ドル円、急落後に急伸するなどボラタイルな相場が継続。FRBの流動性供給を好感
海外時間の為替概況
12日(木)の外国為替市場でドル円は乱高下(急落後に急反発)。@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムードや、A世界保健機関(WHO)による「パンデミック」認定、B日経平均株価の急落、Cトランプ米大統領による「欧州からの入国を30日間停止する」との発言が重石となり、日本時間正午にかけて、一時103.10まで急落しました。しかし、節目103円を前に下げ渋ると、D米連邦準備理事会(FRB)が600億ドル規模の国債買い入れなど流動性供給策を発表したことや、E上記Dを受けて米主要株価指数が下げ幅を縮小させたこと等が支援材料となり、ドル円は俄かショートのロスカットを巻き込みながら、一時106.07まで急伸しました。もっとも、106円付近で戻り売り意欲も根強く、引けにかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.40近辺で推移するなど、ボラタイルな相場展開が続いております。
昨日のユーロドル相場は急落後に持ち直す展開。@トランプ米大統領による「欧州からの入国を30日間停止する」との発言や、AECB理事会による追加緩和発表(政策金利を据え置くも、2020年末までの資産買入総額を1200億ユーロ増額するとの発表)、B米国債利回りの上昇に伴うドル高、C新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(対ユーロでのドル高・円高・スイス高)が重石となり、米国時間には一時1.1056(3/2以来の安値)まで急落しました。しかし、D米連邦準備理事会(FRB)が600億ドル規模の国債買い入れなど流動性供給策を発表したことや、E上記Dを受けて米主要株価指数が下げ幅を縮小させたこと等が支援材料となると、引けにかけて持ち直す展開に。本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1194近辺で推移するなど、ボラタイルな相場展開が続いております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表雲転換線や基準線、一目均衡表雲上限及び雲下限、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転及び、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(※トランプ米大統領による経済対策や、FRBによる流動性供給策の発表を受けて、足元反発に転じるも、節目106円前後では伸び悩む展開が継続)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(緊急利下げに踏み切る米国と、追加緩和手段に乏しい日本)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の急落など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トランプ減税やFRBによる流動性供給策の発表を受けて都度持ち直す場面は見られるものの、106円前後では上値も重く、リスクは依然「下向き」と判断できます(世界各国の経済対策や金融政策を受けても尚、金融市場の動揺が一向に収まらない不安定な状態)。本日発表される一連の米経済指標(3月ミシガン大消費者信頼感指数など)が市場予想を下回る不冴な結果となった場合や、新型コロナウィルスに絡むネガティブな報道がなされた場合などには、「米景気減速懸念→米利下げ観測→米長期金利低下→ドル売り」の経路と、「世界経済の低迷→グローバルな株安→リスク回避の円買い」の双方の経路で、ドル円が再び押し下げられるリスクが警戒されます(特にクロス円売りに伴うドル円下落に警戒)。米株・米長期金利及び原油価格の動向や、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン、米経済指標の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(節目106円をバックに戻り売り方針)。
本日の予想レンジ:103.50ー106.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2020.03.13
ドル円見通し ユーロやポンドに対するドル高感で戻すが上値は重い(20/3/13)
13日未明には106.09円を付けて11日未明高値をわずかに上抜いた。しかし106円台を維持できずに13日早朝は105円も割り込んでいる。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2020.03.12
米株の動きを依然強く警戒、欧州情勢も注視(3/12夕)
12日の東京市場は、ドルが弱含み。ただ、一本調子で下落したわけではなく、1円を超える上げ下げを経たうえでのドル安進行だった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。