南アランド週報:『年初来高値更新後に急反落。ファンダメンタルズの変調に要警戒』(11/11朝)

南アフリカランドの対円は、10/5に記録した安値7.58円をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、年初来高値8.23円(昨年11/30以来、約1年ぶり高値圏)まで急伸しました

南アランド週報:『年初来高値更新後に急反落。ファンダメンタルズの変調に要警戒』(11/11朝)

『年初来高値更新後に急反落。ファンダメンタルズの変調に要警戒』

〇今週の南ア円、週明け早々に年初来高値8.23まで上昇後、週末にかけ週間安値8.05まで反落
〇南ア・中国経済を巡る先行き不透明感、フィッチの南ア懸念表明等が重石に
〇テクニカルには主要テクニカルポイントの上側で推移、強い買いシグナルも成立、地合い維持
〇ファンダメンタルズはここ数週間、南アランドを押し上げてきた要因に陰りも
〇南アランド上昇をメインシナリオに据えつつも、ファンダメンタルズの「変調」には要注意
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.95ー8.25

今週のレビュー(11/6−11/10)

今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.17円で寄り付いた後、早々に年初来高値8.23円(昨年11/30以来、約1年ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)南アフリカ経済を巡る先行き不透明感の高まり(S&Pグローバルが11/3に発表した南ア10月PMIは前月の49.9から48.9へ低下)や、(2)格付け会社フィッチによる南アフリカに対する懸念表明(同社は南アフリカにおける計画停電や鉄道輸送の課題および先週の中期予算計画で示された財政目標の達成実現性について懸念を表明)、(3)中国経済の先行き不透明感(中国10月貿易黒字の市場予想を大幅に下回る結果→中国経済を巡る悲観論再燃→中国と経済的な結びつきの強い南アフリカ経済への下押し圧力)、

(4)南ア9月製造業生産(結果▲4.3%、予想▲2.5%)の市場予想を下回る結果、(5)パウエルFRB議長による「さらなる引き締めが適切になれば躊躇しない」「米経済は構造的に利上げに対して強靱かもしれない」とのタカ派的な発言、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力(南アフリカから米国への資金流出懸念再燃)、(7)金・プラチナ価格の冴えない動き(南アフリカの交易条件悪化懸念)が重石となり、週末にかけて、週間安値8.05円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/11午前4時30分現在)では、8.08円前後で推移しております。

来週の見通し(11/13−11/17)

南アフリカランドの対円相場(ZARJPY)は、10/5に記録した安値7.58円をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、年初来高値8.23円(昨年11/30以来、約1年ぶり高値圏)まで急伸しました(週末にかけて反落するも心理的節目8.00円の大台は死守)。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていないと判断できます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、ここ数週間、南アランドを押し上げてきた要因に陰りが見え始めています。

(1)米金融政策を巡っては、パウエルFRB議長によるタカ派発言を受けて、来年の利下げ開始時期の後ずれ観測が高まりました(米長期金利の反転上昇→南アフリカから米国への資金流出圧力再開)。また(2)南アフリカ政府による財政健全化措置についても、格付け会社フィッチによる懸念表明で期待感が剥落しました(先週は規律的な財政健全化策を好感する動きが続きましたが、今週は財政健全化措置の実現性への疑念が発生)。更に(3)南アフリカと経済的な結びつきの強い中国経済についても下振れ懸念が広がっています。以上を踏まえると、南アランド上昇の流れをメインシナリオに据えつつも、上記ファンダメンタルズ要因の「変調」には細心の注意が必要と考えられます。尚、来週は南ア第3四半期失業率や、南ア9月小売売上高に加えて、中国の主要経済指標(中国10月鉱工業生産、同小売売上高、同固定資産投資)に注目が集まります。

来週の予想レンジ(ZARJPY):7.95ー8.25

注:ポイント要約は編集部

『年初来高値更新後に急反落。ファンダメンタルズの変調に要警戒』

南アフリカランド円日足

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