ドル円見通し パンデミック宣言 世界連鎖株安基調は継続だが、ドル円はやや慎重姿勢(3/12)

11日夜はダウが反落したが、ドル円の動きは慎重なものに止まっている。

ドル円見通し パンデミック宣言 世界連鎖株安基調は継続だが、ドル円はやや慎重姿勢(3/12)

【概況】

新型コロナウイルス感染拡大による先行き不安から3月9日朝は原油暴落も重なって金融市場総崩れとなり、ドル円は9日夜安値で101.23円まで大幅下落した。2月20日高値112.21円からの下げ幅は10.98円となり、2018年10月4日高値から2019年1月3日安値104.82円まで9.72円の下落幅となった時を超える下落規模だった。
暴落一服から9日夜に反騰し、11日未明には105.91円をつけて9日夜安値からの戻り幅は4.68円となった。2月20日からの下げ幅に対する3分の1戻しが104.89円、半値戻しが106.72円であり、これらの中間まで戻した。3月11日午後に104.09円まで下げたが104円台を維持し、その後は105円台へ乗せても維持できない程度での横ばいとなっている。11日夜はダウが反落したが、ドル円の動きは慎重なものに止まっている。

3月11日夜には米消費者物価指数の発表があったが、市場の関心が感染拡大問題のため材料視されなかった。2月の消費者物価前月比は0.1%上昇で予想の0.0%を上回ったが1月と同じだった。前年同月比では2.3%上昇で予想の2.2%を上回ったが1月の2.5%から鈍化した。コア指数の前年同月比は2.4%で予想及び1月の2.3%を上回った。

【パンデミック宣言、英中銀緊急利下げ】

世界保健機関(WHO)は11日夜に「パンデミック(世界的流行)」を宣言した。イタリアを中心とした欧州の感染拡大に続いて米国の感染拡大も進み、感染は全世界レベルに広がっている。米国でも経済活動の停滞やイベント中止が相次いでいる。先行き不安で11日のNYダウは一時は1600ドル以上の大幅下落となり終値でも1464.94ドル安で1日の下げ幅としては過去2番目の下落となった。

トランプ米大統領が9日に減税等を打ち出し、11日も「新型コロナウイルス問題に対処するため連邦政府の全権限を行使する用意ができている」と述べた。国家的な災害の宣言を検討しているとも報道された。またムニューシン米財務長官は中小企業や個人などを対象に納税申告期限を先送りし、2000億ドル超の流動性供給で資金繰り支援を行う姿勢を示した。しかしこれらの動きは市場不安を解消するには至らなかった。

英中銀は11日夕刻に定例の金融政策決定会合以外での緊急利下げを決定、政策金利を0.5%引き下げて従前の0.75%から0.25%とした。ポンドは発表直後に下落してから反騰したが、戻りは続かずに欧州株安のなかでユーロとともに反落して緊急利下げ前の安値を割り込んでいる。
ユーロドルは3月3日の米連銀による緊急利下げから上昇してきたが、9日午前高値の後は下落基調に転じている。3月12日夜にはECB理事会が予定されておりマイナス金利の深掘りや量的緩和拡大等へ踏み込む可能性がある。
米10年債利回りは前日比0.06%上昇の0.87%へ戻した。週初の急落時には0.31%まで急低下したがその後は急落し過ぎの反動でやや持ち直している。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日朝安値を底割れしたことによる弱気サイクル入りとしていたが、3月9日午前と夜の両安値でダブルボトムをつけて強気サイクル入りした。このため10日朝時点では10日の日中から12日にかけての間への上昇余地ありとした。
11日未明へ戻り高値を切り上げたが、その後は新たな高値更新へ進めずに1日を経過しているため既に11日未明高値でサイクルトップをつけた可能性がある。このため11日未明高値を上抜けない内は弱気サイクル入りと仮定して12日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。ただし、11日未明高値を上抜く場合はサイクルボトム形成を短縮しての強気サイクル入りと仮定して14日未明から18日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、11日未明へ一段高で先行スパンを突破したが、その後は新たな高値更新へ進めずに遅行スパンは悪化している。3月11日未明高値105.91円と11日午後安値104.09円の範囲での推移となっているので、11日未明高値超えからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、11日午後安値割れからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10日夜から11日未明への一段高に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られ、その後は50ポイント前後での横ばいとなっている。40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下への低下を伴う下落を想定するが、60ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月11日未明高値105.91円を上値抵抗線、11日午後安値104.09円を下値支持線とみておく。
(2)104.09円割れからは下げ再開と仮定して3月10日深夜安値103.21円試し、さらに割り込む場合は3月9日夜安値101.23円試しへ向かう流れとみる。104円以下での推移なら13日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)11日未明高値超えからは一段高入りとして、2月20日高値からの下げ幅に対する半値戻し106.72円前後を目指すとみる。そのためには米大統領演説や世界的な感染拡大対策への期待で株式市場が持ち直すことが必要だが、期待が膨らまないと一時的な上昇後には再び失速しかねないと注意し、11日未明高値を上抜いた後に104.50円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な発表予定】

3/12(木)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -2.1%、予想 1.4%)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 -4.1%、予想 -3.1%)
21:30 (米) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 0.5%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 2.1%、予想 1.8%)
21:30 (米) 2月 生産者物価コア指数 前月比 (1月 0.5%、予想 0.1%)
21:30 (米) 2月 生産者物価コア指数 前年同月比 (1月 1.7%、予想 1.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 21.8万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 172.9万人、予想 173.3万人)
21:45 (欧) 欧州中央銀行・ECB政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行総裁、定例記者会見

3/13(金)
13:30 (日) 1月 第三次産業活動指数 前月比 (12月 -0.2%、予想 0.0%)
16:00 (独) 2月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
16:00 (独) 2月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.7%、予想 1.7%)
21:30 (米) 2月 輸入物価指数 前月比 (1月 0.0%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 2月 輸出物価指数 前月比 (1月 0.7%、予想 -0.4%)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (2月 101.0、予想 95.0)

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