長期ユーロ安トレンドは変わらず
〇先週のユーロドル、米金利上昇やポンド売りの動きにも引っ張られ0.9669レベルまで水準切り下げ
〇今週最大の注目材料はドイツとユーロ圏のCPI速報値、ユーロ圏の今回予想は9.6%
〇英国での景気後退リスクやイタリアでの総選挙なども週明けのユーロドル売りにつながる
〇経済的にも政治的にも外部環境的にもユーロは売られやすい地合い
〇今週は0.9490レベルをサポートに、0.9790レベルをレジスタンスとするレンジとみる
先週のユーロドルは、FOMCに向けてのドル買いの動きがユーロドルじり安の動きとなっていましたが、FOMC後も米金利が上昇したこと、欧州の景気後退リスクが強まる中、英国では新政権が減税と国債増発を計画していることによるポンド売りの動きにも引っ張られ、ユーロドルは0.9669レベルまで水準を切り下げ安値圏での引けとなりました。
今週は月末前で多くの経済指標に加え、ECB関係者の発言も続きますが、最大の注目材料はドイツとユーロ圏のCPI速報値です。ユーロ圏CPIは前回9.1%にまで上昇していましたが、今回予想は9.6%となっていて、今後二桁のCPIになることが予想されています。ECB関係者の講演は指標発表前であることから、影響が出てくるとすれば来週になるかもしれませんが、既にECBが利上げした後であることを考えると、欧州の景気後退に目が向きやすいと言えるでしょう。
エネルギー価格も一時期よりは下がったというものの高止まり状態ですし、先週見たCO2排出権取引を見ても冬に向けての産業界の停滞は避けられそうもありません。英国での景気後退リスクも高まってきたことや、イタリアでの総選挙で極右政党(イタリアの同胞)が第1党となり、右派が連立政権を組むことも週明けのユーロドル売りにつながりました。
0.95台半ばまで売りが先行して始まりましたが、テクニカルには0.95台半ばから前半はターゲットとなっているため目先は0.95を目指すものの、その先の動きは今後の材料次第というところだと思います。ただ、イタリアの極右はウクライナ政策も含めEUに対して批判的な発言をしてきていることから、経済的にも政治的にも外部環境的にもユーロは売られやすい地合いに向かっていきそうです。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
年初来高値からのレジスタンスライン(青の太線)と平行ラインと(青)とで構成される下降チャンネルは依然として有効で、現在はユーロ売りの流れの中で下側のライン(現在0.94台半ば)をターゲットにしやすい状態です。また6月後半高値からの逆N波動からフィボナッチエクスパンションを計算すると、127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが0.9522となっていて0.95の大台もターゲットとなります。
いっぽうで上値は9月上旬安値だった0.98台半ばを下抜けてから売りが加速しているため、0.98台半ばはレジスタンスとなる水準ですが、既に遠い感じで木曜安値0.9808レベルが現状ではレジスタンスとなりやすいと見られます。今週は0.9490レベルをサポートに、0.9790レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。
今週のコラム
今週はポンドドルの長期チャートを見ておきましょう。
ポンドドルは1985年安値1.0520レベルを今朝下抜けたことで変動相場制移行後の最安値を更新中です。
こうなってくると、ユーロドルに続いてパリティをトライする流れになってきそうですから、ユーロドル以上にポンドドルの動きが気になることとなってきました。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
9月26日(月)
16:00 デギンドスECB副総裁 ☆、ドイツ連銀総裁 ☆、リトアニア中銀総裁講演
16:30 パネッタECB理事講演 ☆
17:00 スペイン中銀総裁講演
17:00 ドイツ9月ifo企業景況感 ☆
22:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
23:30 ポルトガル中銀総裁講演
9月27日(火)
20:00 フランス中銀総裁講演 ☆
20:30 パウエルFRB議長講演 ☆
9月28日(水)
15:00 ドイツ10月消費者信頼感 ☆
15:45 フランス9月消費者信頼感
16:15 ラガルドECB総裁講演 ☆
9月29日(木)
16:00 パネッタECB理事 ☆、リトアニア中銀総裁講演
16:30 ポルトガル中銀総裁講演
17:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏9月消費者信頼感 ☆
21:00 ドイツ9月CPI速報値 ☆
26:00 レーンECB理事講演 ☆
9月30日(金)
15:00 英国4〜6月期GDP改定値 ☆
15:45 フランス9月CPI速報値 ☆
16:55 ドイツ9月失業率
18:00 ユーロ圏9月CPI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏8月失業率
19:00 本邦9月平衡操作(介入)実施状況 ☆
24:30 シュナーベルECB理事講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月19日(月)
ユーロドルは東京市場では米金利上昇によるドル高(ユーロ安)、海外市場ではドル安(ユーロ高)の動きでしたが、東京、LDNともに休場の影響もあって1日のレンジは63pipsに留まりました。
9月20日(火)
ユーロドルは東京前場はドル売りの動きから一時1.0051レベルの高値をつけたもののすぐに反落、その後は欧州景気後退リスクが根強い中、海外市場では米金利上昇の動きも重なってユーロドルはじり安の展開をたどりました。NY朝方に0.9955レベルの安値をつけ、若干買い戻されて引けました。
9月21日(水)
ユーロドルは欧州市場序盤の予備役30万人の招集というプーチン演説を受け、戦争長期化を嫌気したユーロ売りから0.9885レベルまで下落、その後はFOMCに向けてのドル買いから一段安となり、FOMC発表直後には0.9812レベルの安値をつけました。パウエル議長会見でいつかは利上げペースを落とすとの発言に一時0.99台に乗せたものの引けにかけて再び安値圏に押して引けました。
9月22日(木)
ユーロドルはドル円で円買い介入が出たことによるドル安(ユーロ高)の動きと、ユーロ円でも円買いに動いたことからユーロ安の動きに挟まれ、終日レンジも99pipsにとどまり方向感の無いままで終わりました。
9月23日(金)
ユーロドルが動き始めたのは欧州市場に入ってからで、きっかけはそれまで下げていた米金利が上昇に転じたことでした。さらに、ポンドが財政悪化懸念から37年ぶりの安値圏へと売られる動きもユーロ売りにつながりました。ユーロドルは引けにかけて0.9668レベルまで水準を下げ安値圏で引けました。
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