ドル安基調継続か、103円台突入も!?
〇ドル円一時先週末安値104.28に面合わせ
〇東京休場の際の為替相場は乱高下するケースも多く要注意
〇104.19を割り込むようだと、103円台突入も否定出来ず
〇ドル円予想レンジは103.70-104.60
<< 東京市場の動き >>
週明け21日の東京市場は、ドルが小幅安。先週末に記録した直近のドル安値104.28円に面合わせする局面も観測されていた。
先週末は、中国発の動画アプリTikTokをめぐり情報が交錯すると、休日を堪能していた市場筋も右往左往。また、菅首相がトランプ米大統領、モリソン豪首相と連続で電話会談を行い外交デビューしたこと、トランプ氏に猛毒リシン入りの郵便物がとどいたことなども話題となっていた。
そうしたなか取引が開始されたドル/円は、104.45-50円でオープンしたのち、しばらくはドルが底堅い。104.40-60円といったレンジをたどるも、底割れすると、104.25-30円と先週末安値に一時面合わせしている。ただ、安値を大きく更新することなく下げ止まると、その後は低位揉み合いに。16時現在では104.30-35円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「TikTokをめぐる動き」と「イラン制裁」について。
前者は、先週金曜日にトランプ氏が、ウィーチャットとともに「TikTokの新規ダウンロードを20日に禁止する」と発表。これで決着あり、米オラクルなどとの合併もなくなったとする思惑が一時広がった。そうしたなか、中国サイドは同国商務省が決定に猛反発、「国家の安全や中国企業の利益を損ねる外国企業をリスト化し、輸出入や投資を制限する制度を発表」する対抗措置を発表したほか、TikTok自身も「大統領令の差し止めを求め、米政権を提訴」したことを明らかにしている。すると、トランプ氏は週末、日和ったわけではないのだろうが、一転して「オラクルの提携案を概念の面で承認した」と述べ、金曜日から方針転換した。もっとも、これで一件落着となるのか、それとも第2幕あるいは第3幕があるのか否か、懸念を抱く参加者も少なくないようだ。
対して後者は、トランプ米政権が日本時間20日午前9時に「対イラン国連制裁が全面復活した」と表明したことが物議を醸す。実際、英独仏や国連事務総長などが「法的効力なし」と改めて指摘したように、イラン核合意の当事国や国連安全保障理事会の議長国は米国の主張を一切認めていない。トランプ氏は「21日にも制裁履行に向けた追加措置を発表」する方針を示しており、今後の動きが注視されている。
<< 欧米市場の見通し >>
一説には「外交が苦手」などともいわれていた菅首相だが、先の週末には日豪そして日米の電話首脳会談を行い、まずは無難な外交デビューを飾ったようだ。ちなみに、トランプ氏との会談では「いつでも何かあったら電話してほしい」との言質をもらったという。油断は禁物だが、いわゆる「日本の政局」に一服感がうかがえる反面、台湾情勢やTioTokをめぐる問題などを含めた「米中の対立」は依然として緊迫した状態にある。そうした意味も含め、リスク回避志向から円高が進行しても不思議はないものの、一方で本邦要人などによる「口先介入」が一段の円高に歯止めをかけるとの指摘も聞かれていた。
材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」、「菅新首相誕生と日本の政局」、「ベラルーシ情勢」、「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」など注目要因は依然として目白押し。なかでも、前述した「米中の対立」および、足もと時間外で取引されている先物ベースで170ドルほどと急落をたどっているNYダウの動向などに要注意。経験則からすると、東京休場の際の為替相場は乱高下をたどりやすいだけに、このあと思わぬ変動も!?
テクニカルに見た場合、ドルは7月安値104.19円を辛うじて維持しているものの、低位での推移が続いている。ちなみに、同レベルを割り込んだ場合には年初来安値101.19円を起点とした大きなドルの上昇幅に対するフィボナッチの76.4%戻しにあたる103.65-70円が次の下値メドか。いずれにしても、ドルの続落には要注意。
一方、材料的に見た場合、8月のシカゴ連銀全米活動指数といった米経済指標が発表される予定となっている。ここのところ発表される米経済指標は総じて良好な内容が多いだけに、続くものとなるのか否か注目だ。
それ以外では、「これ」といったイベントなどはとくにないが、たとえば米国の国内要因だけを取り上げても「暫定予算をめぐる問題」や「米最高裁判事後任人事」などなど気になるものは数多い。関連する事象や「イラン制裁」などにおける要人発言にも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは103.70-104.60円。本日東京高値にあたる104.55-60円が最初の抵抗で、上抜ければ105円台回復が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日の東京時間に面合わせした104.28円の攻防にまずは注目。下回ると7月末安値104.19円がターゲットに。さらに、仮にそのレベルも割り込むようだと、103円台突入も否定出来ないだろう。(了)
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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