ドル円 ADP雇用統計に注目、驚異の数値発表も!?
<< 東京市場の動き >>
6日の東京市場は、ドルが小安い。一時106.20円レベルまで値を崩し、直近安値を更新している。
ドル/円は106.50-55円で寄り付いたのち、ドル売りが先行する展開。5月の月間安値106.37円などを割り込み、106.20円レベルまで一時下落している。勢いからすると、106円割れも視野に入れた動きだったが、日中安値で下げ止まると、その後は底練り。106.20-40円といったレンジ内で次の方向性を探る展開となり、結局16時現在では106.35-40円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナを受けた米経済状況」と「コロナ起源説」について。
前者は、昨日発表された4月のISM非製造業総合指数など米経済指標は好悪マチマチの内容となったものの、聞かれた米要人の発言はネガティブのオンパレード。とくに雇用に関しては、シカゴ連銀総裁「4月の失業率が2倍に上昇すると見ている」、セントルイス連銀総裁「失業率が20%になる可能性もある」との発言、またFRB副議長からは「米国経済には現在大きな不確実性がある」−−との考えが聞かれていた。
対して後者は、中国紙グローバルタイムズが社説で、「ポンペオ米国務長官は嘘をついてキリスト教に背いている」と指摘し、「武漢起源の証拠をつかんでいる」などと発言していたポンペオ氏を非難するなか、米国を含めた5ヵ国情報同盟が「武漢研究所説は極めて可能性が低い」が発表していた。ちなみに、後者の情報同盟は「人工物ではなく武漢の食品市場説」の公算が大きいと指摘していたが、そののち米軍トップのミリー米統合参謀本部議長もほぼ同様の見解を示すなど、トランプ政権との意見相違が観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日も指摘したように、米紙NYタイムズが政権の内部資料をもとに「国内の一日の死者数が5月末までに3000人に加速する」と報じているものの、米国では経済活動再開に向けた動きがさらに顕在化している。たとえば、全米最大約4000万人の人口を擁するカリフォルニア州のニューサム知事は、8日にも外出禁止令を緩和する考えを示していた。さらに米副大統領は「新型コロナウイルス対策作業部会の解散を協議している」と述べており、国内経済の落ち込みを考えると理解できなくはないものの、少し拙攻な対応という気がしないでもない。続報には注意を払いたいところだ。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「コロナ治療薬をめぐる動き」など、注目要因は依然として目白押しとなっている。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「新型コロナウイルス」に関連するニュースで、「起源説」に関する話や「治療薬」をめぐる動き、あるいは「感染拡大の第2波到来」に関する報道などには注意を要したい。基本的には、引き続きコロナ関連ニュースなどに一喜一憂する展開が続く見込みだ。
テクニカルに見た場合、過去1週間程度推移しているレンジの下限106.40円レベルを本日の東京時間に下回るも、「しっかり割り込んだ」とは言い切れない。リスクという意味では引き続き下方向にバイアスが掛かるものの、ヒョッとすると従来レンジの下限をわずかに拡大させただけで終わる可能性も否定出来ない状況だ。ドルベア派としては出来るだけ早く106円割れを達成して欲しいところで、動静が注視されている。
本日は、4月のADP雇用統計という米経済指標が発表される予定となっている。同指標は週末発表の米雇用統計の先行指標になるもので、市場では関心を抱く向きが少なくない。
ちなみに、週末の米雇用統計では、市場の関心がもっとも高い非農業部門雇用者数について「マイナス2000万人」などという数字が聞かれているが、本日のADP雇用統計についても同様の「マイナス2100万人」という予想値があるようだ。実際の数字に要注目。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.80-106.70円。ドル高・円安方向は、106.40円、106.60円などに弱い抵抗が位置するものの、強い抵抗となると106.90円、そして直近高値を含めた107.05-10円か。本格的に戻り始めたら早いとの声もある。
対するドル安・円高方向は、本日東京に示現した安値106.20円レベルをめぐる攻防にまず注目。割り込んだ場合には106円割れも。フィボナッチ的には105.20円レベルがターゲットか。(了)
ドル円一時間足
オーダー/ポジション状況
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