04円まで下げ、その後の145円台も売られて上値が重くなっている。8月6日の米長期債利回りは前日の急低下から大きく上昇したもののドル円の反応は鈍かった。
8月6日夜に米商務省が発表した6月の貿易赤字は前月比2.5%減の731.09億ドルとなり3か月ぶりの赤字縮小だったが市場の反応は鈍かった。
本日は日銀の内田副総裁が函館で10時からの懇談会に出席し、14時半から会見を行うため、直近の利上げとドル円の急落及び株安に対する日銀当局者としての受け止め方が注目される。

【世界連鎖株安継続への懸念、2022年10月からの下落時との類似性】

日経平均は8月1日から5日にかけての3営業日で7000円を超える急落となり、6日は3217.04円高と戻したものの7日付け大証日経先物は7日早朝時点で1290円安と反落した。
NYダウは8月1日から5日にかけて2000ドルを超える急落となり6日は294.39ドル高と反発したものの一時740ドル高を超えた上昇幅を大きく削り、ナスダック総合指数も166.77ポイント高と上昇したが高値から250ポイント強の反落に終わった。上海総合株価指数も6日はプラスで終えたものの4営業日連続陰線で5月20日以降の安値を更新している。総じて世界連鎖株安が8月6日までの大幅下落で売り一巡したとまでは言えない状況だ。

ドル円の急落は7月31日に日銀が追加利上げに踏み込んだことをきっかけとした植田ショックという声もあるが、ドル円の下落は7月3日から始まっており、7月11日に米CPIが鈍化したことによる米長期債利回り大幅低下に加えて市場介入が行われたことをきっかけとして下落期に入ったものであり、日銀の利上げと米FOMCでパウエル議長が9月利下げ検討を明言したことで下げ足が速まり、8月2日の米雇用統計を見て米国の景気減速懸念が利下げによる先行きの楽観的な強気に勝ったことで急落商状に陥ったものだ。
7月3日高値161.94円からの下げ幅は20円を超えており、2022年10月21日高値151.94円から2023年1月16日安値127.22円まで3か月で24.72円の下げ幅となった時に近く、すでに2023年1月16日と2023年12月28日の安値を結ぶ長期上昇トレンドの支持線も割り込んでいることを踏まえれば、まだ暫くは安値試しを続けかねない状況と思われる。

【米長期債利回りは総じて反発】

8月6日の米長期債利回りは前日までの急落から総じて反発した。
長期金利指標の10年債利回りは8月5日に一時3.67%へ低下して2023年6月以降の最低を更新したところから低下幅を解消して先週末比変わらずだったが、6日は大幅低下後の反騰を続けて前日比0.10%上昇の3.89%とした。30年債利回りは8月5日に一時4.01%をつけて4月25日に付けた年初来ピークである4.85%以降の最低としたところから低下幅を削って先週末比0.04%低下の4.07%としていたが6日は前日比0.11%上昇の4.18%へ切り返した。

政策金利動向に敏感な2年債利回りは8月5日に一時3.65%へ低下して2023年4月以降の最低としてからプラス圏まで戻して先週末比0.04%上昇の3.92%としたが、6日も0.06%上昇の3.98%へ続伸した。
いずれも直近の大幅低下がひとまず落ち着いたことと株安が一服したことでの株買い・債券売りによる利回り上昇を招いたと思われるが、米国の景気減速と7月後半からの世界規模での株安基調と労働市場の緩みを踏まえて9月FOMCで0.50%の大幅利上げがあり得るとの声が優勢であり、戻り一巡後に低下再開に入るのではないかと思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月5日午後安値141.69円から反騰入りしたが、6日午前高値146.36円まで戻した後は144円台を維持しているものの右肩下がりの展開で上値が重くなっており、すでに戻り一巡から下落再開に入っている可能性があるとみて144円割れからは下向きとし、143.50円割れからは下落期入りとして8日午後から12日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月6日午前への反騰で遅行スパンが好転したが先行スパンに潜り込んだものの突破できずにいるため、先行スパンを上抜くところからは反騰継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月5日午後に10ポイントを割り込んでから6日午前序盤に60ポイント台へ切り返したものの、その後は右肩下がりの展開で50ポイントを割り込んでいるため、次に55ポイントを超えるところからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは下落再開として20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、143.50円を下値支持線、8月6日午前高値146.36円を上値抵抗線とする。
(2)144円を上回るかわずかに割り込んでも回復する内は上昇余地ありとし、146.36円超えからは147円前後への上昇を想定する。147円前後は反落注意とするが144円台を維持しての推移なら8日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)144円割れを切り返せなくなるところから下向きとし、143.50円割れからは下落期入りとみて8月5日安値141.69円試しとする。141円台後半は買われやすいとみるが、141.69円を割り込む場合は先行きで140円、139円等を順次試して行く流れと考える。

【当面の予定】

8/7(水)
未 定 (中) 7月 貿易収支・米ドル建て (6月 990.5億ドル、予想 1001.0億ドル)
10:30 (日) 内田日銀副総裁、懇談会出席、14:30〜会見
14:00 (日) 6月 景気先行指数CI速報値 (5月 111.2、予想 108.9)
14:00 (日) 6月 景気一致指数CI速報値 (5月 117.1、予想 113.8)
15:00 (独) 6月 貿易収支 (5月 249億ユーロ、予想 215億ユーロ)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省10年債入札
28:00 (米) 6月 消費者信用残高 前月比 (5月 113.5億ドル、予想 100.0億ドル)

8/8(木)
08:50 (日) 6月 経常収支・季調前 (5月 2兆8499億円、予想 1兆8640億円)
08:50 (日) 6月 経常収支・季調済 (5月 2兆4062億円、予想 2兆2755億円)
08:50 (日) 6月 貿易収支・国際収支ベース (5月 -1兆1089億円、予想 3580億円)
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合・主な意見 7月30-31日分
11:40 (豪) ブロック豪中銀総裁、講演
14:00 (日) 7月 景気ウオッチャー現状 (6月 47.0、予想 47.5)
14:00 (日) 7月 景気ウオッチャー先行き (6月 47.9、予想 48.5)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.9万件、予想 24.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 187.7万人)
23:00 (米) 6月 卸売売上高 前月比 (5月 0.2%)
28:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、ウェビナー出演



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