トルコリラ円見通し ドル高リラ安の再燃に圧迫されつつドル円の反騰に支えられる(23/9/14)

トルコリラ円の9月13日は概ね5.48円から5.44円の取引レンジ、14日早朝の終値は5.47円で前日終値の5.46円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安の再燃に圧迫されつつドル円の反騰に支えられる(23/9/14)

ドル高リラ安の再燃に圧迫されつつドル円の反騰に支えられる

〇トルコ円、9/11安値5.43以降の戻りを継続するも、9/14午前はドル円失速を受け売り圧力
〇8/24の急騰一巡後は持ち合いで方向感探る、次に5.40割り込む場合は再び史上最安値試す可能性も
〇対ドル、9/13は概ね27.07から26.70の取引レンジ、終値ベースで8/24以降の安値更新中
〇コメルツバンク、2024年は通年1ドル30リラで推移と予想
〇5.49では戻り売りも出やすいとみるが、5.49を超える場合は5.50から5.52への上昇を想定
〇5.45割れから続落の場合は5.43試しとし、5.43割れからは5.40を試す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の9月13日は概ね5.48円から5.44円の取引レンジ、14日早朝の終値は5.47円で前日終値の5.46円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル円は9月11日に日銀植田総裁インタビュー記事でのマイナス金利解除への言及をきっかけとした急落からの出直りを継続し、9月13日夜の米8月CPI発表直後には147.71円まで戻り高値を伸ばしたため、トルコリラ円も9月11日安値5.43円以降の戻りを継続している。
しかし、ドル円は9月6日以降、148円手前で繰り返し売られて上値が重くなっており、円安によるトルコリラ円への押し上げ力もやや鈍ってきている。13日夜の米CPIは全体の伸びが加速する一方でコア指数の伸びが鈍化したことで決め手に欠いており、ドル円としては148円台へ一段高するために手がかりが欲しいところだ。
9月14日午前はドル円が147円を試すところまで失速しており、トルコリラ円にも売り圧力がかかっている。

【8月24日の急騰一巡後は持ち合いで方向感探る】

トルコリラ円はエルドアン大統領再選をきっかけとして5月26日高値7.06円から7月18日安値5.08円まで暴落的な下げとなり史上最安値を大幅に更新したが、リラ売りの一巡とトルコ中銀総裁および財務相による金融政策正常化姿勢と連続の利上げにより8月24日に中銀が7.5%の超大幅利上げを決定した際には5.77円まで高値を伸ばした。しかし高インフレ、高金利、増税、経済成長の鈍化、経常赤字や財政赤字といった悪条件が簡単に解消するわけではなく、8月24日の急騰後は揺れ返しでドル高リラ安基調に入っている。
トルコリラ円はドル円が148円手前で上値が重いこともあり、一時的な高安を除けば5.50円以上では売られて5.40円前後では買われる持ち合いにつかまっている。

9月11日にドル円の乱高下に合わせて反落したところでの安値は5.43円にとどまり、8月24日高値からの反落で付けた9月1日安値5.42円割れを回避し、9月13日の一時的な安値提示で5.42円を付けた後もしっかりしているが、徐々に戻した場面での上値が重くなっており、次に5.40円を割り込んでくる場合は再び史上最安値を試して行く下落期に入りかねないと注意したい。

【対ドルでは終値ベースで8月24日以降の安値を更新】

ドル/トルコリラの9月13日は概ね27.07リラから26.70リラの取引レンジ、14日早朝の終値は26.92リラで前日終値の26.85リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
8月24日にトルコ中銀が市場予想の3倍となる7.5%の追加利上げを決定したことで当日安値27.27リラから高値25.02リラへドル安リラ高となったが、8月25日以降はリラ安が再開して連日のように安値を切り下げる展開をつづけている。9月12日は安値で27.10リラを付けて8月24日以降の安値を更新し、13日は安値更新には至らなかったものの終値ベースでは8月24日以降の最安値としており、8月24日の急騰幅はほぼ解消されてきている。

【1ドル=30リラへ向かう?】

ドイツのコメルツバンクは9月13日にドル/トルコリラとユーロ/トルコリラの長期見通しを発表した。同銀はドル/トルコリラについて2023年12月に1ドル30リラへ下落した後、2024年は通年で30リラでの推移と予想した。ユーロ/トルコリラについては2023年12月で1ユーロ34.2リラ、2024年3月に24.5リラ、2024年12月には33.6リラとの見通しとした。
同銀はエルカン・トルコ中銀総裁とシムシェキ財務相による新体制が伝統的な金融政策へ回帰して大幅利上げを行っていることを評価しているが、エルドアン大統領が新体制への支持を継続できるのかどうかについては不確実性があると指摘している。

9月15日にはトルコ中銀の企業調査(ビジネス・サーベイ)による為替・インフレ・政策金利予想のまとめが発表される。8月18日の前月予想ではドル/トルコリラの2023年末予想値は29.82リラ、インフレ率は59.46%、政策金利は25.0%だったが、すでに政策金利は25%に達し、CPIは8月に58.94%に達しており、予想値はさらに切り上がる可能性があると思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月11日の乱高下が落ち着いて戻しに入ったために11日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして14日朝から18日朝にかけての間への上昇を想定した。
9月13日には一時的な安値を除いて戻り基調を継続しており、14日午前も一時的な下落から戻しているのでまだ上昇余地ありとするが、5.45円割れから続落に入る場合は下向きとして11日安値5.43円試しとし、底割れから続落する場合には弱気サイクル入りとして14日午後から18日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月11日安値からややジリ高基調での推移が続いているが、遅行スパンは実線と交錯しているものの一時的な高値を除いて先行スパンを上抜けずにいる。
連続的な上昇で先行スパンを上抜く場合はさらに戻りを試して行くとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、5.45円割れから続落に入る場合は下落期入りを警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月14日午前の円高に圧迫されて40ポイント近辺へ低下しているためすでに下落期入りしている可能性があると注意し、55ポイント超えからは上昇再開とするが、45ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント前後を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.43円を下値支持線、5.49円を上値抵抗線とする。
(2)5.45円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとみる。5.49円では戻り売りも出やすいとみるが、5.49円を超える場合は5.50円から5.52円への上昇を想定し、5.48円以上での推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.45円割れから続落の場合は5.43円試しとし、5.43円割れからは5.40円を試す下落を想定する。5.40円以下は反騰注意とするが、5.45円以下での推移なら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月14日
20:00 週次 外貨準備高 9月8日時点 グロス (9月1日時点 787.7億ドル)
20:00 週次 外貨準備高 9月8日時点 ネット (9月1日時点 161.5億ドル)

9月15日
16:00 トルコ中銀企業調査 年末の為替・CPI・政策金利予想値

9月20日
23:30 8月 トルコ中央政府債務 (7月 5兆8230億リラ)

9月21日 
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 25.00%)


注:ポイント要約は編集部

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