ドル円見通し 米CPI発表後に147.71円へ上昇するもその後は伸びず(23/9/14)

ドル円は、13日夜には米CPI発表後に147.71円まで戻り高値を切り上げた。

ドル円見通し 米CPI発表後に147.71円へ上昇するもその後は伸びず(23/9/14)

米CPI発表後に147.71円へ上昇するもその後は伸びず

〇ドル円、日銀マイナス金利解除等への言及により先週末から乱高下、9/12夜には147円台回復
〇9/13米8月CPIは決め手に欠いた内容、発表直後147.71まで上昇するもドル高反応は限定的
〇148円突破するか、来週の日米金融政策会合通過までは方向性決めかねるところ
〇9/19-20FOMC利上げ見送り予想に変化ないが、インフレ高止まり感拭えず、ドット・プロットに注目
〇昨夜高値147.71超えからは147.85から148円手前にかけての水準を試すとみる
〇146.85割れからはいったん下げに入るとみて146.65から146.35にかけての水準を試す下落を想定

【概況】

ドル円は植田日銀総裁インタビュー記事におけるマイナス金利解除等への言及をきっかけとして先週末9月9日早朝高値147.86円から週明けの11日夕安値145.89円まで2円近い急落となり、11日夜には146.98円へ戻してから146.16円まで反落する乱高下となったが、記事反応が落ち着いたことで12日夜には147円台を回復し、13日夜には米CPI発表後に147.71円まで戻り高値を切り上げた。
13日夜の米8月CPI上昇率は全体の前年比が原油相場高を反映して2か月連続で加速したもののエネルギー・食品等を除くコア指数の伸びは7月から鈍化したため、市場反応は決め手に欠いた内容と受け止められて発表直後のドル高反応は長続きしなかった。

【足元、経済指標等の反応待ち】

9月11日の波乱を消化して147円台後半まで戻したことにより、ドル円の上昇基調はまだ継続的との見方が強まりつつあるようだ。9月6日以降は148円手前で繰り返し売られており、9月6日の神田財務官発言、8日の鈴木財務相発言による円安けん制に続いて植田日銀総裁インタビューでのマイナス金利解除への言及も日銀なりの口先介入と受け止められている。
148円手前の抵抗感を突破してゆくだけの円安ないしドル高の追加材料が出てくるのかどうか、今夜の米PPIや新規失業保険申請件数、ECB理事会での利上げ継続姿勢等で見定めてゆくことになりそうだが、来週のFOMC(21日未明に政策金利発表、議長会見)、22日の日銀金融政策決定会合を通過するまでは方向性を決めかねるところかもしれない。

【米8月CPI、全体の伸びが加速するもコア指数は鈍化】

9月13日夜に米労働省が発表した8月CPI(消費者物価指数)上昇率は全体の前月比が0.6%となり、7月の0.2%から大幅に伸びが加速したが市場予想と一致し、前年同月比は3.7%となり、7月の3.2%から加速して市場予想の3.6%を上回った。変動の激しいエネルギーや食品を除いたコアCPI上昇率は前月比が0.3%で7月および市場予想の0.2%を上回ったものの前年同月比は4.3%となり、市場予想と一致したが7月の4.7%から大幅に鈍化した。

総じて予想に近い内容であり、全体の上昇率が2か月連続で加速したのは原油相場の上昇を反映したものと思われ、コア指数の伸びが鈍化したことにより9月19-20日のFOMCにおける利上げ見送りとの市場予想に変化はないようだ。しかし、インフレの高止まり感もぬぐえず、9月FOMCで利上げを見送った後もインフレの伸びが加速してしまえばFOMCとしては対応が後手に回ることになり11月と12月のFOMCで追加利上げを行うかもしれないとの見方も出ている。
9月FOMCではメンバーによる金利見通し等のドット・プロットが示される。6月FOMCでは2024年に利下げが再開される可能性を示唆するものだったが、メンバーの見通しに変化が出ているのかどうか興味深い。

【米10年債利回りは急伸後に急低下、ダウは続落】

9月13日の米長期債利回りは概ね低下した。CPI発表直後は追加利上げへの思惑が一時的に先行したものの当面は利上げ見送りとの見方が再認識されて低下した印象だ。
長期金利指標の10年債利回りは米CPI発表後に乱高下し、一時4.36%へ急伸して8月22日につけた2020年3月以降の最高水準である4.37%に迫ったが、上昇反応は一時的なものにとどまりその後の反落で4.23%を付ける軟調推移となった。
30年債利回りは前日比変わらずの4.35%で終了したが、CPI発表直後に4.42%を付けて8月31日安値4.18%以降の高値を更新してから一時4.31%まで低下する軟調推移となった。
利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.05%低下の4.98%で終了したが、CPI発表直後に5.04%を付けてから一時4.97%まで低下する軟調な展開となった。

一方でNYダウは前日比70.46ドル安と下落、12日に17.73ドル安と4日ぶりに反落したところからの続落となったが、ナスダック総合指数は米長期債利回り低下を見て39.98ポイント高と上昇して前日の144.28ポイント安から戻した。米CPIが決め手に欠いたため、14日の米小売売上高やPPI(生産者物価指数)および週間新規失業保険申請件数を見定めたいとして全般に慎重な動きだったようだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は9月11日の急落で146円を割り込んだところから147円台回復へ切り返したために13日午前時点では11日夕安値を起点とした上昇期に入っているとして16日早朝にかけての上昇を想定した。
9月13日夜へ高値を切り上げてからやや下げているものの147円台を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、148円手前では売られやすいとみて147円割れを弱気転換注意とし、146.85円割れからは下落期入りとして18日にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月11日安値からの反騰により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き返したが、13日夜高値の後はやや失速気味のため遅行スパンは悪化しやすい位置にある。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月12日夜から13日夜への上昇に対して70ポイント手前を抵抗として指数のピークがフラットとなる弱気逆行がみられる。60ポイント台回復からは上昇再開とするが、50ポイント割れを下向きとし、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台前半への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、146.85円を下値支持線、147.71円を上値抵抗線とする。
(2)147円以上での推移中は上昇余地ありとし、昨夜高値147.71円超えからは147.85円から148円手前にかけての水準を試すとみるが、148円手前は反落警戒とする。
(3)147円割れからは下向きとし、146.85円割れからはいったん下げに入るとみて146.65円から146.35円にかけての水準を試す下落を想定する。146.50円以下は反発注意とするが、147円以下での推移なら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/14(木)
10:30 (豪) 8月 新規雇用者数 (7月 -1.46万人、予想 2.30万人)
10:30 (豪) 8月 失業率 (7月 3.7%、予想 3.7%)
13:30 (日) 7月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -2.0%)
13:30 (日) 7月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (6月 -2.5%)
13:30 (日) 7月 設備稼働率 前月比 (6月 3.8%)
21:15 (欧) ECB(欧州中銀) 政策金利 (現行 4.25%、予想 4.25%)
21:30 (米) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.7%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 1.0%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 0.8%、予想 1.2%)
21:30 (米) 8月 コアPPI 前月比 (7月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 コアPPI 前年同月比 (7月 2.4%、予想 2.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 22.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 167.9万人、予想 169.5万人)

21:45 (欧) ラガルドECB総裁会見
23:00 (米) 7月 企業在庫 前月比 (6月 0.0%、予想 0.1%)

9/15(金)
11:00 (中) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 2.5%、予想 3.0%)
11:00 (中) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 3.7%、予想 3.9%)
13:30 (日) 7月 第三次産業活動指数 前月比 (6月 -0.4%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調済 (6月 125億ユーロ)
18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調前 (6月 230億ユーロ)
21:30 (米) 9月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (8月 -19.0、予想 -10.0)
21:30 (米) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 輸出物価指数 前月比 (7月 0.7%、予想 0.3%)
22:15 (米) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 1.0%、予想 0.1%)
22:15 (米) 8月 設備稼働率 (7月 79.3%、予想 79.3%)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (8月 69.5、予想 69.2)


注:ポイント要約は編集部

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