ドル円見通し 週足大陰線の規模は昨年1月以降で最大(週報7月第四週)

ドル円は7月22日夜の急落で135.56円の安値を付け、23日早朝にかけても136円を挟んだ揉み合いにとどまり週を終えた。

ドル円見通し 週足大陰線の規模は昨年1月以降で最大(週報7月第四週)

ドル円見通し 週足大陰線の規模は昨年1月以降で最大

〇ドル円、7/14にユーロのパリティ割れで139.39まで上昇後、先週末にかけ136円割れに急落
〇先週の週足2.48円の大陰線、上昇一巡による反落開始、戻り一巡の下落再開等に見られる規模の動き
〇日足も26日移動平均線を割り込んでおり、週明け回復できるか否かに注目
〇7/25-26開催のFOMC、コンセンサスは0.75%利上げ、1%利上げ観測後退するもドル円上昇しやすいか
〇7/22安値135.56割れからは、134円台後半への下落を想定
〇137円台を回復、維持し、FOMC通過後に上昇する場合、138円台中盤へ向かうか

【概況】

ドル円は7月22日夜の急落で135.56円の安値を付け、23日早朝にかけても136円を挟んだ揉み合いにとどまり週を終えた。7月11日に参院選の与党大勝を受けて137円台に到達し、7月14日にユーロドルが1ユーロ1ドルの等価を割り込んだドル高局面で139.39円へ一段高となったが、その後はドル高が緩んだために7月19日夜には137.37円へ下落、7月21日には138.87円までいったん戻したものの22日午前の下落で19日夜安値を割り込み、さらに米長期債利回りの大幅低下を見て136円割れへ急落した。

【前週比で2円を超える大陰線は2020年2月及び3月の下落時以来】

先週のドル円週足は前週比2.48円の下落幅となり、当週の高安レンジは3.31円を観測、2021年1月6日底以降で最大の週足大陰線である。2020年春にパンデミック発生ショックで急落した際、2月20日高値翌週に前週比3.74円の下落で当週の高安レンジが4.17円の大陰線となり、3月9日安値へ急落した後の反騰一巡で3月24日高値から反落したところが前週比2.86円の下落で当週の高安レンジが3.96円の大陰線だったが、今回はそれ以来の大陰線による下落となっている。
2016年6月24日安値99.04円から同年12月15日高値118.65円まで急伸した後の2017年1月第2週に前週比2.44円の下落で当週の高安レンジが3.78円だったが、前週比で2円を超える下落規模の大陰線は上昇一巡による反落開始時や、下落途中の戻り一巡による下落再開時にみられる動きであり、今回も同様のケースとなる可能性もあるものと注意したい。

週足では5月3日高値から一段高してきたところで14週相対力指数がピークを切り下げる弱気逆行を見せているが、日足においても6月15日以降の高値更新に際して指数のピークは切り下がりで弱気逆行となっている。
短期的な下落規模としては6月15日から16日にかけて4.10円の下落だったところに近い動きであり、その時は26日移動平均割れを回避して戻したが今回は26日移動平均を割り込んでいる。7月25日に26日移動平均超えへ切り返してくれば短期的な調整安を消化して上昇基調を継続しうるところだが、26日移動平均割れから続落に入る場合は5月24日への下落時に下値支持線として機能した52日移動平均(現在133.37円)を試すことも考えられる。

【米長期債利回りは大幅低下、2年債と10年債の逆イールドは継続】

7月22日の米長期債利回りは総じて大幅低下した。欧米の景気減速懸念が安全資産としての債券買い・利回り低下に反映している。また欧米の金融引き締めが景気減速を招いて先行きのインフレが落ち着くとすれば現状の利回りを確保しておこうとする債券買いも助長されるところだ。
指標の10年債利回りは前日比0.07%低下の2.75%となったが一時は2.73%を付けて5月25日の2.70%以来2か月振りの低水準となった。6月14日に3.50%を付けてパンデミック発生以降の最高値を付けたが、7月6日安値を割り込んで二段下げ型に発展しつつある。
30年債利回りは0.07%低下の2.98%となり5月27日以来の3%割れとなった。
2年債利回りは0.12%低下の2.97%となったが、21日の前日比0.14%低下に続く大幅低下となった。
2年債利回りと30年債利回りの逆イールドは解消したが2年債利回りと10年債利回りの逆イールドは解消していない。

一方でNYダウは前日比137.61ドル安と下落、ナスダック総合指数も前日比225.50ポイント安と下落した。22日は欧米の7月製造業及びサービス業のPMI速報発表が相次いだが独PMIは製造業が49.2でサービス業の49.2とともに50ポイント割れ、ユーロ圏は製造業が49.6でサービス業も50.6へ悪化、米国は製造業が52.3で6月の52.7から若干の低下だったがサービス業が6月の52.7から6月は47.0へ大幅に悪化したため総合PMIは6月の52.3から7月は47.5へ大幅低下となった。
景気後退懸念が徐々に現実の数字に反映され始めていることと欧米の長期債利回り低下はドル円の歴史的大上昇にブレーキをかけ、リスク回避的なクロス円の手仕舞い=円の買い戻しを促すことでドル円もやや大きな調整期に入る可能性も警戒すべきかもしれない。

【米FOMCは0.75%利上げの予想】

【米FOMCは0.75%利上げの予想】

7月26-27日に米連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。FOMCは3月に0.25%利上げ、5月に0.50%利上げ、6月には0.75%利上げと通常の利上げペースを大きく超える大幅利上げに踏み切り、7月FOMCでも0.50%ないし0.75%の利上げを行う方針を示した。
6月の米CPIが前年同月比で9.1%上昇となり、凡そ40年ぶりの高水準となったことで1%の超大幅利上げもあり得るのではないかとの観測が強まっていたが、ウォラーFRB理事等が0.75%利上げが妥当との見方を示し、複数の地区連銀総裁も1.0%利上げに否定的な発言を繰り返したことで1.0%利上げの可能性は後退し、それが米長期債利回り低下にも影響している。
1.0%ではない0.75%でも利上げ幅としては通常の0.25%利上げの3倍であり、インフレ抑制がなかなか上手くいかない状況を示しており、年末から来年にかけての利上げ継続を踏まえれば、今後も日米長期金利差の拡大は避けられず、2021年1月底を起点としたドル円の歴史的な大上昇は継続しやすい環境と思われるが、短期的には米長期債利回りのピークアウト感もあるため、やや大きな調整局面に入る可能性もあるところだ。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月22日夜安値135.56円を下値支持線、137.00円を上値抵抗線とする。
(2)135.56円割れからは134円台後半(135.00円から134.50円)への下落を想定する。FOMC通過で下げ足が早まる場合は133円台前半へ向かう可能性もあるとみる。
(3)137円手前では戻り売りにつかまり易いとみるが、137円台回復・維持へ進みFOMC通過から上昇する場合は先週末の下落に対する揺れ返しの上昇により138円台中盤(138.30円から138.70円)へ向かうとみる。

【当面の主な予定】

7/25(月)
17:00 (独) 7月 IFO企業景況感指数 (6月 92.3、予想 90.2)
21:30 (米) 6月 シカゴ連銀全米活動指数 (5月 0.01)
23:30 (米) 7月 ダラス連銀製造業活動指数 (5月 -17.7) 
26:00 (米) 財務省2年債入札

7/26(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
IMF世界経済見通し(WEO)
08:50 (日) 6月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (5月 1.8%、予想 2.0%)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨(6月16-17日開催分)
22:00 (米) 5月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (4月 1.6%、予想 1.5%)
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (4月 21.2%、予想 20.5%)
23:00 (米) 7月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (6月 98.7、予想 96.8)
23:00 (米) 7月 リッチモンド連銀製造業指数 (6月 -11、予想 -15)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (5月 69.6万件、予想 66.4万件)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数 前月比 (5月 10.7%、予想 -4.6%)
26:00 (米) 財務省5年債入札

7/27(水)
10:30 (豪) 4-6月期 消費者物価・CPI 前期比 (1-3月 2.1%、予想 1.9%)
10:30 (豪) 4-6月期 消費者物価・CPI 前年同期比 (1-3月 5.1%、予想 6.3%)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI改定値 (速報 101.4)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI改定値 (速報 95.5)
15:00 (独) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 -27.4、予想 -28.9)
21:30 (米) 6月 卸売在庫 前月比 (5月 1.8%、予想 1.5%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 0.7%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 0.7%、予想 0.2%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前月比 (5月 0.7%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 -12.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 1.50-1.75%、予想 2.25-2.50%)
27:30 (米) パウエル米FRB議長、定例記者会見

7/28(木)
休場 タイ
10:00 (NZ) 7月 ANZ企業信頼感 (6月 -62.6)
10:30 (豪) 6月 小売売上高 前月比 (5月 0.9%、予想 0.4%)
10:30 (豪) 4-6月期 輸入物価指数 前期比 (1-3月 5.1%、予想 4.5%)
18:00 (欧) 7月 経済信頼感 (6月 104.0、予想 102.0)
18:00 (欧) 7月 消費者信頼感確定値 (速報 -27.0)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数・CPI速報値 前月比 (6月 0.1%、予想 0.6%)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数・CPI速報値 前年同月比 (6月 7.6%、予想 7.4%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP速報値 前期比年率 (1-3月 -1.6%、予想 0.5%)
21:30 (米) 4-6月期 個人消費・PCE速報値 前期比年率 (1-3月 1.8%、予想 1.2%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE速報値 前期比年率 (1-3月 5.2%、予想 4.3%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 25.1万件、予想 25.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 138.4万人、予想 138.0万人)
26:00 (米) 財務省7年債入札

7/29(金)
休場 タイ
08:30 (日) 7月 東京都区部消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (6月 2.1%、予想 2.2%)
08:30 (日) 6月 失業率 (5月 2.6%、予想 2.5%)
08:50 (日) 6月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (5月 -3.1%、予想 -7.1%)
08:50 (日) 6月 小売業販売額 前年同月比 (5月 3.6%、予想 2.8%)
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合(7月20-21日開催分・主な意見)
10:30 (豪) 4-6月期 生産者物価指数・PPI 前期比 (1-3月 1.6%)
10:30 (豪) 4-6月期 生産者物価指数・PPI 前年同期比 (1-3月 4.9%)
14:00 (日) 6月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (5月 -4.3%、予想 -1.7%)
14:00 (日) 7月 消費者態度指数・一般世帯 (6月 32.1、予想 31.3)

15:00 (独) 6月 輸入物価指数 前年同月比 (5月 30.6%、予想 29.9%)
16:55 (独) 7月 失業率 (6月 5.3%、予想 5.4%)
17:00 (独) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (1-3月 0.2%、予想 0.1%)
17:00 (独) 4-6月期 GDP速報値 前年同期比 (1-3月 4.0%、予想 1.8%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価・HICP速報値 前年同月比 (6月 8.6%、予想 8.7%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価・HICPコア指数速報値 前年同月比 (6月 3.7%、予想 3.9%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (1-3月 0.6%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP速報値 前年同期比 (1-3月 5.4%、予想 3.4%)

21:30 (米) 4-6月期 雇用コスト指数 前期比 (1-3月 1.4%、予想 1.2%)
21:30 (米) 6月 個人所得 前月比 (5月 0.5%、予想 0.5%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出・PCE 前月比 (5月 0.2%、予想 0.9%)
21:30 (米) 6月 PCEデフレーター 前年同月比 (5月 6.3%、予想 6.7%)
21:30 (米) 6月 PCEコア・デフレーター 前月比 (5月 0.3%、予想 0.5%)
21:30 (米) 6月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (5月 4.7%、予想 4.7%)
22:45 (米) 7月 シカゴ購買部協会景況指数 (6月 56.0、予想 55.0)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 51.1、予想 51.1)

注:ポイント要約は編集部

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