トルコリラ円 最安値更新を回避しつつ13円割れの状況続く、本日のCPI発表から動くか(21/7/5)

トルコリラ円の7月2日は12.89円から12.74円の取引レンジ。

トルコリラ円 最安値更新を回避しつつ13円割れの状況続く、本日のCPI発表から動くか(21/7/5)

最安値更新を回避しつつ13円割れの状況続く、7月5日夕のCPI発表から動くか

〇トルコリラ円、2日早朝に12.90を付けるも13円を試す動きへは進めず
〇安値を若干切り上げながらもこの2週間は12円台後半での持ち合いの様相
〇対ドルでは8.60台に概ね留まる水準での推移なら最安値更新基調を続けかねないとみる
〇トルコ国内の物価上昇が続くうちはトルコ中銀利下げできず、まずは本日発表の物価上昇率に注目
〇1日高値12.90を超えないうちは下向き、6/21安値12.48割れからは下落期入りと考える
〇金融政策への信認を回復する情勢変化なければ6/11高値を上回っても下落期の起点となりやすい

【概況】

トルコリラ円の7月2日は12.89円から12.74円の取引レンジ。6月25日からはややジリ高の推移で2日早朝には12.90円を付けて6月23日夜高値12.89円をわずかに上抜いたが13円を試す動きへは進めず、2日夜の米雇用統計発表からドル円が下落したことに圧されて12.80円を割り込んだ。
6月2日にエルドアン大統領の利下げ言及報道から12.44円へ急落したところから6月11日高値13.21円へいったん戻し、6月21日への反落時は12.48円にとどまって6月2日安値割れを回避し、その後は安値を若干切り上げながらも12.90円前後が上値抵抗となっており、この2週間は12円台後半での持ち合いの様相だ。

ドル/トルコリラの7月2日は8.72リラから8.63リラの取引レンジ。6月26日早朝に8.799リラへ下落して史上最安値を更新した後はややジリ高の推移だが8.60リラ台前半では戻り売りにつかまって上値が重い。6月23日の戻り高値8.57リラを超える上昇となればいったんは最安値更新基調が一服に入って戻り高値を試しにかかる流れへ進みやすくなると思われるが、8.60リラ台に概ね留まる水準での推移なら最安値更新基調を続けかねないところと思われる。

【利下げしたくてもできないトルコ中銀】

トルコ中銀のカブジュオール総裁は7月2日の投資家向け会合の席でトルコのインフレ率は7月と8月に予想を上回る可能性があるものの中銀としての年間見通しに変化はないとして年末には12.2%まで下がるとの予想を示したと報じられた。また他国の中銀との通貨スワップ協定を結ぶ可能性があるとし、一部はすでに締結間近だとも述べた。

7月5日にはトルコの6月物価上昇率の発表があり、市場の事前予想では消費者物価上昇率は前月比で5月の0.89%から1.5%へ加速し、前年同月比では5月の16.59%を上回って17%に達すると見込まれている。
6月1日にエルドアン大統領が7月ないし8月のトルコ中銀による利下げの可能性を言及したと報じられたことでトルコリラは6月2日に急落した後は下げ一服の様相で推移しているものの、世界的な景気回復による需給ギャップが国際商品市場の上昇を招いて米国の物価上昇率が上ブレしているようにトルコにおいても世界的な物価上昇が影響しており、さらにリラ安による通貨インフレ圧力も加わっており、物価上昇のピークアウトを見定めて利下げへ向かいたいトルコ中銀もなかなか利下げには踏み切れない状況にある。

7月1日にはトルコ政府が消費者向け電気料金を15%、住宅用天然ガス価格を12%それぞれ引き上げ、トルコ国有のガス販売会社BOTASも7月1日に産業用天然ガス価格を20%、電力生産用ガス価格を20.2%値上げすると発表している。
トルコにおける物価上昇が続くうちはトルコ中銀も利下げはできないため、市場としては当面利下げはないとみてリラを強気する可能性もあるが、物価上昇を抑えない限りはインフレ進行となるとして利上げ催促のリラ売り攻勢へ進む可能性が懸念されるところだ。まずは7月5日の物価上昇率の発表とそれに対する市場の反応を見定めたいところだ。

【40週サイクルの35週目】

トルコリラ円は概ね40週前後の周期での底打ちサイクルで推移している。昨年11月6日安値で前回のサイクルボトムを付けて反騰入りしたが、今年2月16日高値でサイクルトップを付けて下落期に入った。現在は前回ボトムから35週を経過したところにある。
このサイクルの底打ち間隔は2014年以降では34週から50週の範囲で推移しており、短ければ現状近辺で底打ち反騰入りしても不思議ないが、6月2日安値では昨年11月底から31週目と短いために底打ちとしては日柄が浅いのではないかと思われる。
平均的な40週目となるのが8月第1週であり、7月14日のトルコ中銀金融政策の発表等をきっかけに一段安するようだと、7月後半から8月第1週へ向けて安値試しが続きやすくなると思われる。

【日足における戻り高値切り下がり型の継続】

【日足における戻り高値切り下がり型の継続】

日足においては3月暴落以降は戻り高値を切り下げて一段安するパターンを続けており、6月11日高値13.21円で4月29日高値13.38円に届かずに失速した状況にある。3月30日安値以降の戻りは4月2日高値まで0.83円、4月29日高値まで0.71円、6月11日高値まで0.77円と1円に満たない程度の反発にとどまってきた。
 6月11日高値を超えて6月2日安値からの戻り幅が1円を超える規模となれば、戻り高値切り下がりパターンからの脱却となり、2月と3月のダブル天井からの下落が一巡して大きな戻しに入る可能性も出てくるが、そのためにはトルコ金融政策において市場の信認を回復するような姿勢表明等による強気サプライズが必要だが、今のところは期待も薄いのではないかと思われる。

日足チャートにおける概ね4か月前後の底打ちサイクルでは、2月16日と3月19日の両高値によるダブルトップ形成から下落期に入ったが、ダブルトップの谷間にある3月8日安値から3か月目の6月2日安値で底を付けて下げ渋りに入っている印象だ。6月2日安値割れを回避するうちは7月半ばにかけての上昇余地があるが、6月2日安値を割り込む場合は新たな下落期入りとして次の底形成期となる9月前半から10月序盤にかけての間へ下落継続しやすくなると思われる。

以上を踏まえて中勢のポイントを示す。
(1)中勢としては、6月21日安値12.48円を下値支持線、13.00円を上値抵抗線とする。
(2)7月1日高値12.90円を超えないうちは下向きとし、6月21日安値割れからは6月2日安値12.44円も割り込んで昨年11月6日安値12.03円を目指す下落期入りと考える。
(3)7月1日高値を超える場合は6月11日高値13.21円試しとし、高値更新からは13.50円前後を目指す可能性も出てくると考えるが、トルコ金融政策への信認を回復するような情勢変化がなければ6月11日高値を上回る水準は戻り売りにつかまり次の下落期入りの起点となりやすいと考える、また6月11日高値を超えずに12.90円割れへ失速する場合は下げ再開とみて12.50円前後へ向かう流れと考える。

【当面の主な予定】

7月5日
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前月比 (5月 0.89%、予想 1.50%)
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前年同月比 (5月 16.59%、予想 17.0%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前月比 (5月 3.92%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前年同月比 (5月 38.33%)
7月8日
 20:30 週次 外貨準備高 7/2時点 (6/25時点 592.4億ドル)
7月9日
 16:00 5月 経常収支 (4月 -17.12億ドル)

7月12日 
 16:00 5月 失業率 (4月 13.9%)
7月13日
 16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.9%)
 16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 66.0%)
 16:00 5月 小売売上高 前月比 (4月 -6.3%)
 16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 41.7%)
7月14日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合

※ポイント要約は編集部

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