『来週はトルコ中銀会合に注目。一巡後の急反発リスクに要警戒』
〇今週のトルコ円、トランプ氏狙撃からのリスク回避ムード、トルコ指標の悪化等に週後半4.69まで下落
〇売り一巡後は下げ渋り、週末は4.76前後で推移
〇トルコ円、主要テクニカルポイントを軒並み下抜け、売りシグナルも成立、テクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズはトルコ実質金利上昇、円キャリー継続、トルコへの海外資金流入等がサポート
〇来週は7/23に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合に注目集まる
〇引き続き、トルコリラ円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.65ー4.90
今週のレビュー(7/15−7/19)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.78円で寄り付いた後、翌7/16にかけて、週間高値4.82円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トランプ前大統領の狙撃事件に端を発したリスク回避ムードの高まり(トランプ氏の再選確率上昇→地政学的リスク再燃→新興国通貨に下落圧力)や、(2)トルコ6月住宅販売(結果▲5.2%、前回▲2.4%)の冴えない結果、(3)トルコ6月財政収支(結果2752.8億リラ赤字、前回2194.1億リラ黒字)の赤字転落、(4)対ドル相場の史上最安値更新(対ドルでの仕掛け的なリラ売り再開)、(5)ドル円相場の大幅下落(トルコリラ円連れ安)が重石となり、週後半にかけて、週間安値4.69円まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、週末にかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間7/20午前1時00分現在)では、4.76円前後で推移しております。
来週の見通し(7/22−7/26)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、7/3に記録した高値4.99円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約2カ月半ぶり安値となる4.69円(5/3以来の安値圏)まで下落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も成立するなど、テクニカル的見て、地合いの悪化が警戒されます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの優位性継続(下がったところでは金利スワップ狙いの押し目買いが出てくる構図)や、(2)実質金利上昇に伴うリラ買い圧力(先日発表されたトルコCPI、トルコPPIはいずれも鈍化→トルコ中銀カラハン総裁とシムシェキ財務相は7/11に「経済は持続的なディスインフレ局面に入りつつある」「インフレ率は2024年末には40%を下回る見通し」とインフレ鈍化を追認すると共に、翌7/12に市場で燻る早期利下げ観測を否定→インフレ鈍化と金融引き締め継続の組み合わせはトルコリラの実質金利上昇を通じてトルコリラに上昇圧力)、(3)外国人投資家による資金流入期待(トルコ政府・トルコ中銀の正常化政策を好感する形で外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入が増加傾向。先週は中国の電気自動車メーカー大手のBYDがトルコに10億ドルを投じて年間15万台の生産能力を有する工場を建設することでトルコ政府と合意した旨を発表するなど、中国によるトルコ投資拡大もトルコリラの上昇要因)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
こうした中、来週は7/23に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。政策金利は50.0%に据え置かれ、声明文や記者会見においても、市場の利下げ期待を高めるような振る舞いはしないと見られることから、当方では、引き続き、トルコリラ円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想いたします(トルコ中銀による利下げ観測後退→リラ買い再開の波及経路を想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.65ー4.90
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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