欧州中央銀行(ECB)政策金利発表
(2022年9月8日木曜日:東京時間21時15分、ラガルド総裁記者会見は21時45分)
開催中のECB金融政策会合の議事内容が本日記者発表されます。その後はラガルド総裁の記者会見が予定されています。
今回のECB会合では0.75%の大幅利上げが予想されています。前回7月21日会合後は暫く0.50%利上げが大半を占めていましたが、8月のHICPが予想を上回ると、一気に0.75%利上げの機運が盛り上がってきています。但し、欧州域内の経済指標はあまり芳しくなく、景気の腰折れ懸念もあります。このため、今回の利上げ幅は0.25〜0.75%まで幅広い予想が出ています。市場はある程度0.75%を見込んでいるので、実際に0.75%の利上げ実施になった場合のユーロドルのプライスアクションは重要になりそうです。
(1) 欧州中央銀行政策金利予想(9月8日8時30分現在)
今回の注目点は
@ 最近のECB関係者発言(下記(3)をご参照願います)によれば、今回会合では0.75%の利上げ議論を主張している委員が多くなっています。
A 8月のHICPが9.1%(予想9.0%、7月8.9%)、HICPコアが4.3%(予想4.1%、7月4.0%)と非常に高く、沈静化の兆しがまだ見えない。
B 天然ガス価格が上昇し、またロシアからの供給にも懸念があり、エネルギー価格高止まりが予想されている。
C 一方で、金融市場が連続利上げを吸収できるように慎重であるべきで、今回の利上げ幅は0.5%に留めるべきとの見方がある。
D 欧州域内の景気が悪化しており、特に南欧諸国の債務問題もあり、利上げ幅は抑えるべきとの意見もある。
E 先々の利上げ予想は下表(2)にあり、来年に1.75%までの利上げを継続する予想になっていますが、景気鈍化によりインフレは第4四半期でピークを打つのではないかとの分析もあります。
(2)ECBの政策金利予想
前回よりは来年後半に追加利上げの予想になっています。一方で、利下げ見通しも第3四半期からでていますので、この先の景気見通しや実際の経済指標が重要になりそうです。また米国と比べ、来年迄の上げ幅に大きく違いがでています。
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(3)最近のECB関係者の発言
9月1日 フランス中銀総裁 「次回の金利変動は覚悟をもって、秩序正しく行われる必要」「2022年に欧州が景気後退するとはみていない」
8月31日 オーストリア中銀総裁 「最低でも0.50%利上げの議論を行い、0.75%の利上げについても議論すべき」
8月31日 ベルギー中銀総裁 「ユーロは景気後退の可能性」
「金利を制限的な水準まで迅速に引き上げる必要がある」
8月31日 独連銀総裁 「ECBの信頼性維持に断固として行動すべき」
「インフレは自然に目標値に戻ることはない」
「利上げ前倒しで、痛み伴う景気後退のリスクは軽減される」
8月31日 ギリシャ中銀総裁 「インフレは今年ピークを迎えるだろう」
「インフレを取り巻くリスクは上向き」
8月30日 エストニア中銀総裁 「9月理事会で0.75%の利上げを議論すべき」
「スタグフレーションは最も可能性の低いシナリオ」
8月30日 オランダ中銀総裁 「0.75%利上げに傾いているが、議論の余地はある」
8月30日 スロベニア中銀総裁「インフレはピークに達しておらず、2023年前半に緩和」
8月29日 ECB専務理事 「インフレは短期的に高止まりと予想」
(4)ECB金融政策議事要旨の一部(8月26日公表分)
下記は議事要旨の一部です。前回の議論でも0.25%利上げに留めるとの意見がありました。
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
下図はユーロドルの日足チャートです。今年2月10日高値からの抵抗線A(=1.0240)とそこから平行に下したB(=09630)とでユーロトレンドラインを形成しています。
昨日は包み陽線になり、かつ0.9900未満での終値がなく、ややユーロが底固く見えます。底値を結んだサポートがC(=0.9850)にあり、日足でここを切って終ってからのB狙いにした方が良さそうです。一方、上値は過去何度がサポートになり、切れてからも戻り高となったD(=1.0100)が目先の上値抵抗線になっています。
今日のECBで予想通りの0.75%上げになった時、このDを抜ける動きになるか、出尽くしで再度C狙いになるかを見たいと思います。
(2022年9月8日10:20、1ユーロ=0.9988ドル)
オーダー/ポジション状況
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