『約1年ぶり安値更新後に切り返すも上値余地は限定的か』
〇今週のトルコ円、ドル円の下落に1/3にかけ6.89まで下落
〇その後トルコ経済指標の好調やドル円の上昇に7.18まで急伸するも週末は7.03レベルに反落
〇トルコ円上方より複数のレジスタンスポイントが垂れ下がり売りシグナルも点灯、上値余地乏しいか
〇トルコのファンダメンタルズの弱さ不変、対ドルでは市場安値付近で推移
〇トルコリラ売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.80ー7.20
今週のレビュー(1/2−1/6)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.01円で寄り付いた後、(1)日銀による金融緩和の修正観測(昨年12/31に日本経済新聞社が報じた「日銀が1/17ー1/18の会合で物価見通しを上方修正すると共に政策修正に動く可能性がある」との観測記事)や、(2)上記1を背景とした対主要通貨での円買い圧力(円キャリートレード逆流の思惑→ドル円・クロス円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、翌1/3にかけて、2021年12月20日以来、約1年ぶり安値となる6.89円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)トルコ12月製造業PMI(結果48.1、前回45.7)の良好な結果や、(4)トルコ12月消費者物価指数(結果+64.27%、予想+67.20%、前回84.39%)の伸び率鈍化、(5)トルコ12月生産者物価指数(結果+97.72%、前回+136.02%)の伸び率鈍化、(6)対主要通貨での円売り再開(ドル円が1/3に記録した安値129.51をボトムに急反発→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.18円まで急伸しました。
もっとも、一目均衡表基準線および21日移動平均線をバックに伸び悩むと、(7)週末に発表された米雇用統計および米ISM非製造業景況指数の結果を嫌気したドル円急落(ドル円・クロス円急反落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/7午前2時05分現在)では、7.03円前後まで反落する動きとなっております。尚、対ドル相場は週後半にかけて史上最安値を更新しました。
来週の見通し(1/9−1/13)
トルコリラの対円相場は、年明け1/3に約1年ぶり安値となる6.89円まで下げ幅を広げましたが、週央以降に持ち直す動きとなりました。但し、上方より複数のレジスタンスポイントが垂れ下がってくることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しい(ここからの更なる上昇は容易では無い)と判断できます。事実、トルコリラの対ドル相場は史上最安値近辺での冴えない動きが継続するなど、トルコリラの実質的な弱さは不変と考えられます(週央以降のトルコリラ円上昇はトルコリラ単独の材料というわけではなく、あくまでドル円上昇に連れた主体性の無い動き。週末にかけてドル円が再び急落していること等を踏まえると、来週はトルコリラ円相場の下落リスクに注意が必要)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感や、(2)トルコ中銀による金融緩和再開の思惑(今週発表されたCPI・PPIが予想外にインフレ鈍化を示す内容となった為、本年6月に予定されている大統領選挙に向けて、エルドアン大統領がトルコ中銀に対して更なる金融緩和を求める恐れあり)、(3)トルコ政府・中銀によるリラ安抑制策の乏しさ(トルコ中銀は昨年12/30の年次金融政策報告の中で「リラ化政策」の一環として銀行システムに占めるリラ建て預金割合を向こう半年間で現在の53%から60%に引き上げる方針を発表→強引な資本規制は副作用を伴うことからトルコリラの長期安定化に繋がらず→一巡後の反落リスクに要警戒)、(4)日銀による金融緩和の修正観測(円キャリートレード逆流に伴う円買い圧力)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ11月失業率や、トルコ11月経常収支以外に目立った経済イベントが予定されていない為、米長期金利や米主要株価指数、円相場やドル相場など外部要因を睨みながらの神経質な値動きが続きそうです。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.80ー7.20
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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