ドルは連日の高値更新、口先介入等にも注意
〇本日のドル円、152円台示現するも円安けん制発言なく、高値圏をキープ
〇テクニカルにリスクはドル高方向、フィボナッチ61.8%戻しの153.40も視界内に
〇本日は米地区連銀経済報告、欧米通貨当局者の講演等に注意
〇ドル高・円安方向、本日東京高値152.35-40の攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向、下げ始めると151.30台に位置する200日線まで下落の懸念も
〇ドル円予想レンジ:151.50-152.90
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが一段高。前日、7月31日以来となる151円台を示現したばかりだが、本日は152円台まで続伸している。
ドル/円は151.05-10円で寄り付いたのち、当初は上値も重く上げ渋り。前日高値151.19円あたりでは頭も重かったが、上抜けるとそのまま緩やかな右肩上がりで、ついには152円台へ。これといった当局者からの円安けん制発言が聞かれなかったこともあり、ドルはそのまま高値圏をキープ、16時現在でも152円台で推移し欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「欧州金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、昨日ECB理事会メンバーなどによる金融政策関連の発言が相次ぎ、市場で思惑を呼んでいた。一例を挙げると、ECB総裁は「必要な限り、金利は景気抑制的な水準にとどまる」とやや強気のコメントを発したものの、ポルトガル中銀総裁は「中立水準への段階的、着実かつ予測可能な利下げが望ましい」。フランス中銀総裁「制約的な政策スタンスの解除が遅れるリスクは、早すぎるリスクよりも重大になる可能性」、スペイン中銀総裁「今後数ヵ月間、ECBは利下げを継続するとみている」−−など、むしろ弱気発言の方が目に付く格好だった。
後者は、ロシアでBRICS首脳会議が開幕。ホストであるプーチン氏は、BRICS出席のため訪露した中国国家主席や南アフリカ大統領、インド首相などと積極的な2国間会談を実施し、国内外にその存在をアピールしていた。また、ロシア発で「プーチン氏は中国主席に親愛なる友人とアプローチ」、「南ア大統領がプーチン氏は価値ある友人と述べた」など、ある種のプロパガンダと思えるような報道も多数観測されている。一方、そうしたなか、欧州議会はロシア凍結資産を活用したウクライナ融資を承認したうえ、米国も同様にロシア凍結資産を活用し「ウクライナに200億ドルの支援」を表明していた。着々とウクライナの反撃態勢が整いつつある感もある。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、先で指摘したとおり昨日7月31日以来となる151円台を示現したばかりだが、本日東京では152円台まで続伸している。リスクは間違いなくドル高で、テクニカルにもドル続伸を期待されるが、むしろここからのドル買いは慎重さが必要だろう。その最大の要因は、日本の当局が警戒する円安警戒ゾーンに入りつつあること。「152円台」という具体的なレベルはもちろんのこと、「1ヵ月で10%のドル高進行」は過度の変動と捉えられても不思議はないだろう。まずは口先介入からだが、しっかりと注意しておきたい。
市場の関心は引き続き日米金融政策に高い。そうした意味では、本日も発表される米指標や要人発言に一喜一憂しそうだ。一方、それとは別に市場で思惑を呼んでいるのが日米政治情勢。とくに週末に総選挙が実施される日本の政治情勢への関心が高く、報じられるメディアの獲得議席予想報道などに右往左往する展開をたどっている感がある。結果が出来るまであと数日、目先的には日米金融政策よりも、こちら関連の報道などがむしろ要注意といった声も聞かれている。
テクニカルに見た場合、ドル/円はとんとん拍子で152円台まで続伸。チャートを見ると、移動平均の90日線や一目均衡表の先行帯の雲の上限に続き、151.30円台に位置していた200日線もしっかり超えてきた。重要かつ強いと目された上方向の抵抗を軒並み突破してきたこともあり、リスクは間違いなくドル高方向にバイアスか。以前にレポートした高値161.96円を起点とした下げ幅の61.8%戻し、153.40円もすでに視界内へと捉えられている。
本日は米経済指標として、9月の中古住宅販売件数などが発表されるほか、米地区連銀経済報告の公表も予定されている。また、昨日に続き本日も欧米通貨当局者らによる講演などの発言機会は数多く、一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは151.50-152.90円。ドル高・円安方向は、本日東京高値の152.35-40円の攻防にまずは注目。抜ければ153円台乗せをうかがう展開も。
対するドル安・円高方向は、ドルの上昇スピードが速いこともあり、引っ掛かりどころがさほど多くない。基本的には底堅いイメージだが、下げ始めると151.30円台に位置する200日線ぐらいまではあっという間に下落する懸念もある。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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