ドル円、米CPIの鈍化や米小売売上高の悪化を受けて急落。米長期金利の急低下がドルの重石(5/16朝)

ドル円は不冴な米経済指標の結果を受けて156円台半ばから154.69まで急落する大相場となりました(日足ローソク足が一目均衡表基準線や21日移動平均線を下方ブレイク)。

ドル円、米CPIの鈍化や米小売売上高の悪化を受けて急落。米長期金利の急低下がドルの重石(5/16朝)

米CPIの鈍化や米小売売上高の悪化を受けて急落。米長期金利の急低下がドルの重石

〇ドル円、米国時間に一時154.69まで急落、154円台後半での推移
〇米4月CPIの伸び率鈍化、米4月小売売上高、NY連銀製造業景況指数の不冴え等が背景
〇ユーロドル、米長期金利の急低下等受け、一時1.0886まで上昇堅調推移
〇ドル円、テクニカルには基準線、21日線下抜けるも買いシグナルは継続
〇ファンダメンタルズも円キャリートレードの長期化期待、介入限界論がドル円をサポート
〇売り一巡後は再び持ち直すシナリオ想定
〇本日も本邦1QGDPはじめ重要イベント目白押し、ボラタイルな相場展開予想
〇本日の予想レンジ:154.00ー156.00

海外時間のレビュー

15日(水)のドル円相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値156.56まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)重要イベントを控えたポジション調整や、(2)米4月消費者物価指数(結果+3.4%、予想+3.4%、前回+3.5%)の伸び率鈍化、(3)米4月小売売上高(結果±0.0%、予想+0.4%、前回+0.7%)の市場予想を下回る結果、(4)米5月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果▲15.6、予想▲10.0)の冴えない結果、(5)米5月NAHB住宅市場指数(結果45、予想50)の市場予想を下回る結果、(6)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測(米長期金利急低下→米ドル売り)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値154.69まで急落しました。

引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/16午前6時20分現在)では、154.82前後で推移しております。尚、昨日はミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「インフレの行方を見極めるためにはもうしばらく現状維持が必要になるだろう」との発言や、シカゴ連銀グールズビー総裁による「インフレがどうなるかは住宅市場次第」「インフレにはまだ改善の余地がある」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。

15日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.0813まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)ユーロ圏3月鉱工業生産(結果▲1.0%、予想▲1.2%)の市場予想を上回る結果や、(2)米経済指標(米4月消費者物価指数、米4月小売売上高、米5月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米5月NAHB住宅市場指数)の冴えない動き、(3)上記2を背景とした米長期金利の急低下(米2年債利回りは4/10以来の低水準となる4.72%へ急低下。米10年債利回りは4/5以来の低水準となる4.33%へ急低下)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0886まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/16午前6時20分現在)では、1.0882前後で推移しております。尚、昨日はエストニア中銀ミュラー総裁による「6月の利下げはかなり可能性が高い」との発言や、フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「6月以降のECBの利下げペースは各会合で決められる」「我々はインフレ危機から徐々に抜け出しつつある」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。

本日の見通し

ドル円は不冴な米経済指標の結果を受けて156円台半ばから154.69まで急落する大相場となりました(日足ローソク足が一目均衡表基準線や21日移動平均線を下方ブレイク)。但し、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」や「ダウ理論の上昇トレンド」が依然継続点灯しているため、ここからどんどん下値を切り下げる展開も想定しづらく、売り一巡後は再び持ち直すシナリオが想定されます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待(仮に米国が年内複数回の利下げに踏み切ったとしても、日米金利差には大きな開きが残っているため、下がったところでは円キャリートレードを目的とした根強い押し目買いが支える構図は不変)や、政府・日銀による介入限界論(イエレン米財務長官が「介入はまれであるべき」と牽制姿勢を強めているため、このタイミングで日銀が為替介入に踏み切ることは容易では無い)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

昨日は米経済指標の悪化をトリガーに、ロング勢のストップSELLを巻き込む動きとなりましたが、ポジション調整一巡後は再び持ち直す動きが想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日も、本邦1ー3月期GDP統計を皮切りに、米4月住宅着工件数、米4月建設許可件数、米5月フィラデルフィア連銀景況指数、米4月輸出入物価指数、米新規失業保険申請件数、米4月鉱工業生産、米4月設備稼働率、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁講演、クリーブランド連銀メスター総裁講演、アトランタ連銀ボスティック総裁講演など、重要イベントが目白押しとなるため、1日を通してボラタイルな相場展開となりそうです。

本日の予想レンジ:154.00ー156.00

注:ポイント要約は編集部

米CPIの鈍化や米小売売上高の悪化を受けて急落。米長期金利の急低下がドルの重石

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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