米株などにらみつつ、乱高下が続く可能性(週報3月第4週)

先週のドル/円は、ドル高・円安。週足は2週続けての長大陽線となり、先週は実体部だけで3円を超えている。

米株などにらみつつ、乱高下が続く可能性(週報3月第4週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、ドル高・円安。週足は2週続けての長大陽線となり、先週は実体部だけで3円を超えている。

前週末に、スペインが非常事態宣言を発令したうえで、「全土で原則外出禁止」措置をとることを発表するなか、マクロン仏大統領が「16日にG7首脳が緊急テレビ会議を開催する」と発言した。また、新型コロナウイルスに対する欧米諸国の警戒感が依然として高い状況下、日本時間の16早朝に「FRBが1%の緊急利下げ」を行うと発表した。
そうしたなかドル/円は、早朝時間外から急落でスタート。先週末のNYクローズが108円前後だったのに対し、いきなり107円台で取引開始となった。さらに、そののち週間安値である105.15円まで続落している。しかし、ボトムをつけたのちは緩やかな右肩上がりの展開で、週末にかけて111円半ばまで6円を越えるドル反騰高。結局、週末NYは小緩んだ110.80円前後で取引を終え越週となった。
なお、為替市場はドル/円以外も大荒れ。なかでもポンドと豪ドルに絡む動きは活発で、例えば豪ドル/円はザラ場ベースで2009年2月以来、10年ぶりに一時60円割れを示現する局面も観測されている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナの感染」と「各国経済・金融対策」について。
前者は、WHO事務局長が「いまやパンデミックの中心地」と指摘した、欧州を中心に米国などでも「国境閉鎖」や「入国制限」あるいは「国内移動制限」などが相次いだ。米国も、週末にかけて渡航情報を最高のレベル4に引き上げたうえで、「すべての海外渡航中止を勧告」している。なお、米紙NYタイムズは「パンデミックが1年半以上続くと予測」、CNNは米財務長官が「米失業率、最悪なら20%まで悪化する可能性があると警告」と報じるなど、かなり悲観的な報道も多数散見され、一部で思惑を呼ぶ。

対して後者は、金融対策として前述したようにFRBが緊急利下げに踏み切ったほか、NZ中銀や日銀なども追加の金融緩和を実施。さらに、ブルームバーグが「トランプ政権が最大1兆2000億ドル規模にのぼる可能性のある景気対策を検討」と指摘したうえ、日本も毎日新聞が「政府、全国民にリーマン・ショック時を上回る現金給付へ」と報じたように、各国の積極的な財政支援策も話題に。また、そうしたなかG7首脳やG7財務相がそれぞれ電話会談を実施するなど、各国の協調姿勢を示す行動も相次ぎ観測されていた。

<< 今週の見通し >>

NYダウを中心とした米株の動きは依然として荒っぽい。ちなみに、先週末のNYクローズは19173.98ドルで、これはトランプ氏が米大統領に就任した2017年1月20日の終値を下回る。つまり、3年以上に及ぶ上昇をすべて帳消しにした計算だが、これで底入れしたと見る向きはほとんどおらず、むしろまだまだ波乱含みか。為替市場と株式市場の相関性は以前から変化を遂げており、かつてのような「リスク回避=円買い」という図式でもなくなっているが、ともかく米株や金利、あるいは原油価格の動きなどに一喜一憂する展開は今週も続く公算が大きいだろう。

材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型ウイルス」、「米大統領選」など注目要因は少なくない。そうしたなか、もっとも注意を要するのは今週も「新型コロナウイルス」絡みの話題。感染拡大の収まらない欧米を中心とした状況ならびに、先で取り上げた「入国制限」といった施策、あるいは金融政策を含めた各国のさらなる財政対応などには引き続き注意を払いたい。また、ここにきて急速に中止あるいは延期説が高まりつつある「東京オリンピック」をめぐる動きや、米中をはじめ新型コロナをキッカケに対立関係が鮮明化、そこここでギスギスしている世界情勢も気掛かりだ。

テクニカルに見た場合、ほんの一ヵ月のあいだにドル/円は「11円下落し、10円戻す」という非常に荒っぽいジェットコースター相場をたどっている。片道通行であれば、もっと激しい相場も何度か経験してきたが、往来相場となるとほぼ記憶にない。
今週も株価などの動きをにらみつつ、激しい上下動をたどりそう。なお、上値も重いと予想するが、年初来高値112.22円を超えれば、さらなるドルの戻りが見えてくる。

今週は3月のリッチモンド連銀製造業指数や同ミシガン大消費者信頼感指数確報といった米経済指標が発表されるほか、米財務省による短期債の入札が実施される予定だ。
また、ともに「テレビ会議」方式で実施される、24-25日の「G7外相会議」、26-27日の「EU首脳会議」にも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.00-112.50円。ドル高・円安については、先週高値の111円半ばをめぐる攻防にまずは注視。上抜けると、年初来高値の112.22円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末安値の109.34円が最初のサポートで、割り込むようだと108円半ばや、移動平均の200日線が位置する108.20-30円などが意識されそうだ。

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る