『南ア中銀の大幅利上げで反発に転じるもリスクは依然ダウンサイド』
〇南ア円、週後半にかけ8.02まで下落後、南ア中銀の大幅利上げ等に8.08まで上昇
〇総じて底堅いがテクニカルには上方に複数のレジスタンスポイント控え地合い弱い
〇7.86下抜けると、ダブルトップ完成で大幅安の恐れ
〇南ア円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.25
今週のレビュー(7/18−7/22)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.11円で寄り付いた後、早々に週間高値8.13円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、@南アフリカ経済の先行き不透明感の高まりや、A南アフリカ中銀の金融政策決定会合(SARB)を控えた警戒感、B中国の新型コロナウイルス感染再拡大懸念、C南ア6月消費者物価指数(結果7.4%、予想7.2%、前回6.5%、※前年比)の伸び率昂進(2009年5月以来、約13年ぶり高水準)、D上記Cを背景とした実質金利の急低下が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.02円まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、E南ア中銀による市場予想を上回る政策金利の引き上げ(市場予想の50bp利上げに対して75bpの大幅利上げを決定)や、F政策委員5名の内、1名が100bpの利上げを支持していたこと、G南ア中銀ハニャホ総裁による「インフレ見通しに対するリスクは上振れと評価」とのタカ派的な発言(追加利上げを想起)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間7/23午前3時00分現在)では、8.08円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(7/25−7/29)
南アランドの対円相場は6/9に記録した直近高値8.81円をトップに反落に転じると、7/12に一時7.97円(約2カ月ぶり安値圏)まで下落しましたが、今週は8.10円前後まで値を戻すなど、総じて底堅い動きが続きました。但し、上方に複数のレジスタンスポイントを控えていることや、日足ベースで強い売りシグナル(一目均衡表三役逆転)が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(リスクはダウンサイド)と判断できます(5/12に記録した直近安値7.86円を下抜け出来れば、4/19高値と6/9高値で形成されたダブルトップの完成を通じて、大幅安に繋がる恐れあり)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜姿勢の明確化や、A上記@を背景とした過剰流動性相場の逆流とそれに伴う資産現金化需要のドル買いリスク(新興国から米国への資本流出圧力)、B南ア経済の先行き不透明感(景気停滞と高インフレが同時進行するスタグフレーション懸念。今週発表された南アCPIは約13年ぶり高水準)、C南ア中銀による追加利上げ観測(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは景気への逆風)、D南ア財政収支の悪化懸念、Eコモディティ価格の冴えない動き(南アフリカの主要産品である金やプラチナの冴えない動き→南アフリカの交易条件悪化懸念)、F南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気減速懸念など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア6月生産者物価指数以外に目立った南ア国内の経済イベントが予定されていないため、7/28早朝に発表される米FOMCを睨みながらの展開が予想されます。米FOMCにてタカ派姿勢が明確化されれば、南アフリカから米国への資金流出懸念を通じて、南アランド円相場には強い下押し圧力が加わりそうです。また、今週の南アランドを下支えした要因の一つでもある「南ア中銀による大幅利上げ」に関しても、スタグフレーション懸念が燻る中での大幅利上げは、南ア経済への逆風を通じて、一巡後の南アランド売りに繋がるリスクを孕んでいるため、来週はダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(上述の通り、5/12に記録した直近安値7.86円を下抜けられるか否かが今後のポイント)。
今後の注目材料
07/28(木)南ア6月生産者物価指数
07/30(土)南ア6月貿易収支
07/31(日)中国7月製造業PMI
08/01(月)中国7月財新製造業PMI
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.25
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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