ドル円見通し 105円台序盤へ一段安、FOMC控えてのドル安円高感がやや優勢(20/9/16)

ドル円は9月15日夜に105.30円まで下落して8月28日安値105.17円に迫った。安値更新は回避しているものの16日早朝にかけても上値が重く105円台前半にとどまっている。

ドル円見通し 105円台序盤へ一段安、FOMC控えてのドル安円高感がやや優勢(20/9/16)

105円台序盤へ一段安、FOMC控えてのドル安円高感がやや優勢

〇ドル円、9/15夜105.30まで下落、16日早朝も上値重く105円台前半にとどまる
〇日本時間17日未明のFOMC発表と会見通過後のドル安円高進行見越した下落か
〇ユーロドル、FOMC前のポジション調整でユーロの利益確定売り進み、ユーロが反落
〇15日NYダウ、ナスダック総合指数共に上昇後FOMC控え慎重となりやや失速
〇中国、欧州、米国の経済指標は上昇、改善が見られる状況
〇15日夜安値105.30割れからは8/28夜安値105.17、さらに8/19安値105.08試し
〇15日夕刻高値105.81超えからは強気サイクル入りとみて106円台序盤試し想定

【概況】

ドル円は9月15日夜に105.30円まで下落して8月28日安値105.17円に迫った。安値更新は回避しているものの16日早朝にかけても上値が重く105円台前半にとどまっている。
9月15日から米FOMCが始まった。日本時間17日未明には声明文と各種見通しの発表及び議長会見があるが、FOMCを通過してドル安円高が進むのではないかとの見方が優勢となっての下落と思われる。

9月10日のECB理事会及びラガルド総裁会見からユーロが対ドルで急伸し、いったん反落した11日未明安値から上昇を再開して15日夜にかけてはユーロ高ドル安が進んだ。中国経済指標が良好で独ZEWの景況感指数もドイツ及びユーロ圏で改善したことでリスク選好感が強まったことからユーロ買いが進んだ印象だが、15日夜の米経済指標が概ね良好だったことではドルの買い戻しという反応となり、ユーロやポンド及び豪ドル等が反落した。ドル円における円高ドル安の進行を踏まえればドル買いというよりもFOMCを控えてのポジション調整でユーロの利益確定売りが進んだことでユーロが反落、その一方でドル円はFOMCを意識したドル売り円買いが継続したという印象だ。

【中国、欧州、米国の経済指標は概ね改善傾向】

9月15日のNYダウは経済指標改善により前日比2.27ドル高と上昇、ハイテク中心のナスダック総合指数は133.67ポイント高と上昇した。中国、欧州、米国の経済指標が概ね良好だったことで株買いが進んだが、FOMCを控えて慎重となり高寄り後はダウもナスダックもやや失速した。
中国の8月小売売上高は前年比0.5%上昇で市場予想の0.0%を上回った。7月のマイナス1.1%からは改善した。8月の中国鉱工業生産は前年比5.6%上昇となり市場予想の5.1%及び7月の4.8%を上回った。景気回復感が徐々に強まっている印象だ。
ドイツの9月ZEW景気期待指数は前月比5.9ポイント上昇の77.4となった。現況指数は15.1ポイント上昇のマイナス66.2へ改善した。またユーロ圏のZEW期待指数も前月比9.9ポイント上昇の73.9、現況指数も8.9ポイント上昇のマイナス80.9となった。いずれも改善傾向を示しているが経済活動再開による感染者の再増加傾向もあり、現況指数も改善したとはいえ大幅に悪化した状況には変わりない。

米ニューヨーク連銀が発表した9月のニューヨーク州製造業景況指数は17.0で前月の3.7から大幅に上昇した。3か月連続のプラス圏となり市場予想の6.0を上回った。米連銀が発表した8月の鉱工業生産指数は前月比0.4%上昇で市場予想の1.0%は下回ったが、4か月連続での改善となった。設備稼働率は71.4%で前月から0.3ポイント上昇して予想と一致した。総じて経済活動の回復により経済指標の改善が見られる状況だ。

米連銀は9月15日から16日までの2日間、FOMC(連邦公開市場委員会)を開催中だ。日本時間17日未明には声明分発表と議長会見がある。今回のFOMCでは物価目標の2%を超えてもゼロ金利を長期間維持するという、8月27日夜のジャクソンホール講演でパウエル米連銀議長が示した方針が再確認されると思われる。これについては市場も既に織り込み済だが、6月会合以来となるFOMCメンバーによる成長率や物価上昇率の見通し、ゼロ金利の継続期間に対する予想値が注目される。
FOMCをきっかけとしてゼロ金利長期化と量的金融緩和拡大姿勢を根拠にドル安が加速するのか、やや市場が失望してドルの巻き返し的な上昇が発生するのか、FOMC後の米長期債利回り動向も含めて注目されるところだ。

【8月13日以降のボックス型持ち合いから放れるところか】

ドル円は8月28日の安倍首相辞任報道による急落とドル安が重なって8月28日昼高値106.94円から夜安値105.17円まで急落した後は、この高安レンジ内に収まっている。9月3日夜に106.54円まで戻した後はジリ安の傾向に陥り、9月9日安値105.75円からいったんは106円台序盤へ戻していたが、9月14日はドル安進行により深夜に105.51円まで一段安となり、15日夕刻には105.81円まで戻すも106円には届かずに夜の一段安で105.30円まで下げた状況にある。
日足チャートでは、7月31日安値104.17円から8月13日高値107.05円まで戻した後は107円前後を抵抗とし105円台序盤を支持線とするボックス型持ち合いの様相となり、9月に入ってからはさらに106円台序盤を中心としたレンジに値動きが縮小されて膠着状態となっていたところから転落し始めて、上記ボックス型持ち合いの下限を再び試す状況にある。

FOMCからボックス型持ち合いを下放れる=8月19日安値105.08円を割り込む場合は7月31日安値104.17円試し、さらに底割れへ向かえば概ね2か月から3か月周期の底打ちサイクルにおける弱気サイクル入りとなり、9月末から10月序盤ないしは10月末にかけて下落継続となりやすく、3月コロナショック時の安値101.23円を目指す展開となりかねない。逆にFOMCを強気反応してボックス型持ち合い下限を維持して戻すか、一時的にボックス型持ち合いから転落しても7月31日安値割れを回避して持ち直せば上昇再開へ向かう可能性も残るところだ。いずれへ進むのか、重要な岐路として注目したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月3日夜と4日夜の両高値をダブルトップとして下落期に入り、9月9日夕刻安値でいったんサイクルボトムを付けて戻しに入ったが、9月14日夜の一段安により新たな弱気サイクル入りとなった。ボトム形成期は14日夕から16日夕にかけての間と想定されるので、9月15日夜の戻り高値105.81円を超える反発に入ればいったん強気サイクル入りとして16日午後から18日夜にかけての間への上昇へ進む可能性がある。ただし、9月14日深夜安値でサイクルボトムを付けて既に底割れにより新たな弱気サイクル入りしている可能性もあるので、17日未明のFOMCから一段安へ進む場合は新たな弱気サイクル入りによる下落継続として17日夜から21日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月14日夜への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。16日朝時点も両スパンそろっての悪化が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換には先行スパンを上抜き返す必要があるため、先行スパンから転落しているうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化から下げ再開へ進みやすいとみる。

60分足の相対力指数は9月14日深夜安値から15日夜安値への一段安に対して指数のボトムがほぼフラットとなる強気逆行の気配が見られるが、上昇再開に入るには現状から50ポイントを超える反騰へ進む必要があるので、50ポイント以下での推移中はもう一段安余地ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月15日夜安値105.30円を下値支持線、9月15日夕刻高値105.81円を上値抵抗線とする。
(2)105.81円を下回るうちはもう一段安余地ありとし、15日夜安値割れからは8月28日夜安値105.17円、さらに8月19日安値105.08円試しを目指すとみる。105円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、105円台前半に留まるうちはFOMC後の一段安も警戒される。またFOMCから急落商状の場合は104円台前半へ下値目途を引き下げる。
(3)9月15日夕刻高値105.81円超えからはいったん強気サイクル入りとみて106円台序盤試しを想定する。FOMC前は105.80円台で上値が抑えられやすいとみるが、FOMC後に急伸する場合は106.50円前後を目指す上昇へ発展する可能性もあるとみる。

【当面の主な予定】

9/16(水)
休場、メキシコ、マレーシア
未 定 OECD経済見通し中間報告
未 定 (日) 臨時国会召集/首相指名
未 定 (伯) ブラジル中銀、政策金利発表
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
未 定 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
15:00 (英) 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 0.4%、予想 -0.6%) 
15:00 (英) 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 1.0%、予想 0.0%)
15:00 (英) 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 1.8%、予想 0.6%)
15:00 (英) 8月 小売物価指数 前月比 (7月 0.5%、予想 -0.3%)
15:00 (英) 8月 小売物価指数 前年同月比 (7月 1.6%、予想 0.6%)
15:00 (英) 8月 生産者物価コア指数 前年同月比 (7月 0.1%、予想 0.0%)

18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調済 (6月 171億ユーロ、予想 193億ユーロ)
18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調前 (6月 212億ユーロ)
21:30 (米) 8月 小売売上高 前月比 (7月 1.2%、予想 1.0%)
21:30 (米) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 1.9%、予想 0.9%)
23:00 (米) 7月 企業在庫 前月比 (6月 -1.1%、予想 0.1%)
23:00 (米) 9月 NAHB住宅市場指数 (6月 78、予想 78)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利発表 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長定例記者会見
29:00 (米) 7月 対米証券投資・全体 (6月 -679億ドル)
29:00 (米) 7月 対米証券投資・短期債除く (6月 1130億ドル)

9/17(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行、政策金利 (現行 3.50%、予想 3.25%)
07:45 (NZ) 4-6月期GDP 前期比 (1-3月 -1.6%、予想 -12.5%)
07:45 (NZ) 4-6月期GDP 前年同期比 (1-3月 -0.2%、予想 -12.8%)
10:30 (豪) 8月 新規雇用者数 (7月 11.47万人、予想 -4.00万人)
10:30 (豪) 8月 失業率 (7月 7.5%、予想 7.7%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
18:00 (欧) 8月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (7月 -0.2%、予想 -0.2%)
18:00 (欧) 8月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (7月 0.4%、予想 0.4%)

20:00 (英) 英中銀(イングランド銀行)政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
20:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 7450億ポンド、予想 7450億ポンド)
20:00 (英) 英中銀金融政策委員会議事要旨
21:30 (米) 8月 住宅着工件数・年率換算件数 (7月 149.6万件、予想 147.8万件)
21:30 (米) 8月 住宅着工件数 前月比 (7月 22.6%、予想 -1.2%)
21:30 (米) 8月 建設許可件数・年率換算件数 (7月 149.5万件、予想 152.0万件)
21:30 (米) 8月 建設許可件数 前月比 (7月 18.8%、予想 2.5%)
21:30 (米) 9月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (8月 17.2、予想 15.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 88.4万件、予想 85.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1338.5万人、予想 1300.0万人)

注:ポイント要約は編集部

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