来週の為替相場見通し:『日米政局不透明感が相場の重石。更なる下落に注意』(8/29朝)

今週末も106.94から105.21まで下落するなど上値の重い展開。

来週の為替相場見通し:『日米政局不透明感が相場の重石。更なる下落に注意』(8/29朝)

日米政局不透明感が相場の重石。更なる下落に注意

〇ドル円 パウエル議長の平均物価目標導入等で上下に振れるも米長期金利上昇で106.94まで上昇
〇その後安倍首相の辞意表明で105.21まで下落、105.38前後で越週
〇ユーロドル パウエル議長講演後1.1762まで下落するも持ち直し、1.1920まで反発
〇ドル円テクニカルな上値重くファンダメンタルズもドル売り材料山積
〇米政治不安を背景としたドル売り圧力、安倍首相辞意表明を受けた円高圧力が重石
〇来週は8/19に記録した安値105.10や、7/31に記録した安値104.18を下抜ける展開も視野に
〇ユーロドルは過去最高水準に積まれたユーロロングの解消リスクに要警戒
〇来週の予想レンジ(USDJPY):103.50ー106.50、(EURUSD):1.1700−1.2000

今週のレビュー(8/24−8/28)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初105.86で寄り付いた後、@米食品医薬品局(FDA)が新型コロナウイルスの新たな治療法を緊急承認したことや、A米中通商協議の進展期待(米中両国は合意の履行に向けて必要な措置を取ることにコミット)、B米経済指標の力強い結果(7月新築住宅販売件数や米8月リッチモンド連銀製造業指数、米7月耐久財受注、米7月住宅販売保留指数など)、C米国における新型コロナウイルス平均死者数の減少(ピークアウトの兆し)、D欧米株の堅調推移(リスク選好の円売り)、Eカンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム=ジャクソンホールにてパウエルFRB議長が「平均物価目標の導入及び物価上昇率が2%を緩やかに上回ること」を許容したこと(当初は米金融緩和長期化観測→ドル売りで反応するも、一巡後は、米インフレ許容観測→米長期金利上昇→ドルのショートカバーへ波及)などが支援材料となり、週末アジア時間にかけて、約2週間ぶり高値となる106.94まで上昇しました。

しかし、心理的節目107円丁度や一目均衡表雲下限をバックに伸び悩むと、F安倍晋三首相の辞意表明を受けた失望感(アベノミクス終了への思惑→株安・円高)が重石となり、海外時間には一時105.21まで急落する展開となりました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局105.38前後での越週となっております。

<ユーロドル相場>

今週のユーロドル相場は、週初1.1787で寄り付いた後、@米食品医薬品局(FDA)が新型コロナウイルスの新たな治療法を緊急承認したこと(ドル買い)や、A米長期金利の上昇(ドル買い)、B英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)を巡る先行き不透明感(締結に至らないままEU離脱移行期限=年末を迎えるリスク)、C良好な米経済指標の結果(ドル買い)、D欧州委員会のボーガン委員(通商政策担当)の辞任報道(ユーロ売り)、EパウエルFRB議長講演後のドル買い(当初は米金融緩和長期化観測→ドル売りで反応するも、一巡後は、米インフレ許容観測→米長期金利上昇→ドルのショートカバーへ波及)が重石となり、週後半にかけて、安値1.1762まで下落しました。

しかし、一目均衡表基準線をバックに下げ渋ると、F安倍首相辞意表明後の対円でのドル売りや、G米長期金利の低下、Hユーロ圏8月経済信頼感指数の良好な結果、Iドイツ国債利回りの上昇が支援材料となり、週末にかけては、高値1.1920まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局1.1899近辺での越週となっております。

来週の見通し(8/31−9/4)

<ドル円相場>
ドル円は、8/13に記録した約3週間ぶり高値107.06をトップに反落に転じると、8/19には、一時105.11(7/31以来の安値)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(今週末も106.94から105.21まで下落するなど上値の重い展開。目先は強い売りシグナルを示唆する三役逆転の再点灯に要注意)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(日本側は安倍晋三首相辞意表明を経てアベノミクス終了の思惑が広がる一方、米国側はジャクソンホールを経て大規模量的緩和の長期化期待)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新規失業保険申請件数が100万件の大台乗せ)、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、D米政治を巡る先行き不透明感(11/3の米大統領選)、E安倍晋三首相の辞意表明(自民総裁選は9/15を軸に検討)、F朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、G新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、H日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。欧米株や商品市況の動向や、新型コロナウイルス及び米中対立激化に関するヘッドライン、米主要経済指標の結果(米8月ISM製造業景況指数、米8月ADP雇用統計、米8月ISM非製造業景況指数、米8月雇用統計など)、ポスト安倍を巡る続報(思惑)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米政治不安を背景としたドル売り圧力、安倍首相辞意表明を受けた円高圧力が重石。来週は8/19に記録した安値105.10や、7/31に記録した安値104.18を下抜ける展開も視野に)。

来週の予想レンジ(USDJPY):103.50ー106.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、1.17台半ばから1.19台半ばでの横ばい推移(レンジ相場)が継続するなど、テクニカル的にみて方向感を見出しづらい時間帯が続いております(今週も安値1.1762から高値1.1920へと上昇するも直近レンジ内での取引に収束)。目先は、8/18に記録した約2年3ヵ月ぶり高値1.1966を上抜けられるか否かに注目が集まりそうです。

ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A米中対立激化懸念(米中による報復措置の応酬→世界経済の不安定化リスク)、B世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交がユーロ圏に波及する恐れ)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナ第2波リスク(ユーロ圏における新型コロナ感染者数の拡大懸念)、EECBによる追加緩和観測、FIMM通貨先物で投機筋のユーロロングが過去最高水準に積まれていること(上値余地は限定的)、G英国とEUにおける自由貿易協定(FTA)の交渉難航リスクなど、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、ファンダメンタルズ主導で、上値の重い展開が続くと予想されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナ第2波リスク及び米中対立激化を巡るヘッドライン、ユーロ圏の主要経済イベント(8月消費者物価指数や、7月小売売上高など)、安倍晋三首相の辞意表明を受けた円高リスク(アベノミクス終了の思惑を受けて円高リスクが高まれば、ユーロ円の下落を通じてユーロドルが下押される可能性あり)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(過去最高水準に積まれたユーロロングの解消リスクに要警戒。心理的節目1.20をバックに戻り売りが強まると予想)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1700−1.2000

注:ポイント要約は編集部

日米政局不透明感が相場の重石。更なる下落に注意

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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