ドル円の反落と対ドルでのリラ買い一服でいったん下げてから持ち直す
〇昨日のトルコ円、ドル円追いかけ早朝に4.89へ上昇、ドル円反落で夕刻には4.84まで下落
〇夜のドル円一段安では下げ渋り、本日早朝は4.87まで持ち直す
〇対ドル、5/30は概ね32.38から32.05の取引レンジ、5/31早朝の終値は32.20
〇ドル/トルコリラはリラ買い一服、32リラを挟んだ揉み合いは継続
〇今夜の米4月PCEデフレーターを受けたドル円の動向に要注目
〇外貨準備高増加、リラ資産への海外からの投資意欲回復を反映している印象
〇本日夕刻にトルコ1-3月期GDP発表予定
〇6/3発表予定のトルコCPI、前年比74.8%へ上昇の予想
〇4.84を上回るうちは上昇余地ありとし、4.88超えからは4.90前後への上昇を想定
〇4.84割れからは下落期入りとみて4.82前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の5月30日は概ね4.89円から4.84円の取引レンジ、31日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.88円から0.01円の円高リラ安だった。
4月29日から5月3日にかけて二度の市場介入によりドル円が急落した局面でトルコリラ円は4.92円から4.69円まで大幅下落したが、その後はドル円の反騰入りを追いかけて5月27日早朝には一時急伸だったものの4.95円を付けてこの間の高値を更新した。しかし5月27日早朝高値から反落した後はドル円の上昇を追いかけられずに4.80円台後半を中心とした持ち合いにとどまっている。
ドル円は5月30日未明に157.70円を付けて5月3日安値151.85円以降の高値を更新したが、29日に大幅上昇した米長期債利回りが30日に低下へ転じたこと、日本10年債利回りが一時1.10%へ上昇したことや日経平均が大幅下落したことも重なり午後に157円を割り込み、30日夜の米GDP改定値等が速報から下方修正されたことによるドル安で156.37円まで安値を切り下げた。その後は買い戻しに入り157円台回復を試している。
トルコリラ円はドル円の上昇を追いかけて5月30日早朝に4.89円へ上昇した後はドル円の反落により夕刻に4.84円まで下げたものの、30日夜にドル円が一段安したところでは下げ渋り、31日早朝には4.87円まで持ち直した。
トルコリラ円としてはドル/トルコリラが1ドル32リラを挟んだ持ち合い相場で小動きを続けているうちはドル円の騰落を追いかける姿勢であり、今夜の米4月PCEデフレーターをきっかけとして円安へ向かうか円高へ向かうのか注目しながら追従する構えで臨みたい。
【ドル/トルコリラはリラ買い一服、32リラを挟んだ揉み合いは継続】
ドル/トルコリラの5月30日は概ね32.38リラから32.05リラの取引レンジ、31日早朝の終値は32.20リラで前日終値の32.18リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
4月12日に付けた取引時間中の史上最安値33.03リラ及び日足終値ベースでの史上最安値となった4月24日終値32.54リラを起点としてリラ安の一巡感からリラ高基調で推移してきたが、5月14日に31.89リラを付けた後は高値更新へ進めず、5月9日から28日までは毎日のように31リラ台後半の高値を繰り返し試していたが、29日から30日にかけては32リラ台にとどまって推移しており、32リラを挟んだ持ち合いの範囲ではあるがリラ高に一巡感も見られる。
5月31日夕刻にはトルコの1-3月期GDPの発表がある。
【外貨準備高増加】
5月30日夜に発表されたトルコ中銀の週次外貨準備高は5月24日時点のグロスで827.7億ドルとなり5月17日時点の785.5億ドルから大幅に増加し、ネットでも403.5億ドルとなり5月17日時点の338.4億ドルから大幅増加した。
グロスの外貨準備高は2023年6月の565.2億ドルから2023年12月に975.6億ドルまで大幅増加したところをピークとして減少に転じ、ネットの外貨準備高も2023年6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから2023年12月の400.9億ドルへ増加したところをピークとして低下してきたが、グロスでは5月序盤の649.7億ドルを最低として再び増加し、ネットでは昨年末の水準を超えてきた。
トルコの金融政策が正常化していること、高インフレに対して政策金利を大幅に引き上げた後も引き締め姿勢を維持しているため、リラの先安感はまだ解消しきれずにいるものの高金利通貨としてのリラ資産への海外からの投資意欲が回復していることが最近の外貨準備高増加に反映されている印象だ。
【6月3日発表予定CPIは前年比74.8%へ上昇する予想】
5月30日にロイター社が集計した6月3日発表予定のトルコ5月CPI(消費者物価指数)上昇率に対する事前予想では、前月比が4月の3.18%から3.0%へ若干鈍化し(予想レンジは2.70%から3.30%)、前年同月比は74.80%で4月の69.8%から伸びが加速する(予想レンジは74.30%から75.33%)と見込まれた。
トルコ中銀は5月にインフレ率がピークを付けて年末には40%以下へ低下してゆくとみているが、ロイター社調査の予想中央値でも年末には42.6%まで低下すると見込まれている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月27日朝の一時的な急伸から反落したものの27日午前から持ち直して28日未明に4.90円へ上昇したため、28日午前時点では27日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして30日朝から6月3日朝にかけての間への上昇を想定した。
27日夜以降を4.88円を挟んだ持ち合いで推移したため30日午前時点では4.86円割れからは弱気サイクル入りとしたが、30日夕刻に4.84円まで下げてから4.87円まで戻しているため、30日早朝高値でサイクルトップを付けて下落したものの30日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしたとみて6月4日未明から6日早朝にかけての間への上昇を想定する。
ただし戻りは短命の可能性もあると注意し、30日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして4日午後から6日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では5月30日夕への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したがその後の持ち直しで遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。先行スパンを上抜くところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、30日夕安値を割り込むところからは下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は5月30日夕刻の30ポイント割れから切り返しているので60ポイント超えから70ポイント台を目指す可能性ありとみるが、次の40ポイント割れからは下落期入りとして20ポイント台を試す低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.84円を下値支持線、4.88円を上値抵抗線とする。
(2)4.84円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.88円超えからは4.90円前後への上昇を想定する。4.90円以上は反落注意とするが、4.87円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急伸する場合には4.92円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)4.84円割れからは下落期入りとみて4.82円前後への下落を想定する。4.82円以下は反騰注意とするが、4.84円を割り込んだ後も4.86円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急落する場合は4.80円前後へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
5月31日
16:00 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 1.0%)
16:00 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 4.0%)
6月3日
16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 3.18%、予想 3.00%)
16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 69.8%、予想 74.80%)
16:00 5月 コアCPI 前月比 (4月 3.6%)
16:00 5月 コアCPI 前年同月比 (4月 75.8%)
16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 3.60%)
16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 55.66%)
6月6日
20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月31日時点 (5月24日時点 827.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月31日時点 (5月24日時点 403.5億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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