ドル円、上値の重さが目立つ展開に。OPECプラス会合と新規失業保険申請件数に注目
海外時間の為替概況
8日(水)の外国為替市場でドル円は一進一退。@ボリス・ジョンソン英首相が集中治療室(ICU)入りしつつも「容態は安定」と報じられたことや、A本邦にて緊急事態宣言が発動されたことに伴う材料出尽くし感、Bアジア株や欧米株、原油価格上昇に伴うグローバルなリスク選好ムード、C武漢における約2ヶ月半ぶりとなるロックダウン(都市封鎖)解除が支援材料となり、米国時間には一時109.10まで上昇しました。しかし、前日高値109.29を前に伸び悩むと、DOPECプラス緊急会合を控えた警戒感や、ENY州における新型コロナウィルスの死者数急増が重石となり、米国時間午後にかけては、108.61まで反落する展開となりました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、108.89近辺で推移しております。
昨日のユーロドル相場は上値の重い展開。@欧州圏における新型コロナウィルスの感染者拡大(イタリアやスペインなど)や、Aイタリア・2月鉱工業生産(結果▲0.6%、予想0.2%)の急低下、Bユーロ圏における財政出動の合意形成の遅延リスク(ユーロ圏財務相会合で新型コロナウィルスの感染拡大に伴う経済的ダメージへの下支え策が議論されていたが合意形成に至らず翌日に持ち越されたこと)、Cドイツの主要シンクタンクがドイツ・第2四半期GDPが1970年以降で最大のマイナス幅となる可能性が高いとのレポートを公表したこと等が重石となり、欧州時間朝方には、一時1.0829まで下げ幅を広げました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.0852近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/1に記録した約2週間ぶり安値106.91をボトムに反発に転じると、4/6には一時109.39まで上昇しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、一目均衡表基準線、200日移動平均線を上抜けするなど、テクニカル的に見て、やや底堅さを印象付けるチャート形状となりつつあります(但し、4/6高値109.39→4/7高値109.29→4/8高値109.10と段階的に高値が切り下がるなど上値の重さも目立つ展開に)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、無制限量的緩和を決定した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新規失業保険申請件数や、米雇用統計の大幅な悪化)、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の不安定化(OPECプラス緊急会合で減産合意が実現するか否か)、H本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に底堅さを見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻む展開が想定されます(上値余地は限定的)。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の大幅悪化(ドル売り要因)、本邦における先行き不透明感(円高要因)、リスク回避ムードの再燃リスク(クロス円売り→ドル円連れ安の流れ)が重石になると見られ、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン(日米欧の動向)や、原油価格の動向(OPECプラス緊急会合で減産合意が実現するか否か)、本邦における緊急事態宣言を受けた日本経済への影響度合い(日系企業によるリストラ動向)、世界的な株価の動き、米経済指標の結果(新規失業保険申請件数など)を睨みながらも、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(108円台前半に位置するボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を試す動きを想定)。
本日の予想レンジ:108.10ー109.10
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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