5月27日早朝の一時急騰後は落ち着いた動き
〇トルコリラ円、5/28は概ね4.91から4.85の取引レンジ。5/27早朝の一時急騰後は慎重な値動きに留まる
〇ドル高リラ安が落ち着いた中でドル円の上昇を追いかけたいところ、5円目指して行く可能性高まるか
〇対ドル、5/28は概ね32.32から31.92の取引レンジ。日足終値ベースでは32リラ台維持、揉み合い続く
〇31リラ台前半へ進めば歴史的下落に対する一巡感増すが、リラ安のぶり返しに対する懸念も残るところ
〇4.85上回るうちは上昇余地あり、4.90超えからは4.93前後への上昇想定
〇4.85割れからは下落期入りとみて4.83前後への下落想定。4.83以下は反騰注意
【概況】
トルコリラ円の5月28日は概ね4.91円から4.85円の取引レンジ、29日早朝の終値は4.87円で前日終値4.88円から0.01円の円高リラ安だった。
ドル円は5月23日夜高値157.19円からジリ安の推移に入り28日夜には156.58円まで安値を切り下げていたが、28日夜の米CB消費者信頼感指数が予想を大幅に上回り、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が政策金利の現状維持が長期化する見通しとインフレ再燃なら利上げもあり得るとしたことで米長期債利回りが総じて上昇したために29日早朝に157.20円を付けて5月23日夜高値を超えて29日午前には157.30円台へ続伸している。
トルコリラ円としてはドル円の一段高を追いかけたいところだが、5月27日早朝に一時的な急伸で4.95円を付けてから反落し、28日早朝にも4.85円から4.90円のレンジで乱調な動きとなった後のため、28日午後から29日早朝にかけては慎重な値動きに留まった。
【ドル円は5月3日からの上昇が二段目に入り、トルコリラ円も円安を追いかけたいところ】
ドル円は4月29日に160.16円を付けて1990年4月2日高値160.36円以来の160円台に到達したところから二度の覆面市場介入を挟んで5月3日夜安値151.85円まで大幅下落したが、当面の円買い材料一巡により5月14日夜高値156.75円へ上昇し、5月15日の米4月CPI鈍化をきっかけに5月16日安値153.60円まで反落したところを押し目形成として5月23日夜高値157.19円へ一段高となり、5月3日夜からの上昇は二段目に入った。日本10年債利回りが5月28日に1.035%へ上昇して12年振り高水準とするなど円高要因もあるものの、米長期債利回りの上昇が継続していることとユーロ円やポンド円等の上昇による円の独歩安感も加わって29日午前に高値を伸ばしている。
トルコリラ円としては5月27日早朝の波乱後のためやや慎重な動きを続けているものの、基本的にはドル高リラ安が落ち着いた状況の中でドル円の上昇を追いかけたいところであり、5月30日の米GDP改定値と31日の米4月PCEデフレーターを通過してドル円が上昇を継続するならトルコリラ円も5月27日早朝高値を超えて5円を目指して行く可能性が高まるのではないかと注目したい。
【ドル/トルコリラは32リラを挟んだ揉み合い続く】
ドル/トルコリラの5月28日は概ね32.32リラから31.92リラの取引レンジ、29日早朝の終値は32.23リラで前日終値の32.13リラからは0.10リラのドル高リラ安だった。
4月12日に付けた取引時間中の史上最安値33.03リラ及び日足終値ベースでの史上最安値となった4月24日終値32.54リラでリラ売りが一巡してリラの買い戻し優勢の流れとなり、5月14日には高値で31.89リラを付けたものの31リラ台後半では繰り返し売られて日足の終値ベースでは32リラ台を維持している。5月21日終値32.12リラ以降は終値での高値更新がストップしており、29日はリラ買い一服で売られたものの32リラを挟んだ揉み合いの範囲にとどまっている。
4月25日にトルコ中銀が政策金利を50%で据え置いてインフレ抑制のための引き締めを継続するとしたことや5月3日のS&Pによるトルコ格付けの引上げ等により海外からのトルコへの投資意欲が拡大していることが週次の外貨準備高増加に反映されていることもトルコリラにはプラス要因だ。シムシェキ財務相が緊縮財政政策を打ち出したことも好感されている。
当面は32リラを挟んだ揉み合いを続けながら31リラ台前半へリラ高が進めばリラの歴史的な下落に対する一巡感が増すと思われるが、現時点では3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ高で付けた高値31.36リラを超えずにいるため、リラ安のぶり返しに対する懸念も残るところだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月27日朝の一時的な急伸から反落したために27日午前時点では27日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、27日午前の下落から持ち直して28日未明に4.90円へ上昇したため、28日午前時点では27日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして30日朝から6月3日朝にかけての間への上昇を想定した。
28日午前に乱調な展開となったものの29日午前序盤にかけて確りしているためまだ上昇余地ありとするが、4.85円割れからは弱気サイクル入りとして30日午前から6月3日午前にかけての間へ下落を想定する。
60分足の一目均衡表では5月27日早朝の乱高下から遅行スパンは実線と交錯し、先行スパンから転落した状況を続けているものの4.80円台後半を維持して確りしているので遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは上昇が勢い付く可能性もあると考える。ただし、4.85円割れからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は5月28日昼に40ポイントを割り込んでから50ポイント台へ持ち直しているためまだ上昇余地ありとし、60ポイント超えからは70ポイント前後を目指すとみるが、次の45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント台前半への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.85円を下値支持線、4.90円を上値抵抗線とする。
(2)4.85円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.90円超えからは4.93円前後への上昇を想定する。4.93円以上は反落注意とするが、4.87円を上回っての推移なら30日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.85円割れからは下落期入りとみて4.83円前後への下落を想定する。4.83円以下は反騰注意とするが、4.85円を割り込んだ後も4.87円以下での推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
5月30日
16:00 4月 貿易収支確報 (3月 -73.4億ドル、予想 -99.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月24日時点 (5月17日時点 785.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月24日時点 (5月17日時点 338.4億ドル)
5月31日
16:00 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 1.0%)
16:00 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 4.0%)
6月3日
16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 3.18%)
16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 69.8%)
16:00 5月 コアCPI 前月比 (4月 3.6%)
16:00 5月 コアCPI 前年同月比 (4月 75.8%)
16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 3.60%)
16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 55.66%)
注:ポイント要約は編集部
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