トルコリラ週報:『トルコ中銀は据え置き決定。失望感から約1ヵ月ぶり安値圏へ急落』(7/23朝)

トルコリラの対円相場は、6/27に記録した約1ヵ月半ぶり高値8.42円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、安値7.64円まで急落しました。

トルコリラ週報:『トルコ中銀は据え置き決定。失望感から約1ヵ月ぶり安値圏へ急落』(7/23朝)

『トルコ中銀は据え置き決定。失望感から約1ヵ月ぶり安値圏へ急落』

〇トルコ円、週初8円台に乗せるもトルコ中銀金利据え置き等で週末にかけ7.64まで急落
〇対ドルでは約7ヶ月ぶり安値圏で推移
〇テクニカルには上方に複数のレジスタンスポイント、強い売りシグナル継続、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズも物価高騰と金融緩和継続が実質金利低下を招きトルコ売り圧力に
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.40ー8.00

今週のレビュー(7/18−7/22)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.96円で寄り付いた後、早々に週間高値8.01円まで上昇しました。しかし、心理的節目8.00円前後の戻り売り圧力に続伸を阻まれると、@エルドアン大統領による「フィンランドとスウェーデンがテロ対策に関する約束を守らない場合、両国のNATO加盟を凍結する」との発言や、Aトルコ国内の外貨負債拡大への警戒感、Bトルコ中銀による政策金利の据え置き決定(トルコ中銀はインフレ圧力の記録的な高まりにも係わらず、エルドアン大統領の方針に配慮する形で7カ月連続での政策金利据え置きを決定)、C上記Bを背景とした実質金利の低下圧力、Dトルコ経済の先行き不透明感などが重石となり、週末にかけて、週間安値7.64円(約1ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/23午前3時00分現在)では、7.66円前後で推移しております。尚、対ドルでは下落基調が継続し、2021年12月以来、約7ヵ月ぶり安値圏へと下げ幅を広げました。

来週の見通し(7/25−7/29)

トルコリラの対円相場は、6/27に記録した約1ヵ月半ぶり高値8.42円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、安値7.64円(6/17以来、約1ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。アップサイドに複数のレジスタンスポイントを控えていることや、日足・週足・月足の全てで強い売りシグナル(一目均衡表三役逆転、弱気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の下落トレンド)が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(エルドアン大統領の仲介でウクライナに滞留する穀物の輸出再開に向けた合意文書署名が決定するも、引き続き両国と親密な関係を有するトルコには様々な観点で逆風が続く公算大)や、Aトルコ中銀による金融緩和の継続方針(先般発表されたトルコ6月消費者物価指数が前年比+78.62%と1998年9月以来、約24年ぶり高水準を記録したにも係わらず、トルコ中銀は今週の会合で7ヵ月連続の政策金利据え置きを決定)、B上記Aを背景としたトルコリラの実質金利急低下(インフレ圧力を利上げで相殺することができないことから、インフレ圧力が高まれば高まるほど、実質金利低下を通じてトルコリラに下押し圧力が加わる構造)、

C米FRBによるタカ派傾斜観測(過剰流動性相場逆流への警戒感→対外債務を多く抱えるトルコには資本流出圧力が加わり易い)、Dトルコ経済の先行き不透明感(深刻なインフレ発生と景気下振れ懸念)、E経常赤字拡大に伴う構造的なリラ売り圧力、F外貨準備減少に伴うリラ売り防衛能力への不安感(資本規制の効果が弱まってきていることも投資家の不安感を高める要因)など、トルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は米FOMCに加えて、7/28に発表されるトルコ中銀のインフレレポートに注目が集まります。インフレ見通しを上方修正する場合には、予想実質金利の低下を通じて、トルコリラに更なる下押し圧力が加わりそうです。状況次第では、6/16に記録した安値7.59円を試すシナリオも想定されるため、来週はトルコリラのダウンサイドリスクに特に警戒が必要でしょう。

今後の注目材料
07/25(月)トルコ7月製造業景況感指数
07/25(月)トルコ7月設備稼働率
07/28(木)米FOMC声明およびパウエルFRB議長記者会見
07/28(木)トルコ7月経済信頼感指数
07/28(木)トルコ中銀インフレレポート
07/28(木)週次外貨準備高
07/29(金)トルコ6月貿易収支

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.40ー8.00

注:ポイント要約は編集部

『トルコ中銀は据え置き決定。失望感から約1ヵ月ぶり安値圏へ急落』

トルコリラ円日足

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