日本の政局注視も、関心は米FOMCへ移行か
〇ドル円、9/15は値動き15ポイントほどのレンジ取引
〇自民党菅新総裁による新役員人事注視されるも、大方はほぼ内定、市場への影響は限定的
〇英国情勢、下院にてEU離脱法案の一部を反故にする英国内市場法案可決、EUとの通商合意先行き不透明
〇市場の関心は米FOMCへ、明日発表のFOMC結果に注目
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ105.20-106.00
<< 東京市場の動き >>
15日の東京市場は、レンジ取引。自民党の菅新総裁が実施する新役員や閣僚人事に関するニュースが相次いだが影響は限定的だった。
ドル/円は105.65-70円で寄り付いたものの、積極的な売買は本日もおおむね手控えられた。実際、値動きは105.60-75円といったところで、わずか15ポイントほどにとどまっている。昨日決定した自民党の菅新総裁による新役員人事など「日本の政局」が市場で思惑を呼ぶも、ここまで実際の価格変動には結びついていない。16時現在では105.70-75円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「日本の政局」と「英国情勢」について。
前者は、自民党の菅新総裁が実施する新役員や閣僚人事への関心が高まるなか、二階幹事長が再任となるなど、いわゆる「党4役」の顔ぶれはすでに決定したとされていた。また、麻生財務相と茂木外相も留任となるほか、共同通信によると、「官房長官には加藤厚労相が就任する公算が大きい」もようだ。なお、そうした人事の裏で、同党の森山国対委員長が「新しい内閣だから、どこかで国民に信を問うということは大事なことだ」と述べ、衆院解散・総選挙の可能性に言及していたという。
対して後者は、英下院で実施された、国際条約「EU離脱協定」の一部ほごに向け政府が提出した法案の審議において、賛成340、反対263の賛成多数で支持が確定した。これを受け、法案は次の段階に進むことになり、このあと4日間の審議が行われる。ただ、EUサイドは9月末までに同法案の主要部分を撤回するよう求めたことに加え、撤回しなければ年末までに通商合意がまとまることはないとしており、依然として先行きは不透明な状況だ。
<< 欧米市場の見通し >>
「日本の政局」、明日に予定されている首相指名選挙が注視はされているものの、前述したように主要閣僚を中心に、大方の人事はほぼ内定した感を否めない。敢えていえば、次期首相候補との呼び声も高い河野現防衛相の処遇が伝わっていないことがやや気掛かりではある。しかし、それでも大きな相場の波乱要因とはならないだろう。基本的には、15-16日に実施される米FOMCへと市場の関心が移行していくことになりそうだ。
材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」、「日本の政局、菅新首相誕生にともなう動き」、「ベラルーシ情勢」など注目要因は依然として目白押し。それらに加え、さらに「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」も市場の注目を集めはじめている。なお、先月のジャクソンホール会合でパウエルFRB議長から「より長期的な低金利継続」の意志が改めて示されたこともあり、明日の米FOMC結果公表などをにらみつつも、ドルは目先売られやすいとの指摘も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、過去2週間程度ドルの下値を支えてきた105.79円を昨日下回ると、本日もドルは105円後半での推移となっている。短期とはいえレンジを下放れたことからすれば、リスクは下向きと言いたいところだが、8月以降1ヵ月半にもおよぶ105-107円の大きなボックスはいまだ崩れていない。105.10円や105.20円が今回もサポートとなり、底堅く推移する展開もないではないだろう。いま少し、情勢を見極めたい。
本日、9月のNY連銀製造業景況指数や8月の鉱工業生産といった米経済指標が発表される予定となっている。もちろん、それらは要注意だが、明日にFOMCの結果が発表されることを考慮すると、果たして市場への影響はどうか。よほどの好数字でもない限り、影響は限定的なのかもしれない。
また、それとは別に、たとえば前記した英国情勢、議会による「EU離脱協定骨抜き法案審議」などにも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.20-106.00円。本日東京高値にあたる105.75円レベルが最初の抵抗。抜ければ106円前後を目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、昨日示現した安値105.55円が目先のサポートとして意識されている。下回ると105.20円、105.10円など105円割れがいよいよ現実視されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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