<< 東京市場の動き >>
12日の東京市場は、ドルが弱含み。ただ、一本調子で下落したわけではなく、1円を超える上げ下げを経たうえでのドル安進行だった。
ドル/円は104.40円レベルで寄り付いたのち、しばらくはレンジ取引。104.30-80円といった値動きだったが、底割れすると、そのまま一気に103.10円レベルまで1円以上下落している。日経平均株価がザラ場ベースで1000円以上、NYダウ先物も1000ドル超の下げを記録したことなどが嫌気されていた。
しかし、103円は割り込めずドルは反発に転じると104円台を回復。ドルの強さをうかがわせたが終盤にかけて再び軟化すると103円台へ。16時時点では103.70-75円で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「トランプ発言」と「日本のウイルス絡みの報道」などについて。
前者は、昨日の「大型景気対策」に関する会見をペンス米副大統領に譲ったトランプ氏だったが、本日東京時間には自身がスピーチを行い、新型ウイルス絡みの様々な方策についてコメントした。具体的には「欧州からのすべての渡航を今後30日間停止」、「2000億ドルの追加流動性を供与」−−などになる。しかし、金融市場の反応は芳しくなく、むしろ失望との見方が優勢に。
対して後者は、WHO事務局長が「新型ウイルスはパンデミックとなった」と発言したことを受け、小池都知事が「東京オリンピックに影響があると思う」と発言、一部で思惑を呼ぶ。ただ同時に、「中止はあり得ない」と開催そのものには意欲を示していた。一方、それとは別に、荒れる金融市場を受け「安倍首相と黒田日銀総裁が会談を行った」ことが明らかになったうえ、財務省と日銀、金融庁による3者会合開催の噂も聞かれたが、こちらについては財務省幹部が否定していた。
<< 欧米市場の見通し >>
NYダウなど米株の動揺はいまだ収まらず。1000ドル程度の激しい上下動が依然として続いている。もちろん、為替市場もそれにあわせる格好で乱高下をたどっており、この後も米株を中心に金利や原油価格の動きなどに一喜一憂する展開か。ただ、予断を許さないものの、株価に対する為替市場の感応度は少し低下しているようで、以前よりは反応が鈍くなっているようなイメージだ。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は山積み。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題。米国情勢は当然気掛かりだが、本日でいえば欧州情勢にとくに注意を払いたい。たとえば、イタリアにおける感染者が12000人を超え、食料品店と薬局以外のすべての小売店閉鎖を指示するような環境下、ECB理事会による金融政策の発表そしてラガルド総裁の記者会見が注視されている。
テクニカルに見た場合、本日東京時間に軟化したドルは103.10円レベルで取り敢えず下げ止まった。まだ断定はできないが、昨日レポートしたように103-106円といった若干ワイドなレンジ内での一進一退。しばらくは次の方向性を探る展開が続く可能性もある。
ただ、リスクという意味では再び下方向へバイアスが掛かった感があり、先日示現したドル安値101.19円に接近、あるいは更新するような「2番底」トライへの警戒感を抱く声も少なくない。
本日は、2月の生産者物価指数という米経済指標が発表されるほか、米財務省による30年債の入札が実施される見込みとなっている。
ただ、決まり物では米国サイドの材料がやや乏しい反面、先でも指摘したECB理事会などが見込まれる欧州情勢に要注意。10日に、欧州委員長が既存のEU基金を活用して総額250億ユーロのウイルス対策を明らかにしているが、それに続く措置が示されるのだろうか。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、103.00-104.60円。ドル高・円安方向は、東京夕方の戻り高値104.30円レベルが最初の抵抗。超えたら、104円後半から105円レベルが目先のターゲットに。
対するドル安・円高方向は、東京安値である103.10円レベルの攻防にまずは注目。しっかり割り込むと102円台半ばから前半が意識されそうだ。
ドル円時間足
オーダー/ポジション状況
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