ユーロは対ドル対円ともテクニカルが効いている
〇先週は日銀がYCC修正に動いたことでドル円・ユーロ円ともに乱高下を見せる
〇ドル円・ユーロ円上昇の動きがユーロドルにも買い戻しの動きとなる
〇短期金利は日米金利差、日欧金利差ともに拡大したことで、金曜NY市場以降は改めて円売りの動き
〇ユーロ円がリードしてのユーロドル相場が続くか
〇ユーロドルのテクニカルは先週安値と重なる1.09半ばが当面は鉄板の安値に
〇今週は1.0950レベルをサポートに、1.1150レベルをレジスタンスとするレンジを見る週とする
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルはFOMC、ECB理事会、日銀会合と重要な金融政策イベントが続く中で、FOMCとECB理事会はどちらも予想通り0.25%利上げとなったものの、次回以降の利上げに対してはデータ次第と利上げ打ち止めの可能性を示唆する会見となったことで、FOMC後はドル売り(ユーロ買い)、ECB理事会後はユーロ売りとなりました。
問題はその後で、木曜NY市場の日経速報でドル円、ユーロ円での円高の動きからユーロドルは続落、日銀会合は日経速報通りにYCCの修正に動いたことでその後のドル円、ユーロ円は乱高下を見せましたが、最終的にドル円、ユーロ円ともに上昇する動きがユーロドルにも買い戻しの動きとなった週末の引けとなりました。
一連の金融政策イベントが終わり米欧の金利差はこれまで通り、いっぽうで日銀はイールドカーブコントロールの修正に踏み切ったものの政策金利は変わらず、短期金利は日米金利差、日欧金利差ともに拡大したことで、金曜NY市場以降は改めて円売りの動きとなりました。
ただドル円は警戒水域となる142円に近づいてきたいっぽうで、ユーロ円には警戒水準はありませんので、今後はユーロ円での買いの方が動きやすく、結果としてユーロドルが底堅い動きになってくるというのが現時点での見方となるでしょう。
ただ今回の日銀の動きはサプライズで、将来的な出口戦略へと繋がっていくであろうことを考えると、長期的には金利上昇による円買いという動きになりそうな気がしてなりません。その点は常に注意しながら今はユーロ円における円安地合いを中心に考えていくのが良さそうです。先週はユーロ円のレンジが6円を超える大きな動きを示しましたが特に週後半の片道5円の行って来いは印象的な動きだったと思います。
ユーロ円の下げで3月からの上昇トレンドが終わったかと思いきや、大いなるダマシに終わったことで、ユーロ円がリードしてのユーロドル相場が続きそうです。ユーロ円のテクニカルは今週のコラムで扱っていますので、ここではユーロドルのテクニカルを見て行きましょう。
ユーロドルのテクニカルは先週安値が3重に目先の安値となった可能性を示しています。まずトライアングルを形成していた5月安値からのサポートライン(青)で下げ止まったこと、同じくトライアングルを形成していた5月高値からのレジスタンスライン(ピンク)が抜けたレジスタンスはサポートとしてしっかり機能したこと、そして5月安値と7月高値の半値押し(赤のターゲット)で下げ止まったこと、これら3つの現象を考えると先週安値と重なる1.09台半ばは当面鉄板の安値と考えたいところです。
そうなると上値の目途を考えると、7月高値と先週安値の61.8%戻し1.1148が先週高値と重なることから1.11台半ばがレジスタンスとなります。これらの水準から今週は1.0950レベルをサポートに、1.1150レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。
今週のコラム
今週もユーロ円のチャートを見てみます。
ピンクの平行上昇チャンネルを下抜けたことでユーロ円がいったん下降トレンド入りかと思ったところわずか一日で行って来い、その値幅5円というなかなかきつい相場を演じてくれました。ただ下げた際の安値が5月高値で止められたことから当面は5月高値(青の水平線)と7月高値158.04の間の横方向の動きになってきたと見て、さらにその後は3度目のトライで158円台にしっかりと乗せて160円の大台に向かうという展開が考えられそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
7月31日(月)
15:00 ドイツ6月小売売上高、輸入物価
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏7月CPI速報値 ☆
8月1日(火)
16:50 フランス7月製造業PMI
16:55 ドイツ7月製造業PMI
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI
17:30 英国7月製造業PMI
18:00 ユーロ圏6月失業率
8月2日(水)
(特になし)
8月3日(木)
15:00 ドイツ6月貿易収支
16:50 フランス7月サービス業PMI
16:55 ドイツ7月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏7月サービス業PMI
17:30 英国7月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏6月PPI ☆
20:00 英中銀MPC結果発表、議事要旨公表 ☆
20:30 英中銀総裁会見 ☆
8月4日(金)
15:00 ドイツ6月製造業新規受注
15:45 フランス6月鉱工業生産
17:30 英国7月建設業PMI
18:00 ユーロ圏6月小売売上高
21:30 米国7月雇用統計 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
7月24日(月)
ユーロドルは東京市場では1.11台前半の狭い値幅でもみあい、欧州市場序盤にユーロ買いが先行し一時は前日高値を上回ったものの、PMIが軒並み予想よりも弱かったことから急落。1.1065レベルまで下げたあと1.11台まで戻しましたが、強かった米国製造業PMIを受けたドル買いの動きから1.1060レベルへと再び売られ安値引けとなりました。
7月25日(火)
ユーロドルは東京市場ではやや底堅い動きとなっていましたが、欧州市場に入り発表された弱い経済指標に反応してユーロ売りの動きが強まり、NY前場に1.1020レベルの安値をつけました。引けにかけてはドル売りの動きからやや買い戻されました。
7月26日(水)
ユーロドルは東京市場からやや底堅い展開を続けましたが、FOMCを前に積極的な取引は手控えられました。FOMCは予想通りだったものの次回以降の利上げはデータ次第とタカ派的とはならず、ドル売りの動きから1.11台に乗せ。引けにかけてはわずかに押して引けました。
7月27日(木)
ユーロドルはECB理事会で利上げが行われることは確実視されていたことや、タカ派な発言が出る可能性もあるかもしれないとの思惑によるユーロ買いの動きが先行しました。欧州市場昼前頃に一時1.1150レベルと週初の高値を上回る動きを見せてのECB理事会待ち。ECB理事会は予想通りであったものの、ラガルド総裁会見で最近のECB関係者の発言と同様に現時点ではハト派な見方を示したことでユーロ売り、強い米国GDPも重なって1.0966レベルまで下押しし安値圏での引けとなりました。
7月28日(金)
ユーロドルは欧州市場序盤までは日銀会合後のドル円の乱高下をよそに細かい上下を見せ、一時1.0944レベルの安値をつけました。その後ドル円の上昇とともにユーロ円でも大きく円安に振れた動きもあってユーロドルは1.1047レベルまで上昇後、若干押して引けました。
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