『史上最安値圏から急反発。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇トルコリラ円コロナワクチン報道からのリスクセンチメント改善、地政学リスク後退等に13.81まで急騰
〇引けにかけ反落するも底堅く13.63で越週
〇テクニカルには長期下落トレンド終焉意識させるチャート形状
〇ファンダメンタルズは未だトルコ売り要因多い
〇大幅利上げ予想の11/19中銀会合の結果要注視
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.20ー14.00
今週のレビュー(11/9−11/13)
今週のトルコリラ円相場は、週初12.12円で寄り付いた後、@米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチン候補に関するポジティブな報道(米ファイザー社と独ビオンテック社が開発中のワクチン候補が、数万人参加した治験で90%超の確率で感染防止の暫定結果→新型コロナウイルスの収束期待)や、A上記@を背景としたリスク選好ムードの高まり(株式市場の急騰→新興国通貨買戻し)、Bエルドアン・トルコ大統領による「中銀の政策を十分にサポートする」との発言(エルドアン氏と中銀の対立懸念後退→次回会合での大幅利上げ期待→トルコリラのショートカバー)、Cトルコ当局による為替取引の規制緩和発表、Dアルメニアとアゼルバイジャンの停戦合意が支援材料となり、週末にかけて、10/1以来の高値となる13.81円まで急騰しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局13.63円前後での越週となっております。
来週の見通し(11/16−11/20)
トルコリラの対円相場は、11/6に記録した年初来安値12.04円をボトムに反発に転じると、週末にかけて、約1ヶ月半ぶり高値となる13.81円まで急騰しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ(長期下落トレンドの終焉)」を意識させるチャート形状となっております(但し、来週は分厚い一目均衡表雲が覆いかぶさってくることから、上値を抑えられる可能性あり)。
ファンダメンルズ的に見ると、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス継続、Dトルコを巡る地政学的リスク、E米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(反トルコ包囲網の拡大)、F新型コロナウイルスの感染拡大(トルコ経済の柱である観光産業への大打撃)、Gトルコに批判的なバイデン新大統領誕生の可能性が一段と高まっていることなど、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、今週のトルコリラ円相場は、大幅利上げ期待とそれに伴うショートカバーで急騰しましたが、ファンダメンタルズ的な脆弱さを考慮すると、一巡後の再反落が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、外貨準備の急減リスク(介入余力の減退)、地政学的リスクの高まり、バイデン新大統領誕生リスクが重石になると見られ、来週はトルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(※トルコ中銀は来週11/19に予定されている会合で通貨安抑制を目的に大幅利上げ=400bpに踏み切る公算大。しかし、経済状態が脆弱な中での利上げは諸刃の剣。利上げ実施に伴うトルコ経済への下押し懸念→トルコリラ売り再開の波及経路に要注意)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.20ー14.00
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円
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