『レンジ相場継続するも悪材料目白押しの中、下値リスクに引き続き警戒』
〇今週の南ア円、ドル円急落、中国のコロナ感染拡大懸念等に1/3に7.61まで下落
〇その後はドル円上昇、南ア株の堅調等に7.86まで反発するも、週末のドル円急落で7.69まで反落
〇足元では7.60ー7.90をコアレンジとした上下動に終始するも、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南ア経済先行き不透明感、中国景気先行き懸念等が重石に
〇南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.80
今週のレビュー(1/2−1/6)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.70円で寄り付いた後、(1)日銀による金融緩和の修正観測(昨年末12/31に報じられた「日銀が1/17ー1/18の会合で物価見通しを上方修正すると共に政策修正に動く可能性がある」との日本経済新聞社の観測記事)や、(2)上記1を背景とした円キャリートレードの逆流懸念(ドル円急落→南アランド円連れ安)、(3)中国の新型コロナウイルス感染再拡大懸念(ゼロコロナ規制緩和に伴う反動で感染者が急増→中国と経済的な結びつきの強い南アフリカにとってのネガティブ要因)が重石となり、翌1/3にかけて、週間安値7.61円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)対主要通貨での円売り再開(ドル円が1/3に記録した安値129.51をボトムに急反発→南アランド円連れ高)や、(5)南ア株の堅調推移、(6)短期筋のショートカバーが支援材料となり、翌1/4にかけて、週間高値7.86円まで反発しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(7)週末に発表された米雇用統計および米ISM非製造業景況指数の結果を嫌気したドル円急落(南アランド円連れ安)や、(8)南アフリカ民族会議(ANC)マンタシェ全国委員長による「南アフリカ中銀の責務を経済ニーズに合わせて拡大する必要性がある」とのサプライズ発言(中銀による責務拡大懸念)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/7午前2時05分現在)では、7.69円前後まで値を崩す動きとなっております。尚、今週発表された南ア経済指標では、南ア12月スタンダード銀行PMI(結果50.2、前回50.6)が不冴な数字となった一方、南ア12月製造業PMI(結果53.1、前回52.6)が堅調さを維持するなど、強弱まちまちの結果となりました。
来週の見通し(1/9−1/13)
南アフリカランドの対円相場は、約2ヵ月に亘って続いた8.00ー8.30レンジを昨年12/1に下方ブレイクすると、12/20に一時7.53円(約9ヵ月半ぶり安値圏)まで下げ幅を広げましたが、その後は幾分持ち直す動きとなり、足元では7.60ー7.90をコアレンジとした上下動に終始しております。但し、上方に複数のレジスタンスポイントが控えていることや、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーが成立していること、週末にかけて再び反落に転じていること(上値の重さを再確認)等を踏まえると、テクニカル的に見て、リスクは依然ダウンサイドと判断できます(遅行線が26日前のローソク足に接触したことで一目均衡表三役逆転は一時的に消失する形となりましたが、数日以内に再点灯する可能性が高いことから、来週は再び地合いが悪化する恐れあり)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(失業率の高止まりや電力不足の長期化懸念、相次ぐストライキや高水準の政府債務など悪材料目白押し)や、(2)経済的な結び付きの強い中国の景気減速懸念(新型コロナウイルスの感染再拡大懸念)、(3)南ア中銀の利上げペース鈍化観測(先月発表されたインフレ指標が軒並み鈍化→南ア中銀の金融引き締め休止観測)、(4)日銀による金融緩和の修正観測(対主要通貨での円買い圧力)、(5)南アフリカなど新興国からの根強い資金流出圧力など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は1/10に予定されている南ア11月製造業生産以外に目立った経済イベントが予定されていないことから、米長期金利や米主要株価指数、円相場やドル相場、貴金属市場や中国経済を巡るヘッドラインなど外部要因に振らされ易い神経質な1週間となりそうです(目先は昨年12/20に記録した約9ヵ月ぶり安値7.53円を試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.80
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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