トルコリラ週報:『史上最安値を一段と更新。リラ売り基調、一向に止まらず』(11/7朝)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値となる12.05円まで急落しました。

トルコリラ週報:『史上最安値を一段と更新。リラ売り基調、一向に止まらず』(11/7朝)

『史上最安値を一段と更新。リラ売り基調、一向に止まらず』

〇トルコリラ円週初12.55まで上昇後、地震被害、地政学リスク等悪材料が重なり一時12.05まで急落
〇トルコ円テクニカル、ファンダメンタルズとも下落リスク警戒される
〇ロックダウン再開、震災による経済先行き不透明感、地政学リスク、バイデン大統領誕生の可能性が重石
〇トルコリラ円続落がメインシナリオだが自律反発の可能性も
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):11.80ー12.40

今週のレビュー(11/2−11/6)

今週のトルコリラ円相場は、週初12.53円で寄り付いた後、早々に週間高値12.55円まで上昇しました。しかし、@トルコ西部沖で発生した震災がトルコ第3の都市イズミルに甚大な被害をもたらしているとの報道が嫌気されると、Aアルメニアとアゼルバイジャンの対立激化に伴う地政学的リスクや、Bトルコとフランスの関係悪化懸念、Cロシア製地対空ミサイルS400を巡る米国による対トルコ制裁懸念、D米大統領選挙でトルコに批判的なバイデン新大統領誕生の可能性が一段と高まったこと、E新型コロナウイルスの感染拡大懸念(エルドアン大統領は新型コロナ対策として「午後10時以降のレストランやプール、理髪店の閉鎖」を発表)が重石となり、週末にかけて、史上最安値となる12.05円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局12.11円前後での越週となっております(心理的節目12円割れが射程圏内)。

来週の見通し(11/9−11/13)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値となる12.05円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(※トルコ中銀は11/19に予定されている次回理事会で通貨安抑制を目的に利上げに踏み切る公算大。しかし、経済状態が脆弱な中での利上げは諸刃の剣。利上げに伴うトルコ経済への下押し懸念が却ってトルコリラ売りに拍車をかける恐れあり)、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス継続、Dトルコを巡る地政学的リスク(アゼルバイジャンとアルメニア、トルコとギリシャの衝突再開リスクなど)、E米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(反トルコ包囲網の拡大)、F新型コロナウイルスの感染拡大(トルコ経済の柱である観光産業への大打撃)、Gトルコに批判的なバイデン新大統領誕生リスクなど、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感(ロックダウンの再開や震災被害が追い打ち)や、外貨準備の急減リスク(介入余力の減退)、地政学的リスクの高まり、反トルコ包囲網の拡大、バイデン新大統領誕生リスクが重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落(史上最安値をさらに更新し、心理的節目12.00円を割り込む展開)をメインシナリオとして予想いたします(但し、ここ数週間の下落幅が急激すぎることもあり、安値圏での突っ込み売りには要注意=そろそろ自律反発が出てくる可能性も。尚、来週は11/10のトルコ8月失業率、11/11のトルコ9月経常収支、11/13のトルコ9月鉱工業生産に注目)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):11.80ー12.40

注:ポイント要約は編集部

『史上最安値を一段と更新。リラ売り基調、一向に止まらず』

トルコ円日足

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