年初来高値に面合わせ、更新できるかを注視
〇ドル円、104.05レベルでじり高推移、104.35-40まで値を上げ、104.25-30付近で欧米時間を迎える
〇米FOMCは金融政策を据え置くとともに経済活動、雇用の現状認識を下方修正
〇新型コロナのワクチン供給の遅れや英国でロックダウン継続の可能性など報道
〇本日発表の米10-12月期GDP速報値や12月新築住宅販売件数などに注目
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ103.80-104.80
<< 東京市場の動き >>
28日の東京市場はドルが小じっかり。一時104.30円台まで値を上げ、年初来高値を視界内に捉えた動きが観測されている。
ドル/円は、寄り付いた104.05円レベルを底値にじり高推移。レンジは決して広くなかったが、それでも104.35-40円まで値を上げ、年初来高値(104.40円)に一時接近する展開をたどっていた。時間外で取引されているNYダウ先物が200ドルを超えるマイナス圏から一転してプラス圏へと転じたことなどが材料視されていたという。16時現在でもドルは104.25-30円と底堅く推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米金融政策」と「新型コロナ」について。
前者は、注目の米FOMCにおいて、「金利の誘導目標据え置き」を発表するとともに、「米経済の回復ペースは減速した」としたうえで、「経済支援のため利用可能なあらゆる手段を講じる」との考えを改めて示していた。また、その後の記者会見でパウエル議長からは「非常に緩和的な金融政策が適切」、「テーパリングの話は時期尚早」、「コロナワクチンが広く行き渡ることが楽観につながる」などといったコメントが聞かれていたという。
対して後者は、昨日筆者が南アフリカ・ラマポーザ大統領による発言、「先進国は過剰なワクチン備蓄をやめるべき」を取り上げて「ワクチンの接種や供給が今後世界の新たな火種になる可能性」を指摘したが、実際にいわゆる一部先進国のあいだでも齟齬がジワリ表面化してきた。たとえば、ワクチン供給が遅れている問題について、ロイターでは「英アストラゼネカとEUの主張が契約条項の解釈に及ぶなど対立が深刻化している」と報じている。また、それとは別に新型コロナの拡大を受け、「英首相、3月8日までロックダウン継続する可能性を示唆」、「中国、『春節』を前に北京市内への移動を厳しく制限へ」といった報道も観測されていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ようやく動意を見せたドル/円相場。昨日から本日にかけて、目先の小さなレンジの上限である104.08円を上抜けたものの、1月高値の104.40円は超えられず。テクニカルには、過去半年以上にわたりドルの上値を阻んできた移動平均の90日線を「しっかり」と上回ることも出来なかった。ともかく、ドル高圧力が高まったというには力不足の感は否めず、もう少し情勢を見極めたい。
材料的には、FOMCを消化するなか、昨日大崩れした米株の動きを警戒する声が少なくないようだ。本日もマクドナルドなど発表される米企業の決算と合わせ、その動向にしっかりと注意を払いたい。また、本日は昨年10-12月期の米GDP速報値など重要な米経済指標も発表される予定となっており、発表前後には一時的にせよ乱高下をたどる可能性もありそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は前述したように年初来高値にほぼ面合わせした格好。それからすると、ドル高方向のリスクを指摘したいところだが、なかなか強気になり切れない側面もあるところが悩ましい。そのひとつは、移動平均の90日線を「しっかり」と上回れなかったことだが、一目均衡表でも104.30-35円に位置する先行帯の雲の上限に頭を抑制されていた。ドルの強気派としては、なるべく早いタイミングでそれら上方向の抵抗を超え、ドル高トレンドを確立してもらいたい。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン次期米大統領による政権運営」などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、週間ベースの新規失業保険申請件数や12月の新築住宅販売件数といった米経済指標が発表されるものの、やはり10-12月期のGDP速報値がもっとも注視されている。前期プラス33%超という驚異的な数字を記録したが、今回は果たしてどの程度の数字になるのか要注目だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは103.80-104.80円。本日東京高値も近い年初来高値104.40円が最初の抵抗。超えれば昨年11月と12月に一度ずつドルの上値を阻んだ104.75-80円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日104円台回復後のドル安値である103.95-00円の攻防にまずは注目。しっかり割り込めば、緩やかな右肩上がりをたどる移動平均の21日線(103.60円台)が意識される展開か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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