来週の為替相場見通し:『ドル円は下値余地を探る展開。年初来安値更新も射程圏内』(11/7朝)

ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、今週末(11/6)にかけて、約8ヵ月ぶり安値となる103.18まで急落しました(3/12以来)。

来週の為替相場見通し:『ドル円は下値余地を探る展開。年初来安値更新も射程圏内』(11/7朝)

『ドル円は下値余地を探る展開。年初来安値更新も射程圏内』

〇ドル円大統領選直後は上下両院の民主圧勝観測と長期金利上昇で週央にかけ105.35まで上昇
〇その後トランプ大統領と共和党の善戦、パウエル議長のハト派発言にドル売りが強まり103.18まで急落
〇ユーロドルECBの追加緩和観測米大統領選のブルーウェイブ観測に1.1603まで下落後、1.1890まで急伸
〇ドル円テクニカルには地合いの弱さを強く印象付けるチャート形状
〇ファンダメンタルズもドルの下落不安材料多く、ドル円相場下落がメインシナリオ
〇来週の予想レンジ(USDJPY):102.00ー104.50、来週の予想レンジ(EURUSD):1.1750−1.1000

今週のレビュー(11/2−11/6)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初104.57で寄り付いた後、@米10月ISM製造業景況指数(結果59.3、予想55.8)の力強い結果(約2年ぶり高水準)や、A米長期金利の急上昇(バイデン氏の勝利や上下両院を民主党で占めるブルーウェイブ期待→大型財政出動の思惑→米長期金利上昇→ドル高)が支援材料となり、週央にかけて、高値105.35まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲上限に続伸を阻まれると、Bトランプ米大統領の予想外の善戦を受けてブルーウェイブ期待が後退したこと(民主党が掲げる大型財政出動期待が後退し、金融政策に依存した政策運営の長期化期待が広がったこと)、C上記Bを受けて米長期金利低下→株高→ドル売りの流れが強まったこと(リスク選好のドル売り)、

D米10月ADP雇用時計(結果36.5万人、予想64.3万人)の冴えない結果、E心理的節目104.00を割り込んだことに伴うロング勢のロスカット、FパウエルFRB議長によるハト派寄りの発言(米FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長が「経済の下振れリスクが拡大していることを懸念」「追加の金融・財政支援が必要になる公算が大きい」「12月に経済見通しを修正する予定」とハト派寄りの発言→米追加緩和観測→ドル売り)が重石となり、週末にかけて、3/12以来、約8ヵ月ぶり安値となる103.18まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局103.25(←訂正×108.25)近辺での越週となっております。尚、週末に発表された米10月雇用統計は力強い結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1658で寄り付いた後、@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(ユーロ圏の大半の国でロックダウン開始→欧州経済の下振れ懸念)や、AECBによる根強い追加緩和観測(次回12月会合での追加緩和期待→ユーロ売り)B米大統領選挙におけるブルーウェイブ期待(大型財政出動期待→米長期金利上昇→ドル買い)が重石となり、週央にかけて、7/24以来、約3ヵ月半ぶり安値となる1.1603まで下落しました。しかし、心理的節目1.1600をバックに下げ渋ると、その後は、C米大統領選挙におけるブルーウェイブ期待の剥落(民主党が掲げる大型財政出動期待が後退し、金融政策に依存した政策運営が長期化されるとの思惑→米長期金利低下→米株上昇→リスク選好のドル売り)や、DパウエルFRB議長によるハト派な記者会見(ドル売り)が支援材料となり、週末にかけて、高値1.1890まで急伸する展開となりました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局1.1880近辺での越週となっております。

来週の見通し(11/9−11/13)

<ドル円相場>
ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、今週末(11/6)にかけて、約8ヵ月ぶり安値となる103.18まで急落しました(3/12以来)。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す一目均衡表三役逆転や移動平均線のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(ブルーウェイブ期待が剥落したことで金融政策に依存した政策運営の長期化が見込まれる)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(為替報告書にて中国を為替操作国に再認定するリスク)、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大懸念(欧米を中心にロックダウン再開→欧米経済の先行き不透明感→リスク回避ムード再燃)、E日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、G米追加景気対策の後ずれ観測(米議会の捻じれ残存→早期財政出動期待の後退→追加緩和の催促相場→米長期金利低下→ドル売り)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況及び米大統領選挙の正式結果、米国の主要経済イベント(11/12の米10月消費者物価指数や米10月財政収支、11/13の米10月生産者物価指数や米11月ミシガン大消費者信頼感指数、ECBフォーラムでのパウエルFRB議長講演など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(下値余地を模索する展開。来週はリスクオンのドル売りからリスクオフの円買いに切り替わる恐れも)。

来週の予想レンジ(USDJPY):102.00ー104.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、週央に記録した約3ヵ月半ぶり安値1.1603をボトムに反発に転じると、週末(11/6)にかけて、9/15以来となる高値1.1890まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上下限を上抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております(一目均衡表雲の捻じれも同時出現)。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(欧州委員会は今週、2021年の経済見通しを前回の6.1%から4.2%へ大幅下方修正)や、A世界的な貿易戦争再開リスク、B欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れ懸念)、CECBによる追加緩和観測(次回12月会合での追加緩和観測)、D英国・EU間の交渉難航リスク、EECB当局者によるユーロ高牽制姿勢など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です(今週は米ドル主導でユーロドルが急伸するも、一巡後は欧州ファンダメンタルズに着目したユーロ売り再開の恐れ)。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的な強さを見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れ懸念)、米大統領選挙の正式結果、欧州圏の主要経済イベントの結果(11/10のドイツ11月ZEW景況感調査や、11/11−11/12に開催されるECBフォーラムでのラガルド総裁講演、11/13のドイツ連銀バイトマン総裁講演など)を睨みながらも、当方では、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(米大統領選挙に端を発した強烈なドル売りが落ち着き次第、ユーロドルは反落に転じると予想)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1750−1.1000


注:ポイント要約は編集部

『ドル円は下値余地を探る展開。年初来安値更新も射程圏内』

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