目先の上下限達成で短期的にはレンジ取引もあるか
〇先週のドル円、ザラ場ベースで6/7以来の安値155.37示現するも週末にかけてはやや下げ渋り
〇米ゴールドマン「早ければ7月末FOMCで利下げ実施する確かな論拠ある」との見方示す
〇トランプ氏「FRBに選挙前の利下げを行わないよう求める」考え示し思惑呼ぶ
〇7/18付日経新聞「日銀利上げ、消費下振れで7月無理」と方針転換、市場の憶測呼ぶ
〇7/3の161.96を目先の高値、7/18の155.37を短期的な安値に156-159円コアレンジの取引予想される
〇ドル高円安方向、先週高値158.85の攻防に注目、超えれば159円半ばや160円レベルがターゲット
〇ドル安円高方向、90日線や一目の雲上限ある156円レベルが強いサポート、下回ると155.36視界内
〇今週のドル円予想レンジ:155.00-159.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが続落。ザラ場ベースでは6月7日以来の安値、155円台を示現したものの、週末に掛けてはやや下げ渋った。
前週末、世界中のニュースを席巻したのは「トランプ氏暗殺未遂事件」。この段階ではわかっていることは少なかったが、それでもさすがに犯人への同情や擁護する向きはほとんどない。米国と対立する中国やロシアなどからも、行為を非難する声が相次いでいた。
そうした状況下、週明けのドル/円は157.90円レベルで寄り付いたのち、しばらくは強保ち合い。一連の動きのなかで週間高値の158.85円を示現している。しかし、底堅さを醸していた157円レベルを割り込むと、そのまま一気に週間安値の155円台へ。約1ヵ月半ぶりとなる安値155.37円を示現したものの、週末に掛けては逆にドル買いが優勢に。週末NYは寄り付きにはとどかなかったが、それでも157円台を回復し取引を終えている。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米大統領選」と「日米金融政策」について。
前者のうちまずは、現地時間13日の夕方、11月の大統領選に向けた集会で演説していたトランプ前大統領が男に銃撃されるという事件が発生し、大パニックに。トランプ氏は右耳などを負傷するも命に別状はなし。しかし、集会参加者ひとりが銃撃により死亡し、この他に参加者2人が重傷になったという。そんなトランプ氏は臆せず、15日からの共和党大会にも参加し、同党の大統領候補に正式決定されている。なお、トランプ氏は若干39歳のバンス上院議員を副大統領候補に充てる、との考えを明らかにし金融市場でも思惑を呼んでいた。その一方、民主党候補の現職バイデンには撤退論が引き続き根強い。週後半には、ロイターが「米民主重鎮のペロシ氏、バイデン氏撤退要請に全面的な関与」、ワシントンポスト「オバマ元米大統領、バイデン氏は撤退検討が必要と認識」−−などといった報道も観測されていた。(*注;週末21日にバイデン氏は正式に「撤退」を表明)
それに対して後者は、市場で注視されている日米金融政策について、日本は「7月利上げ」、米国は「7月利下げ見送りで次回9月利下げ」−−との見方が一般的だと思っていたのだが、意見はいまだ一本化されず政策にらみで右往左往。たとえば米国については、週明け15日に、金融大手ゴールドマン・サックスのエコノミストらが、「早ければ7月末の次回FOMCで利下げを実施する確かな論拠がある」との見方を示したことが物議を醸していたようだ。また、一部からは「年内3回の利下げ」見通しも取り沙汰されはじめていたが、次期米大統領として有力視されているトランプ氏は「FRBに対し、選挙前の利下げを行わないよう求める」考えを示しており、こちらも思惑を呼ぶ結果に。それに対して、日本は18日付の日経新聞が突然「日銀利上げ、消費下振れで7月は無理」などと方針転換。市場の憶測を呼んでいた。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は3日に161.96円まで上昇したのち、先週18日には155.37円まで下落。3日に目先の高値を付けたとの見方が取り沙汰されるなか、今度は18日の155.37円が短期的な安値になるといった声も聞かれ始めた。来週に日米中銀による政策金利の発表を控えていることもあり、今週はそれにらみでレンジ取引をたどる可能性もある。156-159円あたりをコアレンジとし、次の方向性をうかがうような値動きを予想する声も多いようだ。
来週に予定されている日米中銀の政策金利発表が注視されている。しかし、前段でも指摘したように発表される指標や発言などをめぐり、市場の見方は依然として定まっていない。そうした意味で、今週も発表される指標などには要注意で、たとえば日本においても26日に予定されている日本の東京区部7月消費者物価指数を警戒する声が聞かれていた。一方、それとは別に、バイデン氏がついに「撤退」を表明した米大統領選の行方にも注目だ。自民党の茂木幹事長は週末、「『ほぼトラ』から『確トラ』に近くなってきている」と講演で発言していたが、確かにそういう気がしないでもない。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は短期的なレンジの上下限をすでに達成済み。しばらくは新レンジを形成しつつ、落ち着きどころを探る展開を見込む向きが多いようだ。下値については、先週示現した安値155.37円もしくは、移動平均の90日線などが位置する90日線(156円前後)を目先のサポートになると見込まれている。それに対し、上値は159円半ばや移動平均の21日線も近い160円レベルが最初の抵抗か。上抜ければ、年初来高値161.96円が再び視界内に捉えられそう。
そうしたなか今週は、4-6月期のGDP速報値や6月のPCEデフレーターといった米経済指標の発表が予定されているうえ、25日からブラジルでG20財務相・中銀総裁会議が行われる。また相場への影響は不明だが、週末にパリ・オリンピックが開催することも一応注意しておきたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、155.00-159.00円。ドル高・円安については、先週高値158.85円の攻防にまずは注目。超えれば159円半ばや160円レベルがターゲットに。
対してドル安・円高方向は、移動平均の90日線や一目均衡表の先行帯の雲の上限などが位置する156円レベルがなかなか強いサポートか。下回ると先週安値155.36円が再び視界内に入ってくる。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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