ドル円、三役逆転成立で続落。本日は米FOMCがメインイベント
〇ドル円一時105.30まで下落
〇リスク選好の回復、FOMCでの追加緩和観測、レンジ相場からの下放れ、指標不冴えが背景
〇ユーロドルは米序盤にかけ1.1900まで上昇後1.18台半ばに値を崩す
〇テクニカルには三役逆転点灯等ドル売り地合い強まり、ファンダメンタルズも弱い
〇米FOMCでは、金融政策の新たな方針が示されるか否か、メンバー経済見通しに注目集まる
〇ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:104.80ー106.00
海外時間の為替概況
15日(火)の外国為替市場でドル円は続落。@中国の主要経済指標(8月小売売上高、8月鉱工業生産、8月固定資産投資)の良好な結果や、A株式市場の堅調推移、B上記@Aを背景としたリスク選好のドル売り圧力、C菅政権発足に伴う先行き不透明感(アベノミクス→スガノミクスへのスムーズな移行がなされるか否か)、D米FOMC(連邦公開市場委員会)を前にした根強い追加緩和観測、Eテクニカル的な地合いの弱さ(レンジ相場からの下放れ→短期筋のロスカット)、F米8月鉱工業生産(結果0.4%、予想1.0%)の冴えない結果が重石となり、米国時間には、一時105.30(8/31以来の安値圏)まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.44近辺で推移しております。
15日(火)のユーロドル相場は上昇後に伸び悩む展開。@株式市場の堅調推移を背景としたリスク選好のドル売り圧力や、Aドイツ9月ZEW景況感調査(結果77.4、予想69.8)の良好な結果(ユーロ買い要因)、B米FOMCを前にした追加緩和観測(ドル売り要因)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.1900まで上昇しました。しかし、直近高値1.1918(9/10高値)をバックに伸び悩むと、CECB当局者による「ユーロ高牽制」への思惑や、D英合意無き離脱リスクを巡る先行き不透明感が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1848近辺まで値を崩す展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、8/28に記録した高値106.96をトップに反落に転じると、昨日は一時105.30まで下落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も点灯するなど、テクニカル的にみて、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(日本側はアベノミクス→スガノミクスへのスムーズな移行に際してある程度の不確実性が残る一方、米国側は今晩予定されているFOMCに向けて追加緩和期待が高まる展開)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不透明感(11/3の米大統領選)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の大幅な乖離(株価急落への根強い警戒感)、H英合意無き離脱リスク(英ポンド下落→英ポンド円下落→ドル円連れ安)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒されます。欧米株の動向や、米中対立及び英国情勢に関するヘッドライン、米主要経済指標の結果(米8月小売売上高やFOMCなど)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。尚、明日日本時間早朝3時に発表される米FOMCでは、金融政策の新たな方針が示されるか否かに注目が集まります(※8月27日に開催されたジャクソンホールにてパウエルFRB議長が一時的な物価上振れを許容する平均物価目標を導入したことが背景)。新方針の下でフォワードガイダンスや量的緩和の強化策が発表される可能性もあり、上下共ボラティリティ(値幅)の拡大に注意が必要でしょう。また、今回は同時に発表されるFOMCメンバーによる経済見通し(SEP)にも注目が集まります。2023年のインフレ見通しが1.9%以下に留まれば、上述の平均物価目標の観点でゼロ金利政策が2024まで続くこと(実質的なフォワードガイダンス)を示唆することから、米金融緩和長期化観測→ドル全面安への波及経路に引き続き警戒が必要です。
本日の予想レンジ:104.80ー106.00
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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