『トルコ中銀の利上げサイクル終了示唆でリラは対円対ドル共に史上最安値更新』
〇今週のトルコ円、週末にかけ史上最安値4.84まで急落
〇トルコ中銀会合のハト派的な結果、円高進行等が背景
〇トルコ中銀の利上げ幅縮小、引き締めサイクルの終了も示唆
〇トルコ円主要テクニカルポイントの下側で推移、強い売りシグナルも成立、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコリラ円相場の下落を連想させる材料揃う
〇来週はトルコ経済イベントに乏しく、年末・年始で閑散商いが見込まれレンジ内での膠着相場
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.75ー5.00
今週のレビュー(12/18−12/22)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.90円で寄り付いた後、(1)日銀による金融緩和の修正見送り(日銀金融政策決定会合および植田日銀総裁記者会見は総じてハト派)や、(2)上記1を背景とした円ロングの巻き戻し(ドル円急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、翌12/19にかけて、週間高値4.99円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)心理的節目5.00円を背にした戻り売り圧力や、(4)トルコ中銀会合のハト派的な結果(トルコ中銀は主要政策金利の1週間物レポレートを予想通り40.0%から42.5%へ引き上げるも、利上げ幅が前回の500bpから250bpへ縮小した他、「金融環境の引き締まり度合はディスインフレ軌道を確立するために必要な水準にかなり接近」「引き締めサイクルをできるだけ早く完了させる」との見解も示唆→市場はハト派的と解釈→追加利上げ催促のリラ売り再開)が重石となり、週末にかけて、史上最安値4.84円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/23午前4時40分現在)では、4.87円前後で推移しております。
来週の見通し(12/25−12/29)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、週末にかけて、史上最安値(4.84円)を更新するなど、冴えない動きが続いています(※対ドル相場も史上最安値を一段と更新)。日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること、日足のみならず4時間足や週足でも強い売りシグナルが点灯していること、対ドル相場の史上最安値更新が続いていること(米利下げ観測台頭で米ドルが急落しているにも係わらず、トルコリラはそれよりも更に安くなっている状態)を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感や、(2)トルコ国内におけるインフレ加速(エルカン総裁が就任した本年6月以降、計3400bpの利上げに踏み切るも、未だインフレ抑制に繋がらず)、(3)上記2を背景とした実質金利のマイナス継続(政策金利42.5%に対して直近で発表されたCPIが61.98%→実質金利は▲19.48%→構造的なリラ売り圧力)、(4)トルコ中銀による利上げサイクル終了の思惑(トルコ中銀は今週、「金融環境の引き締まり度合はディスインフレ軌道を確立するために必要な水準にかなり接近」「引き締めサイクルをできるだけ早く完了させる」と利上げサイクルが終了に近づいていることを示唆)、(5)中東問題に端を発したトルコ・西側諸国間の関係性悪化懸念、(6)日銀による金融緩和の修正観測(日銀によるマイナス金利の解除観測→円キャリートレード逆流懸念→ドル円下落→トルコリラ円連れ安)など、トルコリラ円相場の弱気材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。もっとも、来週に限って見れば、トルコ経済イベントに乏しく、また年末・年始で閑散商いが見込まれることから、トルコリラは狭いレンジ内での膠着相場が続きそうです(但し、市場流動性低下の隙をついたフラッシュクラッシュには要注意)。尚、トルコリラを巡る次の材料としては、来年1/11に米ニューヨークで開催されるトルコ中銀エルカン総裁やシムシェキ財務相による国外投資家向け説明会が注目されます。同説明会では、金融政策、財政政策、外貨準備、インフレ抑制策、貿易収支、トルコ資産についてのプレゼンテーションが予定されているため、国外投資家マネーを呼び込めるか否かの点で市場の関心を集めそうです。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.75ー5.00
※尚、来週(12/30)はトルコリラ週報を休刊とさせていただきます。次号は1/6を予定しております。本年も一年間ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
トルコリラ円日足
注:ポイント要約は編集部
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