<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場は、ドルが小じっかり。終値ベースで400円以上上昇した日経平均株価を横目に、為替市場はようやく落ち着いてきた感も見受けられた。
ドル/円は108.70-75円で寄り付いたのち、108円半ばまで小緩むも底堅い。日中安値を示現後は、逆に買いが優勢になると、109円前後まで一時ドル高が進行している。前述したような日経平均株価の大幅高に加え、「日銀と金融庁が意見交換を実施した」との発表を好感、買い安心感を醸していたようだ。16時時点では108.80-85円で推移、欧米時間を迎えている。
なお、レンジそのものは若干狭いが、ポンド/円やポンド/ドルがなかなか激しい乱高下。集中治療を受けているジョンソン英首相の容態を、気にしている向きが依然として多かった。
一方、材料的に注視されていたものは、「日本の緊急事態宣言」と「原油安打開に向けた動き」について。
前者は、昨日安倍首相が「緊急事態宣言」を発令。8日が実質的な施行日となることで、マーケットの関心も集まる格好となった。仏紙フィガロが「現実には見せかけだけの内容」と辛口コメントで報じるような「緊急事態宣言」ではあるが、取り敢えず大きな混乱もなくスタートした。出だしとしては上々だったようだが、当然ながらこれからが本番。まだまだ先は長く、油断は禁物だ。
対して後者は、9日にOPECプラス緊急会合、そして10日にはG20エネルギー相の電話会合が開催されるなか、ロイターが「OPECプラスは、米国など他の産油国の協力が得られない限り、大幅減産には合意しない構え」と報じ物議を醸していた。なお、タス通信によると、9日の会合では「5月から少なくとも7月末までの減産が協議される」見通しだ。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナウイルスについては、ついに日本が「非常事態宣言」を発令。感染拡大阻止へ向け、ようやく本腰を入れた感が見受けられる反面、たとえば中国中央テレビは一連の騒動の発生源とされる「中国湖北省武漢市の封鎖が解除された」と報じるなど、逆に規制を解除に踏み切るような動きも徐々に聞かれ始めている。確かに各国とも自粛疲れなどが蓄積、倦みはじめているが、少し時期尚早な行動と感じられる。昨日、WHO報道官が会見で「コロナ抑制措置の尚早な解除を行わないよう要請」していたが、個人的にはまさに同意だ。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「原油情勢」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは引き続き「新型コロナウイルス」絡みの話題。ただ、前述した中国だけでなく、一部の欧米諸国においても、楽観的というか気の緩みが広がりつつあることは気掛かりだ。実際、楽観論が台頭し始めたスペインにおいては、過去4日間鈍化傾向にあった死者数が再び加速していると報じられるなど、冷や水を浴びせるような揺り戻し的な動きにも注意を要したい。
テクニカルに見た場合、今週は週明けの数時間を除けば108.50-109.40円といったレンジ取引。まだ週の半ばながら、過去1ヵ月ほどは一週間で4-7円も動いていたことを考えると、相場がようやく落ち着いてきた感がある。そんな109円挟み、1円未満のレンジ取引が続くのか否か、まずは足もとの動静をしっかりと見極めたい。
本日は幾つか米経済指標の発表は予定されているものの、市場の関心は低く基本的に影響は限られそう。ただ、3月17-18日実施分のFOMC議事録要旨が公表される見込みで、こちらは一応要注意か。なお、昨日発表された2月の米雇用動態調査(JOLT)だが、当月分が予想を上回ったことに加え、前月分も上方修正されるなど、環境悪化が改めて示された。そうしたなか、明日発表される週間ベースの新規失業保険申請件数を、早くも警戒する声が聞かれている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.40-109.50円。ドル高・円安方向は、移動平均の75日線も近くに位置する東京高値109円レベルが目先の抵抗。上抜ければ、直近高値の109.38円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の108円半ばの攻防にまずは注視。下回ってくると、移動平均の200日線が位置する108.30円前後などが意識されそうだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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