ドル円、106円台前半の直近安値を試す展開。一目均衡表三役逆転も成立
海外時間の為替概況
5日(火)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。@新型コロナウイルスを巡る米中対立激化懸念(リスク回避のドル買い→クロス円売り→ドル円連れ安の流れ)や、A本邦大型連休期間中のフラッシュクラッシュ発生への警戒感、Bドイツ連邦憲法裁判所による「ECBの量的緩和政策が一部違憲」との判断を受けたユーロ円売り・ドル円連れ安の流れ、C米・4月サービス業PMI(結果26.7、予想27.0)の冴えない結果が重石となり、米国時間午後にかけて、一時106.42まで下落しました。もっとも、4/30安値106.40や、4/29安値106.36を前に下げ渋ると、D外出規制の一部緩和(米国や欧州などの一部地域)を受けた投資家心理の改善期待や、E原油先物価格や米主要株価指数の底堅い動きが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、106.52付近まで持ち直す動きとなっております。尚、昨日発表された米・4月ISM非製造業景況指数(結果41.8、予想37.8)は市場予想を上回る結果となりました。
昨日(5日)のユーロドル相場は上値の重い展開。@新型コロナウイルスを巡る米中対立激化懸念(リスク回避のドル買い)や、Aドイツ連邦憲法裁判所による「ECBの量的緩和政策が一部違憲」との判断報道が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時1.0826まで下落しました。しかし、B上記Aについて、新型コロナウイルス対策として3月に決定した総額7500億ユーロ規模の再建購入プログラム(PEPP)は対象外との見方が示されると、C欧州株の上昇に連れて、1.0888までショートカバーが進む場面も見られました。もっとも、1.09手前では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、米国時間にかけて再び下落。本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、1.0836近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/30に記録した高値107.51をトップに反落に転じると、昨日は一時106.42まで下落しました。この間、一目均衡表転換線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。目先は4/30安値106.40や、4/29安値106.36を試す動きとなりそうです。同水準(直近安値圏)を下抜けた場合、ロング勢の投げを巻き込みながらロスカット主導でドル円が下げ幅を拡大させる恐れもあり、注意が必要です。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスク)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の不安定化(5/19の納会に向けて再び下落するリスクを警戒)、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言延長に伴う実体経済への更なる下押し圧力)、H本邦大型連休期間中のフラッシュクラッシュ懸念など、ドル売り・円買いを連想させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。米FRBによる量的緩和継続(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、本邦経済のリセッション懸念(デフレ懸念台頭→円の実質金利低下→円高)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(※本日は祝日明けの中国人民元相場の動向や、本邦大型連休最終日に伴うフラッシュクラッシュ懸念、米ADP雇用統計やEIA週間原油在庫統計などに注目。特にクロス円下落→ドル円連れ安の波及経路に要注意)。
本日の予想レンジ:106.00ー107.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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