ドル円「円高トレンド継続、戻り売りがでやすい」(週報9月第3週)

週後半に向けては材料を変えながら久しぶりに値動きを伴った一週間になったと言えます

ドル円「円高トレンド継続、戻り売りがでやすい」(週報9月第3週)

円高トレンド継続、戻り売りがでやすい

〇ドル円105円割れ ユーロドルのドル売りにつれたドル安から円買いへテーマがシフトか
〇テクニカル面後押しし、週末にかけては104.27を記録
〇今週も材料多くさらに円高に振れる可能性、104.19を抜けると103円台半ばがターゲットに
〇今週は103.50レベルをサポートに104.90レベルをレジスタンスとする流れか

今週の週間見通し

先週のドル円は前週のレンジがわずか60銭とエネルギーが溜まっていた面が大きかったと思いますが、ユーロドルにおけるドル売り(ユーロ買い)の動きに遅れて、追随する動きが週初に見られました。その後はFOMCに向けての追加緩和思惑、テクニカルなサポート下抜けと週後半に向けては材料を変えながら久しぶりに値動きを伴った一週間になったと言えます。

順に見ていくと、ユーロドルは9月に入ってすぐに1.20の大台を示現しその後は達成感から調整局面入りとなっていましたが、ドル円はその間も目立った動きは見られず、ユーロ円がユーロドルと同じような動きとなる流れとなっていました。先週に入ってからのドル円の動きはドルとしての動きに追随した面と動きの主役がユーロから円へと変化してきた動きです。

次にFOMCに関しては、ジャクソンホールのパウエルFRB議長の講演で平均インフレ目標を導入するとの発言後最初のFOMCとなることで期待が広がった面が大きかったと思います。当初はそれほど期待は大きくは無かったのですが、近づくにつれて追加緩和の思惑も出て来てそれがドル売り材料となり、その動きの対価として円が選好されたという面がありました。

そしてテクニカルな面が個人的には一番大きかったと見ています。ドル円は8月のレンジが2円弱、9月に入ってからも14日まではわずか1円レンジと蚊帳の外状態の取引が続いていました。動きが出てくれば加速しそうではあったものの動けない状態が長続きしていたのですが、そうした中でも8月下旬以降の着実な高値切り下げが動くとしたら下(円高)という期待に繋がりました。

そして先週は月曜から連日の下げとなり、8月28日安値105.20、8月安値105.10、心理的な大台105.00を16日に一気に下抜けたことで、テクニカルに下を見ていた向きの勢いが増し、週末金曜には104.27レベルの安値をつけるに至りました。

このあたりのテクニカルについては市場の動きが速まって来ていたことから木曜にドル円のコラムで「104円台前半を考えておく必要がありますが、早ければ17日中にもトライする可能性」という水準と時期を示しましたが、金曜に達成したこととなります。

今週は材料的にも連日経済指標発表がありますし、ムニューシン財務長官とパウエルFRB議長の議会証言、そして地区連銀総裁講演と材料には事欠かない一週間です。ここから一段の下げも反発にもつながる可能性がありますが、ファンダメンタルな面でも更なる円高に繋がる材料の方が反応しやすいと見てよいでしょう。

テクニカルな観点からの見通しに戻します。日足チャートをご覧ください。

現在、もっとも近いサポートは7月安値の104.19となりますが、さすがに近すぎますしいつ下抜けしてもおかしくはありません。そしてここを下抜けると目立った安値は年初来安値の101.18までありませんが、さすがに年初来安値の水準には距離がありすぎて、一気に同水準までの円高進行は考えにくいところです。

そこで木曜のコラムで使った逆N波動の次のターゲットを見ることが妥当そうです。これは6月高値109.85を起点に7月安値104.19までの下げ、その後8月高値107.05の戻しを3点としたフィボナッチエクスパンションを考えます。すると50%エクスパンションの次は61.8%エクスパンションの103.54(青のターゲット)となります。

そして年初来安値101.18とその後の戻り高値111.71の78.6%(61.8%の平方根)押しが103.44とほぼ同じ水準を示していることがわかります。つまり次のターゲットとしては103円台半ばを考えておくとよさそうです。いっぽうで戻りは着実に売りが出てくると見ていますので、105円の大台は既に遠のいたという見方でよいでしょう。

今週は戻り売りが出やすく次のテクニカルなターゲットを視野に入れた動きを考え、103.50レベルをサポートに104.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。週初は東京市場が連休となることもあり上下ともに振れやすいため要注意と言えます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

9月21日(月)
**:** 東京市場休場
08:01 英国9月住宅価格
21:45 ラガルドECB総裁講演
23:00 オーストリア中銀総裁講演
25:00 ブレイナードFRB理事講演

9月22日(火)
**:** 東京市場休場
16:30 英中銀総裁講演
17:00 フランス中銀総裁講演
21:00 パネッタRCB理事講演
23:00 ユーロ圏9月消費者信頼感速報値
23:00 レーンECB理事講演
23:00 米国9月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国8月中古住宅販売件数
23:00 (シカゴ連銀総裁講演)
23:30 ムニューシン財務長官、パウエルFRB議長議会証言(下院)

9月23日(水)
11:00 NZ中銀政策金利発表
15:00 ドイツ10月GFK消費者信頼感
16:15 フランス9月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ9月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏9月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 英国9月製造業・サービス業PMI速報値
19:00 スペイン中銀総裁講演
22:00 クリーブランド連銀総裁講演
22:00 米国7月住宅価格指数
22:45 米国9月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 パウエルFRB議長議会証言(下院)
23:30 週間原油在庫統計
24:00 (シカゴ連銀総裁講演)
25:00 (ボストン連銀総裁講演)
27:00 クオールズFRB副議長講演
28:00 (サンフランシスコ連銀総裁講演)

9月24日(木)
**:** 南ア市場休場
07:45 NZ8月貿易収支
08:50 日銀会合議事要旨公表
15:45 フランス9月企業景況感
16:30 スイス中銀政策金利発表
17:00 ドイツ9月ifo企業景況感
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:30 米国新規失業保険申請数
23:00 英中銀総裁講演
23:00 ムニューシン財務長官、パウエルFRB議長議会証言(上院)
23:00 米国8月新築住宅販売
25:00 (セントルイス連銀総裁講演)
26:00 (シカゴ連銀総裁講演)
**:** EUサミット(〜25日)

9月25日(金)
08:01 英国8月GFK消費者信頼感
16:00 フランス中銀総裁講演
17:45 スペイン中銀総裁講演
21:30 米国8月耐久財受注
22:00 NY連銀総裁講演

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月14日(月)
 週明けのドル円はユーロ買いの動きに追随して若干ドルの上値が重たい動きがNY市場まで続きました。NY市場では105.90を割り込みユーロの動きとの遅れを取り戻すようにドル売りが強まり、9日安値を割り込むとストップオーダーも巻き込みながら105.55レベルの安値をつけました。引けにかけてはユーロの上値の重さもあってやや買い戻されて引けました。

9月15日(火)
 東京市場のドル円は前日の下げに対し買い戻しが先行しましたが、海外市場に入ると流れが急速に変わりドル円、クロス円での売りが強まることとなりました。FOMCを前にして米国の緩和が長期化することに加え、更なる緩和について言及される可能性といった思惑が出て、前日安値を割り込むとストップオーダーも巻き込みながら105.30まで下落、引けにかけては105円台半ばまでやや戻しました。

9月16日(水)
 ドル円は前日欧州市場以降の円高の流れが続き、欧州市場では円が一段高となり105.20、105.10と次々とサポートを下抜け104円台後半でNY市場入りとなりました。円高の動きはFOMCに向けての思惑と、テクニカルにサポートを割り込んだことによる売り仕掛けが材料となっていました。FOMCでは現行の緩和政策を更に1年延ばすものの会見において何ら踏み込んだ発言が無かったことから、104.80レベルの安値をつけて以降は104円台後半でもみあいのまま引けました。

9月17日(木)
 ドル円は黒田総裁会見までは動きが鈍かったもののユーロドルの下げに沿ってややドルが底堅い動きとなっていました。日銀会合結果も黒田総裁会見も材料視はされなかったもののダウ先物が急速に下げる動きの中でドル円では円買いの動きが強まり、欧州市場昼過ぎには104.53レベルの安値をつけました。その後は買い戻しも見られたものの、上値の重たいままでの引けとなりました。

9月18日(金)
 ドル円は今週に入ってからのパターンを繰り返しました。東京市場では動かず海外市場に移ってから動きが出てくるという展開ですが、欧州市場序盤から動きが出始め欧州市場前場に104.27レベルの安値をつけました。特に目立った材料があったわけでもなくドル円、クロス円で値頃感から買った短期筋のストップオーダーを巻き込んだ様子でした。その後は安値圏でのもみあいを続けていましたが、NY後場以降はポジション調整も出てやや買い戻されて引けました

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