米中対立など要注意だが為替はレンジ継続も
<< 東京市場の動き >>
5日の東京市場は、狭いレンジ内で乱高下。引き続き日本や中国が休場となるなか、30ポイント程度のレンジ内で方向性の定まらない上下動をたどっている。
ドル/円は106.70円前後で寄り付いたものの、日中市場の休場もあり積極的な動意に乏しい。106.50-80円といったレンジ相場をたどっている。ただ、レンジ内ではドルが下落したのち徐々に買い戻されるという、小さな「行って来い」で、値幅には表れないところで上下動が観測されていた。結局、16時現在では日中のドル最高値圏である106.75-80円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナをめぐる米中対立」と「新型コロナを受けた米企業経営破綻」について。
前者は、米財務長官が「トランプ大統領は中国を罰するための選択肢を検討している」と述べたとされ、一部で思惑を呼ぶ。また続く格好で、米国務省次官は「世界の供給網から中国の依存度低下へ取り組みを加速化させている」と発言したことも確認されていた。それに対し、ロイターは「中国の研究所が、コロナをめぐる世界の反中感情の高まりに警鐘鳴らす報告書を作成。習国家主席を含む政府指導部に提出した」と報じ物議を醸していたようだ。
対して後者は、新型コロナウイルスを受けた外出自粛要請などもあり、飲食店を中心とした経営不安が以前から取り沙汰されるなか、米大手小売で初めてとなる「衣料品のJクルーが破産法申請を発表」し、衝撃を与える格好に。また、その後もフィットネス大手のゴールドジムを経営する「米GGIホールディングスが連邦破産法11条の適用を裁判所に申請」したことが明らかになるなど、今後さらに同様の動きが広がる危険性が懸念されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナの感染拡大については、主要な欧米諸国についてピークアウトした感もあり、経済活動復活へ舵を切る先も観測されるなか、米紙NYタイムズが、米政府の内部資料として、「国内の一日の死者数が5月末までに3000人と、現時点の2000人から加速するとの試算が示されていることが分かった」と報じていたことが少し気に掛かる。そのほか中国などを含めた揺り戻し、「第2波の襲来」は避けられないのだろうか。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「コロナ治療薬をめぐる動き」など、注目要因は依然として多い状況だ。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「新型コロナウイルス」に関連するニュースで、なかでも先で取り上げた「起源説」を踏まえた「米中の対立」ならびに、「治療薬」をめぐる動きが注視されている。関連報道には引き続き要注意。
テクニカルに見た場合、リスクという意味では若干下向きにバイアスが掛かるも、下値をしっかりとは攻め切れず。本日東京時間にも107円半ばまで下落したが、先週安値106.37円にはとどかなかった。底割れは再び失敗に終わった感も否めない。したがって、短期的には過去1週間程度推移している足もとの106.40-107.60円といったレンジをどちらに放れていくのか、依然として次の方向性が注視されているようだ。
本日は、3月の貿易収支や4月のISM非製造業総合指数などの米経済指標が発表される予定となっている。今週最大の注目は8日の4月雇用統計発表になるが、昨日も含め最近発表される米経済指標は総じて悪化傾向を示すものが多いだけに、本日の指標内容にも一応要注意だ。
また、エバンス・シカゴ連銀総裁やボスティック・アトランタ連銀総裁による会見やネット討論会などが実施される見込みで、その発言内容も警戒されている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.30-107.20円。ドル高・円安方向は、昨日のドル高値を含めた107.05-10円が最初の抵抗。超えた場合には、5月の月間高値である107円半ばがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値である106円半ばをめぐる攻防にまず注目。割り込んだ場合には先週安値の106.37円、そして106円レベルなどが意識されそうだ。(了)
ドル円15分足
オーダー/ポジション状況
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