ドル円の乱高下落ち着きトルコリラ円も持ち直しを試す
〇トルコ円、9/12はドル円乱高下が落ち着き深夜への上昇で147円台回復したため、5.50円へ上昇
〇クロス円全般とトルコ円において、短期的に乱高下したところは買い拾われやすい展開で推移
〇対ドル、9/12安値で27.10リラをつけ8/24以降の安値更新、8/24の急騰幅も解消されつつある
〇8/24安値割り込み一段安に入る場合、トルコ円も5.40割れから下げ足速まり史上最安値を再び試すか
〇5.45を上回るうちは戻りを試す可能性あり、5.48近辺では戻り売りにつかまりやすいとみる
〇5.45割れからは5.43前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の9月12日は概ね5.50円から5.42円の取引レンジ、13日早朝の終値は5.46円で前日終値の5.44円からは0.02円の円安リラ高だった。
先週末の一部メディアによる日銀植田総裁インタビュー記事でマイナス金利解除への言及があったことでドル円が9月9日早朝高値147.86円から11日夕安値145.89円へ2円近い急落となったため、トルコリラ円もドル円を追いかけて5.43円へ下落、その後はドル円の乱高下を見ながら5.47円へ反騰してから5.44円へ反落する乱調な展開となったが、12日はドル円の乱高下が落ち着いて深夜への上昇で147円台を回復したため、トルコリラ円も5.50円へ上昇した。ベンダーによっては5.56円の高値を付けたところも見られた。13日早朝にかけては戻り一巡でややジリ安の推移となり、ベンダーによっては一時的な下落により5.42円の安値提示も見られた。
【クロス円における円安基調はまだ継続的か】
ドル円は日銀総裁によるマイナス金利解除への言及をきっかけに急落したが、今回の日銀総裁発言をきっかけに新発10年債利回りが一時0.7%を超えたものの、日銀は国債買い入れオペの通告等により長期金利上昇を抑制する動きも見せており、円安が過熱することへの日銀なりのけん制的な口先介入として市場に先行きのマイナス金利解除を意識させたのだろうと思われる。徐々に金融緩和政策が出口へ向かっているとの見方も根強いが、欧米等におけるインフレがピークアウトしてきている状況にあっては日銀が緩和終了を急ぐ必要もなく、しばらくは金融緩和政策の基調は続くのではないかと思われる。
クロス円全般とトルコリラ円においては、ドル円の上昇基調は継続するとみて、ドル円が短期的に乱高下したところでは買い拾われやすい展開で推移するのではないかと思われるが、トルコリラ円としてはドル/トルコリラにおける急変について常に注意したい。
【8月24日急騰後の下げ一服での持ち合い】
トルコリラ円はエルドアン大統領再選をきっかけとしたリラ暴落により5月26日高値7.06円から7月18日の史上最安値5.08円まで下げてから持ち直し、8月24日にはトルコ中銀の超大幅利上げを好感して5.77円へ急伸したが、戻り一巡で失速した後は5.40円台で買い支えられつつ一時的な高値提示を除けば5.55円超えを売られる持ち合いにつかまっている。
持ち合いを維持するうちはドル円の上昇による押し上げで5.60円台へ向かう可能性もあると思われるが、ドル円の上昇が頭打ちとなる場合やドル/トルコリラが8月24日安値を割り込んで一段安に入る場合には、5.40円割れから下げ足が速まり史上最安値を再び試す流れへ進みかねないと注意する。
今夜の米CPIが目先の注目イベントだが、来週は9月19−20日のFOMC(21日未明に政策金利発表、議長会見等)、9月21日夜にトルコ中銀金融政策委員会、9月21−22日に日銀金融政策決定会合と重要イベントが続くため、秋から年末への方向性も決まってくるのではないかと思われる。
【対ドルでは8月24日の急騰幅を解消する動きが続く】
ドル/トルコリラの9月12日は概ね27.10リラから26.65リラの取引レンジ、13日早朝の終値は26.85リラで前日終値の26.80リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。
8月24日にトルコ中銀が市場予想の3倍となる7.5%の追加利上げを決定したことで当日安値27.27リラから高値25.02リラへ急激なドル安リラ高となったが、8月25日以降はリラ安が再開しており、9月12日は安値で27.10リラを付けて8月24日以降の安値を更新しており、徐々に8月24日の急騰幅が解消されてきている。
先週末にはフィッチ・レーティングスがトルコの格付けをBに据え置いたものの見通しを従来のネガティブから安定的へと引き上げたことでリラ買い要因とされる場面も見られたが、高インフレ、高金利、経常収支や財政収支の悪化、中央政府債務の膨張、経済成長の鈍化などのファンダメンタルズの悪さは簡単には解決できないと市場はみているようだ。
トルコリラ預金の為替差損を補填する制度が当局の意向で縮小し始めて外貨預金が拡大していることもドル高リラ安の背景となっている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月11日の乱高下が落ち着いて戻しているため、11日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は11日朝高値を基準として14日朝から18日朝にかけての間と想定するが、戻りは短命の可能性もあるとみて一時的な安値提示を除いて5.45円を割り込むところからは弱気サイクル入りの可能性を優先して14日午後から18日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では9月12日夜への上昇で遅行スパンが好転したが先行スパン突破には至らずにいる。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化から下げ再開とみて安値試し優先とするが、先行スパンを連続的な上昇で上抜き返す場合は上昇継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9月12日夜への上昇で60ポイントに到達してから失速して50ポイントを一時割り込んでいる。60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落期入りとみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.45円を下値支持線、5.48円を上値抵抗線とする。
(2)5.45円を上回るうちは戻りを試す可能性があるとみる。5.48円近辺では戻り売りにつかまりやすいとみるが、5.48円を超える場合は5.50円試しを想定し、5.46円以上での推移なら14日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.45円割れからは5.43円前後への下落を想定する。5.43円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は5.42円から5.40円にかけてのゾーンへ下値目途を引き下げ、5.44円以下での推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月14日
20:30 週次 外貨準備高 9月8日時点 グロス (9月1日時点 787.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月8日時点 ネット (9月1日時点 161.5億ドル)
9月15日
16:00 トルコ中銀企業調査 年末の為替・CPI・政策金利予想値
9月20日
23:30 8月 トルコ中央政府債務 (7月 5兆8230億リラ)
9月21日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 25.00%)
注:ポイント要約は編集部
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