トルコリラ円見通し ドル円に合わせて戻すも7月3日以降は右肩下がりの推移続く
〇トルコ円、ドル円の反騰と7/19午後からの対ドルでのトルコリラの反発から、7/20早朝4.77まで上昇
〇ドル/トルコリラにおけるリラ安再燃の動きを気にしつつも、ドル円の動向を追いかける展開が続くか
〇対ドル、7/19は概ね33.23から32.90の取引レンジ、一時33.16を付けて7/17安値に迫るも安値更新回避
〇ムーディーズ、トルコの格付けを「B3」から「B1」に引き上げる
〇4.73を上回るうちは一段高余地ありとし、4.77超えからは4.78、4.79を順次試す上昇を想定する
〇4.73割れからは下落再開を疑い、4.71前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の7月19日は概ね4.77円から4.73円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.77円で前日終値の4.75円から0.02円の円安リラ高だった。
ドル円は7月11日夜の市場介入による急落から7月18日午前安値155.37円まで大幅下落が続いたものの、目先の売り一巡で買い戻され、19日は世界規模のシステム障害によるリスク回避的なドル買いにより一時157.86円へ高値を伸ばし、その後の157円割れも買われて確りした。
トルコリラ円は7月18日午前にかけては円高に押されて4.68円まで安値を切り下げたが、ドル円の反騰に加えて対ドルでトルコリラが19日午後から反発したことで20日早朝に4.77円まで高値を伸ばした。
世界規模のシステム障害は金融市場にも影響を与えたため、20日早朝の取引終了時には投機ポジションの手仕舞いもあり一部ベンダーでは4.73円へ反落して取引を終えているところも見られた。
トルコリラ円はドル/トルコリラにおけるリラ安再燃の動きを気にしつつも変動の大きいドル円の動向を追いかける展開がまだ続くと思われる。
ドル円は7月11日夜の市場介入等による大幅下落に一服感がみられるものの、一段安した後の戻りは7月12日午前から7月16日夜、19日午後と切り下がり基調で推移しており市場介入がさらに繰り返される懸念もある。米大統領選でのトランプ氏優勢の流れや、今週末の米6月PCEデフレーター次第では4月29日から5月3日にかけての短期的な急落パターンではなく昨年11月13日高値151.90円から12月28日安値140.24円へ下落した時のような展開となることもあり得ると注意したい。
トルコリラ円は3月13日以降の上昇トレンドから転落しているため、中勢としては4.80円台回復から4.85円へ迫る反騰を見せられないうちは一段安への懸念が残るところであり、ドル円が一段安する際には7月18日安値4.68円割れへ向かうことも警戒される。
【対ドルでは最安値近辺での推移続く】
ドル/トルコリラの7月19日は概ね33.23リラから32.90リラの取引レンジ、20日早朝の終値は33.06リラで前日終値の33.05リラから0.01リラのドル高リラ安だった。
7月3日高値32.30リラを起点としてリラ売りが再開し、7月17日に33.17リラ(ベンダーによっては33.29リラ等)へ取引時間中の史上最安値を更新し、17日終値33.05リラで終値ベースの最安値としたが、18日は最安値近辺で下げ渋り、19日は一時33.16リラを付けて17日安値に迫ったものの安値更新を回避し、ムーディーズのトルコ格付けの引き上げ等をきっかけとしたリラ買いにより20日早朝へ反発したものの取引終盤に売られた。世界規模のシステム障害の影響等もあり、20日早朝に32.80リラまで下げて終了しているところも見られた。週間では7月12日終値33.02リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
今週は7月22日にトルコ中銀の月次ビジネスサーベイ(エコノミストや企業トップによる年末CPI等の予想集計)、7月23日にトルコ中銀の政策金利発表がある。
【ムーディーズ、トルコ格上げ】
7月19日に大手格付け機関のムーディーズがトルコの長期外貨建て・国内通貨建て発行体格付けと外貨建てシニア無担保格付けを「B3」から「B1」に引き上げた。
ムーディーズは今年1月12日にトルコの格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ポジティブ」に引き上げて格付けは「B3」に据え置いていたが、今回の格上げについての背景は、正統派金融政策への回帰と継続、2025年にかけてインフレ圧力が大幅に緩和すると予想されること、トルコ中銀の金融政策に対する信頼性が高まったこと、緊縮政策による対外的脆弱性の大幅軽減等であるとした。ただし、トルコリラへの信頼はまだ完全に回復していないとも指摘した。
トルコの格付けについては今年3月8日にフィッチが「B」から「B+」に引き上げて見通しを「安定的」から「ポジティブ」に修正し、S&Pは5月3日にトルコの格付けを「B」から「B+」に引き上げている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月16日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を18日午前から19日夜にかけての間と想定して4.73円超えからはいったん戻しに入るしたが、7月19日早朝への上昇で4.73円を超えて4.76円まで戻したために19日午前時点では18日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして19日午後から23日午後にかけての間への上昇を想定した。
7月20日早朝に4.77円まで高値を伸ばしてから22日午前序盤にやや下げているものの4.75円を上回っているのでまだ上昇余地ありとするが、4.73円割れからは弱気サイクル入りとして23日午前から25日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では7月19日早朝への上昇で遅行スパンが好転して19日午前には先行スパンも上抜いた。その後も先行スパンを上回っているため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月19日よるから20日早朝にかけて指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せて22日午前序盤に50ポイント割れを試しているので反落注意とし、55ポイント超えからは60ポイント台後半への上昇を想定するが、45ポイント割れからは下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.73円を下値支持線、4.77円を上値抵抗線とする。
(2)4.73円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.77円超えからは4.78円、4.79円を順次試す上昇を想定する。4.78円以上は反落警戒とするが、4.75円を上回っての推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.73円割れからは下落再開を疑い4.71円前後への下落を想定する。4.71円前後は反発注意とするが4.73円を下回っての推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。また急落商状の場合は4.70円割れを試す可能性もあるとみる。
【当面の主な予定】
7月22日
16:00 トルコ中銀ビジネスサーベイ(年末CPI、ドル/トルコリラ等予想集計)
7月23日
16:00 7月 消費者信頼感指数 (6月 78.30)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 50.0%)
7月25日
16:00 7月 製造業信頼感指数 (6月 102.8)
20:30 週次 外貨準備高 7月19日時点
7月30日
16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 95.8)
注:ポイント要約は編集部
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