5月3日夜からの戻り一巡、5月14日夜高値から2円を超える下落
〇昨日のドル円、156円超えたところで上昇が頭打ち、夕刻156円を割り込み軟調推移
〇夜発表の米4月CPI鈍化や小売等悪化によるドル売りで154.75へ下落
〇いったん155.80まで戻してから5/16未明に154.69へ一段安し、午前序盤に154.20台へ続落
〇米4月CPIの伸び鈍化で9月利下げ期待度高まり、米長期債利回りが大幅低下してドル安反応に
〇米CPI通過後、ドルストレートでドル全面安に、4月後半からのドル安継続感強まる
〇米長期債利回りは総じて大幅低下、ダウとナスダックは史上最高値更新
〇154円割れから続落する場合は153円台前半への下落を想定
〇155円超えからはいったん戻しに入るとみて155円台中盤への上昇を想定
【概況】
ドル円は5月14日夜の米4月PPI発表直後に156.75円を付けて5月3日夜の米雇用統計直後に付けた安値151.85円からの上昇幅を4.90円とし、4月29日高値160.16円から5月3日夜安値までの下げ幅8.31円に対する半値戻しの156.00円超えたところで上昇が頭打ちとなり15日夕刻に156円を割り込んで軟調推移に入っていたが、15日夜の米4月CPIの伸びが鈍化したことや4月米小売売上高とNY連銀の5月製造業景況指数がともに前月から悪化したことによるドル売り154.75円へ下落し、いったん155.80円まで戻してから16日未明に154.69円へ一段安となり、16日午前序盤には154.20円台へ続落している。
米CPI通過後の上昇でユーロドルは4月16日以降の高値を更新、豪ドル米ドルは4月19日以降の高値を更新、ポンドドルは4月22日以降の高値を更新しており4月後半からのドル安継続感が強まった。
ドル円は市場介入後の揺れ返し上昇が一巡したこととドルストレートでのドル全面安により、5月3日夜から5月14日夜にかけての戻り幅に対する半値押しラインの154.30円を割り込んでおり、3分の2押しラインの153.48円、さらに5月3日夜安値151.85円を試す流れへ進みやすい状況と思われる。
【米4月CPIの伸び鈍化、9月利下げ期待度高まる】
5月15日夜に発表された4月の米CPI(消費者物価指数)上昇率は前月比0.3%で3月の0.4%及び市場予想の0.4%を下回り、前年同月比は3.4%となり予想と一致したが3月の3.5%を下回って3か月振りに低下した。食品とエネルギーを除いたコア指数の上昇率は前月比0.3%で予想と一致したが3月の0.4%から鈍化し、前年同月比は3.6%で予想と一致したが3月の3.8%から鈍化して2021年4月以来の低い伸び率となった。
インフレ率は依然として高く、パウエルFRB議長が持続的なインフレ低下を確信するには時間がかかるとした状況は続いていると思われるが、5月以降の低下が顕著になれば9月と12月の2回利下げも可能と市場は受け止めて米長期債利回りが大幅低下して為替市場はドル安反応となった。
米商務省による4月の小売売上高は前月比変わらずだったが市場予想の0.4%増を大幅に下回り、3月分は当初の0.7%増から0.6%増へ下方修正された。変動の激しい自動車・同部品を除いて0.2%増で予想と一致し、
ガソリンを除くと0.2%減、自動車・同部品・ガソリンを除くと0.1%減だった。
ニューヨーク連銀による5月製造業景況指数はマイナス15.6となり4月のマイナス14.3から低下して市場予想のマイナス10.0も下回った。このうち支払価格は33.7から28.3へ、受取価格は16.9から14.1へともに低下した。最近の各種景況感が悪化傾向を見せていることも年内利下げを催促するものと思われる。
【米長期債利回りは総じて大幅低下、ダウとナスダックは史上最高値更新】
5月15日の米長期債利回りは米CPIの鈍化を見て総じて大幅低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.10%低下の4.34%となり、4月25日に付けたこの間のピークである4.74%以降の最低を更新した。30年債利回りは前日比0.09%低下の4.50%となり4月25日に付けた4.85%以降の最低を更新し、2年債利回りも0.09%低下の4.73%となり4月30日に付けた5.05%以降の最低を更新した。総じて昨年末及び年初からの上昇が一巡して低下期に入った印象を強めている。
一方でNYダウは米長期債利回り低下を好感して前日比349.89ドル高と大幅上昇して3月21日高値を超えて取引時間中及び終値ベースでの史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も前日比231.21ポイント高と3連騰して取引時間中の最高値を更新、終値ベースで2日連続史上最高値を更新した。
ドル円にとって楽観的な株高は上昇要因となりやすいものだが、米長期債利回りの低下とドルストレートでのドル安が勝るため、当面は5月3日夜からの戻り一巡により安値の落ち着きどころを探る展開と思われる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は5月10日午前安値155.23円を起点とした上昇期として目先の高値形成期を14日夜から16日夜にかけての間と想定したが、14日夜高値156.75円でピークを付けて15日夜の急落により下落期入りしたと思われる。安値形成期は16日午前から17日午前にかけての間と想定されるが、小反発から一段安を繰り返して安値形成期が来週へ延びてゆく可能性もあると注意する。
155円台回復からはいったん戻しに入るとみて17日夜から21日夜にかけての間への上昇を想定するが、その後に5月14日夜高値以降の安値を更新するところからは新たな下落期入りとして21日から23日にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では5月15日夕刻への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落し、16日午前へ大幅続落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。実線と両スパンの乖離が大きいので26本基準線を抵抗線とし、同線を超える場合は反騰注意とする。
先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開ヘ進みやすいとみる。
60分足の相対力指数は5月15日夜の急落時に20ポイントまで低下し、50ポイントをいったん超えてから再び30ポイント割れへ低下しているのでまだ下落余地ありとするが、相場が安値を更新する中で指数のボトムがフラットないし切り上がる場合は強気逆行からの反騰入りに注意する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、154.00円を下値支持線、155.00円を上値抵抗線とする。
(2)155円を下回るうちは一段安余地ありとし、154円割れから続落する場合は153円台前半への下落を想定する。153.30円以下は反騰注意とするが、155円を下回っての推移か直前安値から0.75円を超える反騰がみられないうちは17日も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)155円超えからはいったん戻しに入るとみて155円台中盤(155.35円から155.65円)への上昇を想定するが、戻り一巡後に154.50円を割り込むところからは下落再開により一段安へ進みやすいと注意する。
【当面の予定】
5/16(木)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産・確報値 前月比 (2月 3.8%)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (2月 -6.7%)
13:30 (日) 3月 設備稼働率 前月比 (2月 -0.5%)
21:30 (米) 4月 住宅着工件数・年率換算 (3月 132.1万件、予想 142.0万件)
21:30 (米) 4月 住宅着工件数 前月比 (3月 -14.7%、予想 7.5%)
21:30 (米) 4月 建設許可件数・年率換算 (3月 145.8万件、予想 148.0万件)
21:30 (米) 4月 建設許可件数 前月比 (3月 -4.3%、予想 0.9%)
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (4月 15.5、予想 8.0)
21:30 (米) 4月 輸入物価指数 前月比 (3月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 4月 輸出物価指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 178.5万人、予想 178.5万人)
22:15 (米) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 0.4%、予想 0.1%)
22:15 (米) 4月 設備稼働率 (3月 78.4%、予想 78.4%)
23:30 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
25:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
28:50 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会
5/17(金)
休場 ノルウェー
07:45 (NZ) 1-3月期 PPI(生産者物価指数) 前期比 (10-12月 0.7%)
11:00 (中) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 3.1%、予想 3.7%)
11:00 (中) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 4.5%、予想 5.5%)
18:00 (欧) 4月 HICP(調和消費者物価指数)改定値 前年同月比 (3月 2.4%、予想 2.4%)
18:00 (欧) 4月 コアHICP(食品エネルギー等除く)改定値 前年同月比 (3月 2.7%、予想 2.7%)
23:00 (米) 4月 コンファレンスボード 景気先行指数 前月比 (3月 -0.3%、予想 -0.3%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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