「安倍首相が辞任表明」の影響見極めへ(8/28夕)

28日の東京市場は、ドルが冴えない。一時106.90円台まで上昇する局面が観測されたものの、「安倍首相が辞任の意向を固める」との報道が伝わると、流れが一変した。

「安倍首相が辞任表明」の影響見極めへ(8/28夕)

「安倍首相が辞任表明」の影響見極めへ

〇ドル円、一時106.95レベルまで値を上げたものの「安倍首相辞任報道」の後106.10レベルまで下落
〇注目されていた「パウエル発言」を受け、米債市場が動意をみせそれに連れて為替も乱高下
〇安倍首相辞任報道の影響、このあと欧米時間で最初は円買い反応の可能性、一時的な106円割れの予想も
〇本日発表の米経済指標、昨日の好数字に続きドル高材料となるか
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ105.50-106.50

<< 東京市場の動き >>

28日の東京市場は、ドルが冴えない。一時106.90円台まで上昇する局面が観測されたものの、「安倍首相が辞任の意向を固める」との報道が伝わると、流れが一変した。

ドル/円は106.50-55円で寄り付いたのち、当初はドル買い・円売りが先行。緩やかな右肩上がりをたどると、106.95円レベルまで一時値を上げている。しかし、夕方に予定されている安倍首相の記者会見を前に、NHKなどが「安倍首相が辞任の意向を固める」と報じると株売り、円買いの動きが優勢に。ドル/円は一気に106.10円レベルまで下落した。16時現在では、そのまま安値圏である106.15-20円で推移し、欧米時間を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「パウエル発言」と「安倍首相辞任報道」について。
前者は、市場の関心を集めていた「ジャクソンホール会合」でパウエルFRB議長は講演し、「中長期の平均で2%の物価上昇率の達成を目指し、景気低迷下で物価上昇率が2%を持続的に下回ったあとには、景気回復時には一定程度2%を上回る物価上昇率を容認する」という物価目標政策の方針見直しを明らかにした。それほど目新しい内容ではなかったが、発表を受けて米債市場が動意をみせたことで、それに連れて為替も乱高下、やや荒っぽい変動をたどっている。
対して後者は、かねてから「体調不良説」が取り沙汰され、一部週刊誌などでは「辞任説」も指摘されるなか、前述したように本日午後に「安倍首相が辞任の意向を固める」と複数メディアで報じられると市場の波乱要因となった。為替もさることながら、株式市場はかなりの荒れ模様。なお、辞任に関する詳細は不明で、そうした意味ではこのあと17時からの記者会見も要注意だが、共同通信では「代理を置かずに後任が選出されるまで執務する方針」と第一報を伝えている。

<< 欧米市場の見通し >>

昨日から本日にかけては注目材料が目白押しだったが、その掉尾にサプライズが待っていた。事前に共同通信は、本日夕方の記者会見で「安倍首相は職務継続の意欲を表明するとともに、秋に想定される自民党役員人事、それに合わせた内閣改造への見解を示す見込み」と報じており、筆者もその線で戦略を立てていたため、ネガティブサプライズともいえる報道に戸惑いを隠せない。ただ、いずれにしても、このあとの欧米時間、海外勢は「アベノミクスの巻き戻しを連想して、最初は円買いで反応する」可能性が高そうだ。一時的な106円割れを予想する声も聞かれていた。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」など注目要因は依然として目白押し。それらに加え、ここにきて「安倍首相辞任と日本の政局」と「ベラルーシ情勢」も新規要因として注目を集めはじめている。よもや11月の米大統領選より前に、日本の政局が市場の材料になるとは考えていなかったのだがまさに体調不良、「持病の『潰瘍性大腸炎』が悪化していることが分かった」(NHK報道)のであれば仕方ない。ともかく、今後しばらくは後継者人事が市場の話題となりそうで、思惑をバックに金融市場は一喜一憂する展開が見込まれている。

テクニカルに見た場合、今月の月間レンジ上限である107円を本日東京時間に急接近するも、結果として上抜けできず。まだ下値余地はかなり残っているとはいえ、「安倍首相の辞任表明」という材料からすれば、むしろ、このあとはレンジ下限である105円割れをうかがう展開にこそ注意が必要かもしれない。移動平均では、今度こそ「しっかり」と上抜けた感のあった移動平均の21日線(106.00-05円)をめぐる攻防も引き続き注視されている。

本日、8月のシカゴ購買部協会景気指数や同ミシガン大学消費者信頼感指数確報といった米経済指標の発表が予定されている。昨日発表された米経済指標は全般的に好数字で、本日の指標内容もそれに続くものとなればドル高材料だが、「安倍首相の辞任表明」というイレギュラーな要因が取り沙汰されているだけに果たしてどうか。むしろ、悪い内容の場合にこそ要注意かもしれない。
また、それらとは別に、茂木外相とトラス国際貿易相がテレビ会議を開き大筋合意を目指す構えとされる「日英貿易交渉」の行方なども一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.50-106.50円。強い抵抗となれば東京高値の106.95円レベルやレンジ上限に当たる107円レベルなどだが、短期的には106.55-60円が最初の抵抗として意識されている。
対するドル安・円高方向は、106.00-05円に位置する移動平均の21日線をめぐる攻防に注目。このレベルは、ザラ場はもちろん、クローズレベルにおいても維持できるのか否かが注視されている。割り込むようだと105.61円や105.45円などがターゲットに。

「安倍首相が辞任表明」の影響見極めへ

ドル円日足


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