トルコリラ円見通し ドル円が157円台後半へ続伸するもトルコリラの動きはやや慎重
〇トルコリラ円、5/29午後安値4.86から5/30早朝高値4.89へ上昇したが、やや慎重な動きにとどまる
〇ドル円が一段高へ進む場合は、トルコリラ円も5/27早朝高値4.95を超えて5円を目指す可能性
〇対ドル、5/29は概ね32.30から32.01の取引レンジ、高値も32リラ台に留まり高値トライに一服感か
〇4.86を上回るうちは上昇余地ありとし、4.89超えからは4.93前後への上昇を想定する
〇4.86割れからは下落期入りとみて、4.83前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の5月29日は概ね4.89円から4.86円の取引レンジ、30日早朝の終値は4.88円で前日終値と変わらなかった。
ドル/トルコリラが1ドル32リラを挟んだ揉み合いで推移しているためトルコリラ円はドル円の騰落を追いかけたいところだが、5月27日早朝に一時急伸した後の動きはやや慎重なものにとどまっており、ドル円が29日午後に一時157円を割り込んだところから30日未明高値157.70円へ上昇して5月3日夜安値151.85円以降の高値を更新したものの、トルコリラ円は29日午後安値4.86円から30日早朝高値4.89円へ戻したものの27日早朝の波乱時に付けた高値4.95円に迫る勢いを示さなかった。
【ドル円は三度目の市場介入を警戒しつつ二度目の介入時水準を超える】
ドル円は5月30日未明に157.70円へ上昇して5月2日早朝に政府日銀が二度目の市場介入を行った直前高値157.58円を超えてきた。4月29日に160.16円を付けて1990年4月2日高値160.36円以来の高値水準としたところで一度目の市場介入(推定5兆円規模)で急落し、5月2日早朝の米FOMCを通過した直後に二度目の市場介入(推定3兆円規模)を行い5月3日夜安値151.85円まで一段安となった。
この間の下げ幅は8.31円だったが、半値戻しの156.00円を超え、3分の2戻し157.39円も超えたことにより、日米金利差拡大状態の継続を踏まえて円安がさらに続くとの見方も強まっている。イエレン米財務長官が市場介入はまれなものとして過度の介入へのけん制姿勢を示したこともあり政府日銀は市場介入しづらいのではないかとの見方もある。
今夜の米GDP改定値や新規失業保険申請件数、31日夜の米4月PCEデフレーター次第では一段高もあり得るため、そこで三度目の介入がなければ160円台を再び目指す声も高まる可能性がある。
トルコリラ円としてはドル円が一段高へ進む場合は5月27日早朝高値4.95円を超えて5円を目指して行く可能性を優先したいが、市場介入等で急落する場合は5月3日からの上昇一巡によりいったん仕切り直しの下落期に入ることを警戒する必要に迫られると思われる。
【ドル/トルコリラはリラ買い一服、32リラを挟んだ揉み合いは継続】
ドル/トルコリラの5月29日は概ね32.30リラから32.01リラの取引レンジ、30日早朝の終値は32.18リラで前日終値の32.23リラからは0.05リラのドル安リラ高だった。
4月12日に付けた取引時間中の史上最安値33.03リラ及び日足終値ベースでの史上最安値となった4月24日終値32.54リラでリラ売りが一巡してリラの買い戻し優勢の流れとなり5月14日には高値で31.89リラを付けたもののその後は伸びず、日足の終値ベースでは32リラ台を維持してきたためにリラ買いに一服感が出て27日終値32.13リラから28日終値32.23リラへドル高リラ安となった。29日は28日の高安レンジ内に留まる動きで終値ベースでは若干のドル安リラ高だったものの高値も32リラ台に留まり、これまで繰り返し高値で31リラ台を付けてきたリラの高値トライに一服感がみられる。
5月29日夜は米国の利下げ先送り感による米長期債利回り上昇によりユーロドルが下落して5月16日以降の安値を更新したことや、28日まで上昇を続けてきたポンドドルが反落するなど、ドルストレートでドル高が優勢となっていることもトルコリラへの圧迫感をもたらしている。
当面は5月31日のトルコ1-3月期GDP、6月3日のトルコ5月CPI等を需要イベントとしつつ、回復基調を見せている週次の外貨準備高増加傾向を維持できるか注目したい。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月27日朝の一時的な急伸から反落したために27日午前時点では27日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、27日午前の下落から持ち直して28日未明に4.90円へ上昇したために28日午前時点では27日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして30日朝から6月3日朝にかけての間への上昇を想定した。
27日夜以降は4.88円を挟んだ持ち合いで推移しているため、4.86円を上回るうちは一段高余地ありとするが、4.86円割れからは弱気サイクル入りとして30日午前から6月3日午前にかけての間へ下落を想定する。
60分足の一目均衡表では5月27日夜以降の持ち合い推移により方向感に欠けるため、4.89円超えからは一段高へ進む可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、4.86円割れからは下落再開を疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は5月30日早朝に60ポイント台へ上昇してから40ポイント台序盤へ失速しているため、55ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント割れを試す低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.86円を下値支持線、4.89円を上値抵抗線とする。
(2)4.86円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.89円超えからは4.93円前後への上昇を想定する。4.93円以上は反落注意とするが、4.88円を上回っての推移なら31日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.86円割れからは下落期入りとみて4.83円前後への下落を想定する。4.83円以下は反騰注意とするが、4.86円を下回っての推移なら31日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
5月30日
16:00 4月 貿易収支確報 (3月 -73.4億ドル、予想 -99.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月24日時点 (5月17日時点 785.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月24日時点 (5月17日時点 338.4億ドル)
5月31日
16:00 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 1.0%)
16:00 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 4.0%)
6月3日
16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 3.18%)
16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 69.8%)
16:00 5月 コアCPI 前月比 (4月 3.6%)
16:00 5月 コアCPI 前年同月比 (4月 75.8%)
16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 3.60%)
16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 55.66%)
注:ポイント要約は編集部
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