『リスク選好ムードの賞味期限切れに要注意』
〇ドル円週明け早々103.19の安値をつけるも、ファイザーのコロナワクチン成功報道等に105.68まで上昇
〇その後世界的感染拡大、米指標不冴えに104.60まで値を崩して越週
〇ユーロドルワクチン開発期待に1.1920に急伸後、コロナ感染拡大、ECB緩和観測に一時1.1745まで反落
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズともに下落リスクが警戒される
〇欧米株、米長期金利、コロナ感染拡大、ワクチン開発関連報道、米指標等注意
〇コロナワクチンに端を発した楽観ムードは早くも後退。来週は見切り売り主導で全値押しを試す展開か
〇来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー105.50、(EURUSD):1.1675−1.1925
今週のレビュー(11/9−11/13)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初103.35で寄り付いた後、早々に週間安値103.19まで下落しました。しかし、先週末金曜日に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をバックに下げ渋ると、@バイデン氏の勝利宣言に伴う米政治不安の後退や、A米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチン候補に関するポジティブな報道(米ファイザー社と独ビオンテック社が開発中のワクチン候補が、数万人参加した治験で90%超の確率で感染防止の暫定結果→新型コロナウイルスの収束期待)、B上記@Aを背景としたリスク選好ムードの高まり(欧米株急騰+米長期金利急騰)が支援材料となり、週央にかけて、10/20以来となる高値105.68まで急伸しました。
もっとも、90日移動平均線に続伸を阻まれると、週後半にかけては再び反落。C世界的な新型コロナウイルスの感染拡大や、Dそれに伴うロックダウンの再開懸念(ニューヨーク州はレストランやバーを22時で閉店するよう命じると発表)、E米10月消費者物価指数や米10月生産者物価指数の予想比低下、F米11月ミシガン大学消費者信頼感指数(結果77.0、予想82.0)の冴えない結果が重石となり、結局104.60近辺まで値を崩しての越週となっております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1882で寄り付いた後、@米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチンに関するポジティブな報道や、A上記@を背景としたリスク選好ムードの高まりが支援材料となり、週明け海外時間に、約2ヵ月半ぶり高値となる1.1920(9/2以来)まで急伸しました。
しかし、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、B米10年債利回りの高騰や、C上記Bを背景としたドル買い圧力、D欧米貿易摩擦懸念(欧州連合は米政府に40億ドル相当の報復関税を課すと発表)、Eドイツ11月ZEW景況感指数(結果39.0、予想41.7、前回56.1)の冴えない結果、F欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(イタリアの新型コロナ感染者が100万人を突破)、Gオランダ中銀クノット総裁によるハト派的な発言(ECBは12月会合でいかなる政策決定も排除しない)、HラガルドECB総裁による追加緩和を示唆する発言(12月会合ではパンデミック緊急購入プログラム=PEPPや、長期資金供給オペ=TLTROの拡大が焦点)、I欧英交渉難航リスク(交渉が11月中旬の期限までに間に合わないリスクの再燃)が重石となり、週央にかけて、約1週間ぶり安値となる1.1745まで反落しました。週末にかけて持ち直すも上値は重く、結局1.1835近辺での越週となっております。
来週の見通し(11/16−11/20)
<ドル円相場>
ドル円は、先週末金曜日(11/6)に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をボトムに反発に転じると、今週半ば(11/11)にかけて、一時105.68まで急騰しましたが、結果的には90日移動平均線に続伸を阻まれる形で104円台半ばへ反落しました。強い売りシグナルを示唆する三役逆転や移動平均線のパーフェクトオーダーも継続しており、テクニカル的にみて、「地合いは弱い」と判断できます(短期筋による見切り売りが活発化すれば、来週は103.17→105.68の上げ幅の全値押しの可能性あり)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(※新型コロナワクチン期待は沈静化。楽観ムードの逆流に警戒)、E日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。昨日は株式市場がグローバルに反落)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる構造的な不安材料は引き続き残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、米追加景気対策及び米大統領選挙の続報、米国の主要経済指標の結果(11/16の米11月ニューヨーク連銀景況指数、11/17の米10月小売売上高、米10月鉱工業生産、11/19の米11月フィラデルフィア連銀景況指数、米10月中古住宅販売件数など)、FRB当局者による要人発言(今週は11/16のクラリダFRB副議長討論会や、11/18のニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁討論会をはじめ多くの当局者発言が予定。米FRB当局者よりハト派的な発言が見られればドル売り圧力が強まる可能性あり)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(新型コロナワクチンに端を発した楽観ムードは早くも後退。来週は見切り売り主導で全値押しを試す展開か)
来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー105.50
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、11/4に記録した約3ヵ月半ぶり安値1.1603をボトムに反発に転じると、今週初(11/9)にかけて、9/2以来となる高値1.1920まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上下限を上抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております(今週は週央にかけて下落するも、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドに続落を阻まれる形で持ち直す結果に。終値ベースで一目均衡表雲上限より上側の水準をキープ)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク(欧米貿易摩擦懸念)、B欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れ懸念)、CECBによる追加緩和観測(次回12月会合での追加緩和観測)、D英国・EU間の交渉難航リスク(11月中旬の期限に間に合わないリスク)、EECB当局者によるユーロ高牽制姿勢など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的な強さを残しつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れ懸念)、新型コロナワクチンに関する続報、欧州圏の主要経済指標の結果(11/19のユーロ圏9月経常収支や、11/20のユーロ圏11月消費者信頼感指数など)、ECB当局者による要人発言(11/16に予定されているデギンドスECB副総裁講演、ポルトガル中銀センテノ総裁講演、ラガルドECB総裁講演、メルシュECB専務理事講演、11/20に予定されているフランス中銀ビルロワドガロー総裁講演、シュナーベルECB専務理事講演、ラガルドECB総裁講演など)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1675−1.1925
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2020.11.16
ドル円見通し 再びドル安の流れに入ったか、3月以降の下降チャンネルからは抜け出せず(週報11月第3週)
週後半はユーロやポンドが戻す中でドル円は失速となりドル安感がやや復調するような動きとなった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2020.11.13
コロナ関連報道などにらみつつ一進一退か(11/13夕)
13日の東京市場は、ドルが冴えない。前日まで下値を支えてきた105円を一時割り込むなど、目先の続落を懸念する声も聞かれていた。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。