ユーロ 短期の方向感は無いものの、トレンドはユーロ高(週報5月第1週)

先週のユーロドルは、週初からうねるような波を繰り返す動きとなりました。

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ユーロ 短期の方向感は無いものの、トレンドはユーロ高(週報5月第1週)

短期の方向感は無いものの、トレンドはユーロ高

〇先週のユーロドル、方向感はっきりしないままほとんどの時間帯100pips以内に収まる一週間
〇下値は1.0965水準を3回、上値は26日水曜に高値を1.1096レベルまで伸ばす
〇2日ユーロ圏CPI速報値、3日FOMC、4日ECB理事会、5日米国雇用統計の4つのイベントに注目
〇米欧金利差縮小期待によるユーロ買いの動きが当面は出てくると考える
〇長期的なターゲットは昨年9月安値を起点として上昇N波動を考え50%エクスパンションの1.1264
〇今週は1.0950レベルをサポートに1.1111レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、週初からうねるような波を繰り返す動きとなり、下値は1.0965水準を3回つけ、上値は26日水曜に高値を1.1096レベルまで伸ばしたものの1.1060水準を3回つけと方向感ははっきりしないまま、後から振り返るとレンジもほとんどの時間帯が100pips以内に収まっていた一週間だったと言えます。

先週のユーロドルはドルとしての動きに加えドル円とともにユーロ円が円安に振れた動きがユーロとしての方向感を相殺した一週間となりましたが、日銀会合を終えてユーロ円は円安トレンドが継続、コンセンサス通り3日FOMCが0.25%利上げ、4日ECB理事会が0.5%の利上げであるとすると米欧金利差縮小の動きからユーロドルには買いが入りやすい地合いが続くと言えます。

今週は月初で経済指標は多いもののPMIは改定値ですし、1日は休場となる欧州市場も多いことから、市場の注目は2日ユーロ圏CPI速報値、3日FOMC、4日ECB理事会、5日米国雇用統計と4つのイベントに集中します。CPI速報値の出方によっては今回ではなく次回以降のECB理事会の判断に影響を与えるでしょうから、CPIとECB理事会はセットです。

またFOMCは今回の利上げでターミナルレート到達となることが確実視されているため、パウエル議長会見における今後についての発言が注目されるでしょう。米国雇用統計についてはドル材料として多少振れる要因というところですが、最近は雇用統計前の求人数に注目が集まるなど、雇用悪化の材料に反応しやすいという点は気を付けておくとよいでしょう。

短期の方向感は無いものの、トレンドはユーロ高

次にテクニカルですが、先週は週間レンジが100pips未満、今週も一時的な上昇があったとは言うもののコアレンジは100pips程度に過ぎません。そろそろ大きな動きが出て来てもおかしくなさそうですが、3月安値以降は安値を切り上げる動きとなっていることはたしかで、米欧金利差縮小期待によるユーロ買いの動きが当面は出てくるであろうことを考えると現在は青の平行線で示した上昇チャンネルの中をゾロ目ターゲット1.1111を目指して上昇中と考えてよいでしょう。また長期的なターゲットとしては昨年9月安値を起点として上昇N波動を考え、50%エクスパンションの1.1264を考えることとなりそうです。

下値については下値を切り上げているとは言っても既にサポートラインが1.10の大台へと上昇してきていますので、1.09台半ばを見ておきたいところです。今週は1.0950レベルをサポートに1.1111レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

ユーロ円が150円の大台に乗せましたので長期の動きを月足チャートで見ておきます。

短期の方向感は無いものの、トレンドはユーロ高 2枚目の画像

ユーロ円は先週2014年12月高値を上抜け150円の大台乗せとなりました。150円よりも上の水準ではリーマンショック前の高値169.95まで目立ったレジスタンスは無く、節目の160円、170円という水準が意識されやすくなります。

最も近いターゲットとしてはリーマンショック前の高値とその後の安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しとなる153.72です。当面のターゲットとして153円台は意識しておきたい水準となりそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月1日(月)
**:** 香港、中国(〜3日)、シンガポール、ドイツ、フランス、LDN、トルコ、南ア市場休場

5月2日(火)
15:00 英国4月住宅価格
15:00 ドイツ3月小売売上高
16:50 フランス4月製造業PMI
16:55 ドイツ4月製造業PMI
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI
17:30 英国4月製造業PMI
18:00 ユーロ圏4月CPI速報値 ☆

5月3日(水)
18:00 ユーロ圏3月失業率
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

5月4日(木)
15:00 ドイツ3月貿易収支
16:50 フランス4月サービス業PMI
16:55 ドイツ4月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI
17:30 英国4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月PPI ☆
21:15 ECB理事会 ☆
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆

5月5日(金)
15:00 ドイツ3月製造業新規受注
15:45 フランス3月鉱工業生産
17:30 英国4月建設業PMI
21:30 米国4月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月24日(月)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場以降はECB関係者のタカ派発言が続いたことでユーロ買いが強まり、1.1050レベルまで上伸し高値圏での引けとなりました。

4月25日(火)
ユーロドルは東京市場でユーロ円が一段高、昨年高値を超え2014年12月以来の高値を見たことでユーロドルも1.1067レベルまで高値を切り上げていました。しかし、ユーロ円の利食いが出る中で、株安の動きがユーロ円の下げを最も加速させたこともあり、ユーロドルは前日安値圏、ユーロ円は金曜安値圏へと押して引けました。

4月26日(水)
ユーロドルは東京市場では底堅い程度の動きでしたが欧州市場序盤からユーロ買いが強まり、強い経済指標をきっかけに一気にユーロ買いが強まりました。その後はテクニカルな買いも加わって前日高値を上抜け、NY市場では1.1095レベルの高値をつけました。引けにかけては利食い売りも出て1.10台前半に押して引けました。

4月27日(木)
ユーロドルはNY市場までは1.10台半ばを中心に狭い値幅でのもみあいを続けていました。NY市場に入り発表されたGDP速報値ではPCEにより強く反応したことから米金利上昇によるドル買いの動きで1.0992レベルの安値をつけ、引けにかけては1.10台前半に戻しています。

4月28日(金)
ユーロドルは東京前場は動かず、後場のドル円上昇の動きに引っ張られてユーロ売りが強まりました。NY市場序盤に米国経済指標も影響して1.0962レベルへと下押ししましたが、その後は月末ロンドンフィキシングで実需のユーロ買いが出たこと、ドル円だけでなくユーロ円の買いも入り150円台半ばまで上昇した動きも加わってユーロドルは1.1045レベルと日中高値を更新し、引けにかけてはやや押しました。

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