ドル円 ドル再上昇に転じるか、上値正念場(週報7月第1週)

先週のドル/円相場はドルがしっかり。一時111.66円までドル高が進行、2週続けての年初来高値更新となった。

ドル円 ドル再上昇に転じるか、上値正念場(週報7月第1週)

ドル再上昇に転じるか、上値正念場

〇先週のドル円、米経済指標が良好でドル高が進行、一時111.66まで値を上げ2週続けて年初来高値更新
〇新型コロナ変異株の感染拡大で英国は新規感染者が増加、豪州でロックダウン
〇今週発表の米6月ISM非製造業総合指数や5月卸売売上高などを注視
〇G7で合意された各国共通法人税の導入に中国が抵抗、今週末開催G20の議論の行方に注目
〇今週のドル/円予想レンジ109.80-112.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルがしっかり。一時111.66円までドル高が進行、2週続けての年初来高値更新となった。

前週末、IAEAが「イランから返答なく、核査察受け入れの暫定合意が期限切れ」となったことを明らかにし、物議を醸す。また、バイデン米大統領は、野党共和党が猛反発していた、かつて自身が発した「インフラ投資の署名拒否発言」を撤回すると公表していた。
そうした状況下、ドル/円は110.80円前後で寄り付いたものの、しばらくは冴えない。週の半ばぐらいまで110.40-111.00といったレンジ取引。しかし、発表された米経済指標、ADP雇用統計が良好だったこともあり、レンジを上抜けると111円台乗せ。ドルはその後も上値を伸ばし、昨年3月高値にほぼ面合わせする111.66円を達成している。ただ、同高値を超えられなかったことで、週末に掛けては逆に調整売りも。週末NYは111円前後へと小緩み、取引を終えて越週している。
なお、先週は対円以外でも全般ドル高。対ユーロやポンド、豪ドルなどでドル買いが目に付いた。たとえば、ユーロ/ドルは3ヵ月ぶりの安値、豪ドル/ドルは一時年初来安値を更新する局面も。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「米ファンダメンタルズと金利政策」について。
前者は、英政府が、厳しいロックダウンを敷いていた「2月上旬以来のコロナ感染者数を記録した」と発表し話題となるなか、豪州も6月26日からシドニー全域でロックダウンを実施したことを明らかにしている。世界的にみてワクチン接種が進んでいることは間違いないが、「デルタ株」など変異型の感染も強く、感染再拡大への懸念がそこここで取り沙汰され始めた。実際、日経新聞が米国の状況について「カリフォルニア州ロサンゼルス市やイリノイ州はマスク着用を再び呼びかけた」と報じたほか、ここ最近は「優等生」ともいえた欧州に対しても、WHOが「市民や当局が警戒を怠れば感染第3波は避けられない」といった警告を発していたという。

対して後者は、発表された6月の消費者信頼感指数やADP雇用統計といった米経済指標が予想を上回る好数字に。とくに雇用関係のデータが全般的に良好で、週末に発表される米雇用統計への期待感も高まる。また良好な米指標もあってか米要人、ウォラーFRB理事やダラス連銀総裁、フィラデルフィア連銀総裁などから「テーパリングを年内に始める必要性」に言及した発言などが相次ぎ、こちらもドル高の支援要因に。ただ、週末に発表された肝心の6月米雇用統計は、一見すると良好な数字に思われたが、マーケットの一部ではさらなる好数字を見込んでいたこともあり、逆に失望を誘いドル売りの反応となっていた。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は2週続けて年初来高値を更新。ドル高の展望が広がった感があるものの、昨年3月の高値111.71円へと接近したが超えられなかったことは若干気掛かりだ。今週以降超えていけば112円超え、同じ昨年2月に記録した112.22円が次のターゲットとして意識されそう。しかし、レポートしているように昨年来の相場は「ダマシ」が多いだけに一本調子のドル高とはならず、しばらくは110.40-111.60円といったレンジ取引をたどるといった声も一部からは聞かれていたようだ。
前述したような状況下、マーケットでもっとも注視されているものは引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。したがって、発表される米経済指標のほか、FOMC議事録要旨の内容などにも注意を払いたい。また、先でも取り上げたように不安要因として再び俎上にのぼりはじめている新型コロナの感染拡大や、今週末に実施されるG20財務相・中銀総裁会議に絡む動きなども一応要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週末にかけて、中期ターゲットと考えていた昨年3月のドル高値111.71円にほぼ面合わせしたともいえる111.66円を示現した。しかし、3月高値は超えられず、そののち111円前後へと小緩んでいる。まだドルの高値トライが失敗に終わったとはいえないなか、今週再トライがあるのか否かにまずは注目。超えれば112円台回復も。ただ、上抜けが失敗に終われば、111円±60銭程度のレンジで、次の方向性を探る展開となる可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、6月のISM非製造業総合指数や5月の卸売売上高といった米経済指標が発表される予定だ。先週の流れを継ぐ、良好な米経済指標となるのか市場筋の関心は依然として高い。一方、産経新聞によると、G7が合意した各国共通法人税の最低税率(15%)導入について、「中国が抵抗している」という。週末に実施されるG20で、果たして話がまとまるのか否か注目されそうだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.80-112.00円。ドル高・円安については、先週記録した高値111.66円が最初の抵抗で、抜けると112円台乗せが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週末にしっかり割り込めなかった111円前後がまずはサポートに。下回ると切り上がってくる移動平均の21日線も近い先週安値の110.42円などがターゲットか。

ドル再上昇に転じるか、上値正念場

ドル円日足


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