ドル円、狭いレンジ内で小動き。トランプ米大統領の記者会見に要注意
〇ドル円海外時間は107円台後半で上値の重い展開、3日連続で108円台のせに失敗
〇全人代での香港国家安全法の制定方針採決による米中対立激化懸念、米指標悪化、長期金利低下等が要因
〇ユーロドルは続伸 米指標悪化のドル売り等で一時1.1093まで上昇、約2か月ぶり高値
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズともに「下落リスク」を要警戒
〇世界的な外出規制の緩和は織り込み済み、ここから先は一巡後の「反落リスク」に警戒が必要
〇トランプ米大統領が5/29に中国について記者会見を行うとの報道あり
〇本日の予想レンジ107.00ー108.00
海外時間の為替概況
28日(木)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A米主要株価指数の上昇を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ドル円連れ高の動き)が支援材料となり、日本時間朝方には、一時107.90まで上値を伸ばしました。しかし、心理的節目108.00を前に伸び悩むと、その後は、B米中対立激化(全人代は香港国家安全法の制定方針を圧倒的賛成多数で採択)を嫌気したリスク回避ムードの再燃や、C108.00トライに3日連続で失敗したことに伴う失望売り、D米長期金利の低下、E米経済指標の冴えない結果(米新規失業保険申請件数や、米1-3月GDP改定値など)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.64近辺まで押し戻される展開となっております(日通し安値は107.57)。
27日(水)のユーロドル相場は急上昇。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A欧米株の上昇を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ユーロドル上昇)、BEUが復興基金を承認するとの期待感(欧州委員会は7500億ユーロの基金新設を提案するとの一部報道)、C市場参加者に注目されていた200日移動平均線を上抜けたことに伴う短期勢のロスカット(ショートカバー)、D米経済指標の冴えない結果(ドル売り要因)が支援材料となり、米国時間には一時3/30以来となる高値1.1093(約2ヵ月ぶり高値)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1076近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、5/19に約1ヵ月ぶり高値108.09まで上値を伸ばすも、200日移動平均線が走る108.30をバックに伸び悩むと、その後下落に転じました。108円台での滞空時間は極めて短く、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(※5/26高値107.93、5/27高値107.94、5/28高値107.90と3日連続で108円乗せに失敗した形)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米間における金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(香港を巡って対米関係が一段と悪化。トランプ米大統領は対中強硬姿勢を強める展開に)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスク)、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。世界的な外出規制の緩和は既に織り込み済みであり、ここから先は一巡後の「反落リスク」に警戒が必要でしょう。米中対立激化を巡るヘッドライン(※中国当局が米国を牽制する目的で人民元安容認姿勢を打ち出せば、世界的な通貨安競争への思惑から円買い+ドル買いが促される可能性あり)や、米国経済指標(PCEデフレータやシカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大消費者信頼感指数、パウエルFRB議長発言など)の結果、月末ロンドンフィキシングに絡む特殊な需給(※ドル売り圧力など)、トランプ米大統領による記者会見(トランプ米大統領が5/29に中国について記者会見を行うとの一部報道あり)を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(リスクオン相場の賞味期限切れ→株および原油の反落→クロス円反落→ドル円下落の流れを引き続き警戒)。
本日の予想レンジ:107.00ー108.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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