トルコリラ週報:『一時反発するも上値は重たい。来週はインフレ指標がメインイベント』(7/3朝)

トルコリラの対円相場は、週後半にかけて、6/16以来、約3週間ぶり高値となる12.92円まで上昇しました。

トルコリラ週報:『一時反発するも上値は重たい。来週はインフレ指標がメインイベント』(7/3朝)

『一時反発するも上値は重たい。来週はインフレ指標がメインイベント』

〇今週のトルコ円早々に週間安値12.61まで下落後、6/16以来となる高値12.92まで上昇
〇トルコ経済指標の好調、中銀の外貨預金準備率引き上げがトルコ円を支援
〇週末にかけてはトルコ中銀総裁のハト派発言が重石となり、12.78前後まで値を崩しての越週
〇トルコ円テクニカルには上方に「雲」下限、移動平均線のパーフェクトオーダーも継続、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも中銀利下げ観測、海外資本流出懸念等トルコ売り材料多い
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想、来週の予想レンジ(TRYJPY):12.50ー13.00

今週のレビュー(6/28−7/2)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.63円で寄り付いた後、早々に週間安値12.61円まで下落しました。しかし、先週末金曜日に記録した直近安値12.58円をバックに下げ渋ると、@トルコ国内における新型コロナウイルスの感染者数減少(観光業を中心にトルコ経済が再開するとの期待感)や、Aトルコ6月経済信頼感指数(結果97.8、前回92.6)の良好な結果、B欧州復興開発銀行(EBRD)による2021年のトルコ経済成長率見通しの上方修正(5.0%→5.5%)、Cトルコ6月製造業PMI(結果51.3、前回49.3)の力強い結果、Dトルコ中銀による外貨預金の準備率を200bp引き上げる措置の発表(期間1年以下の外貨預金の準備率を19.0%から21.0%へ。期間1年超の外貨預金の準備率を13.0%から15.0%へ)が支援材料となり、週後半にかけて、6/16以来となる高値12.92円まで上昇しました。もっとも、その後は、Eトルコ中銀カブジュオール総裁による「第4四半期のはじめまでにCPIは低下すると予想」との発言が重石となり、結局12.78円前後まで値を崩しての越週となっております。

来週の見通し(7/5−7/9)

トルコリラの対円相場は、週後半にかけて、6/16以来、約3週間ぶり高値となる12.92円まで上昇しました。しかし、上方には強力レジスタンスとして市場参加者に意識されている一目均衡表雲が垂れ下がってくる他、強い売りシグナルを示唆する移動平均線のパーフェクトオーダー(下から順番に短期線・中期線・長期線が並ぶ状態)も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による根強い利下げ観測(トルコ中銀がエルドアン大統領の圧力に屈して、7/14、8/12、9/23のいずれかの会合で政策金利を引き下げるとの見方)や、A国内から国外への資本流出圧力(中銀の独立性に対する不信感。トルコ中銀は今週、外貨預金の準備率を引き上げる措置を発表し、トルコリラ売り・外貨買い圧力を抑え込む政策を発表)、B米早期テーパリング観測を背景とした金融市場の不安定化リスク(米インフレ上昇+米雇用改善の組み合わせ成立→米早期テーパリング観測→米長期金利上昇→過剰流動性相場逆流→新興国通貨下落の波及経路)、Cトルコと世界各国との金融政策格差(新興国を含む大半の国がテーパリングや利上げ措置のタイミングを図る中、トルコは利下げが織り込まれる展開)など、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が複数確認できます。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、7/5に発表されるトルコ6月生産者物価指数やトルコ6月消費者物価指数等のインフレ指標に注目が集まります。インフレ鈍化が確認されれば、トルコ中銀による早期利下げ観測を通じて、トルコリラが大きく売り込まれる可能性もあるため、来週は特に、トルコリラのダウンサイドリスクに注意が必要でしょう(トルコ中銀カブジュオール総裁は「インフレが持続的な低下を示唆するまで政策金利はインフレを超える水準を維持する」と発言している為、インフレ指標の鈍化は、「利下げ観測再燃→トルコリラ売り」で反応する傾向にあり)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):12.50ー13.00

『一時反発するも上値は重たい。来週はインフレ指標がメインイベント』

トルコ円日足

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